こども3人以上世帯、大学無償化
12月5日に子育て世帯にとって大きなニュースがありました。
政府が少子化、子育て政策として多子世帯の大学費用無償化を「こども未来戦略」に盛り込むというものです。
・開始は2025年度から
・こども3人以上の世帯が対象
・全てのこどもが対象
・短大、専門学校、私立、医学部なども無償化の対象
こども未来戦略に盛り込む内容については、ざっくりとですがこのように報道されています。
私は現在3人のこども(YOH3姉妹)を育てていますが、大学無償化が実現すれば、大きなニュースというには足りず、人生設計が大きく変わるほどの内容です。
実際にこの内容のとおりに政策が行われれば、こどもが3人以上いる世帯であれば、こどもの大学費用はかからないことになります。
世帯の状況とこどもの進学先によっては、数千万円規模の支援を受ける可能性がある政策であるということです。
しかし、この大学無償化が行われることでこどもの教育費を用立てる必要がなくなるのかと考えると、そうではないというのが私の考えです。
大学無償化にはメリットだけではなく、デメリットもあるからですね。
・こどもの教育費について
・こどもの大学無償化によるメリット
・こどもの大学無償化によるデメリット
今回は、多子世帯の大学無償化について、この3点を中心に考えてみたいと思います。
こどもの教育費について
まず、こどもを育てるためにかかる費用について触れておきます。
こどもを育てるためにかかる費用は主に2つにわけることができます。
・養育費
・教育費
この2つですね。養育費とは、こどもが生活していくうえでかかる費用です。
・住居費
・食費
・日用品費
・浪費
・車両維持費
ざっくりと言えばこのような費用ですね。世帯によって差があるのでしょうが、養育費は一般的にこどもが大学卒業するまでにひとりあたり2,000万円かかると言われています。
そして、もうひとつが教育費です。教育費は主にこどもの学習にかかる費用ですね。
・高校授業料
・大学授業料
・学習塾費用
教育費で大きなウエイトを占めるのはこの3つです。これらはこどもひとりあたり700万円と言われています。
・養育費・・・2,000万円
・教育費・・・700万円
この2つを比較すると養育費の金額が大きく、負担が大きいように思えますが、実際に用立てるのが大変なのは700万円の教育費の方ですね。
・一括でキャッシュアウトする金額が大きい
・かけ方によっては、費用が青天井に上がる
教育費にはこのような特徴があるからです。教育費の700万円というのは、あくまでも目安で全ての教育費を国公立で賄った金額と考えておいてよいですね。
・学習塾は高校生から
・高校、大学ともに国公立
このような比較的お金がかからないケースで700万円と考えておく必要があるということです。
・小学校から進学目的の学習塾
・小学校から大学までALL私立
このようなケースであれば、教育費は跳ね上がるでしょうし、こどもが私立医学部や留学などを希望した場合、数千万円は見ておく必要があるということです。
こどもの大学無償化によるメリット
こどもの大学無償化による最大のメリットは「こどもが希望する進学先に行ける可能性が高くなる」ということです。
大学教育というのは、進学先によってかかる金額というのは大きく異なってきます。
上の表は近畿大学(私立大学)の医学部の学費ですが、初年度は680万円、それ以降は580万円となっています。学費は6年間必要になるので、最低でも合計で3,600万円が必要になります。
これは、一般的な世帯であれば、用立てることが極めて難しい金額であるといってよいですね。
そのため、こどもがこのような進路を希望していても、金銭的事情から進学を諦めるといったことになるケースが多々あるということです。
しかし、大学費用が無償になるのであれば、学力だけの問題となり、金銭的事情を考慮する必要なく、こどもが希望する進学先に行ける可能性が高くなるということです。
これが、大学無償化による最大のメリットですね。そして、こどもが選択することができる教育機関というのも格段に広がります。
・複数人こどもを同時期に大学進学させるだけの費用がない
・私立医学部の進学を望んでいるが、費用を用立てることができない
こどもに能力があり、かつ大学の高等教育を希望していても、親が費用を用立てることができなければ、このように希望通りに進学することができないというケースが減るということです。
こどもの大学無償化によるデメリット
しかし、こどもの大学無償化にはデメリットも存在します。
デメリットとして挙げられるのは「それでも教育費は準備しておく必要がある」ということです。
大学費用が無償化になることと、大学教育の費用を準備しないでよいことはイコールではないということです。
神戸大学(国立大学)の学費で考えると、1年間の学費は53万円、4年制の学部であれば入学費用やテキスト代などを含めて総額で250万円~300万円をみておく必要があります。
大学費用が無償化になれば、この金額を親が負担する必要がなくなるということです。
しかし、大学の学費というのは、特別なケースを除いてこどもが高校2年生あたりにならなければ、どの程度かかるのかはわからないということです。
・小学生
・中学生
こどもがこのような時期であれば、大学費用というのは見当がつく金額ではないということです。
そして、教育費というのは時間をかけて準備をしていく必要があるお金です。数年で用意するには、あまりにも大きい金額だからですね。
そして、時代の変化とともに政策が変更されるということはありふれています。
・第3子からは有償化される
・所得制限が設けられる
・国の学費負担に上限額が設けられる
このようなリスクを考えた場合、大学費用が無償化されるからといって、大学教育費の費用を用立てる必要はない、とはならないということです。
YOHの考え
今回は12月7日に公表された「多人数こどもがいる世帯の大学費用無償化をこども未来戦略に盛り込む、ということについて触れてみました。
私の世帯ではこれから大きくなるこどもを3人育てており、政策どおりに大学費用が無償化されるようになれば、大きな恩恵を受ける可能性があります。
・こどもが3人とも大学進学する
・私学の授業料が高い学部を希望している
このような状況になれば、数千万円規模の教育費負担がなくなることになるからですね。
これは、大きな恩恵どころの話ではなく、人生の方向性を変えるだけの力があるものだということです。
しかし、現在の資産形成に大きな影響があるのかと言えばそうではないですね。
教育費は今まで通りに準備しておく必要があるからです。その理由は先述しているとおり、制度変更によるリスクがあるからです。
そのため、大学費用が無償化されることによって、現時点で教育費の準備を怠ることはないということです。
そして、こどもが大学費用無償化の対象になれば、用意していた教育資金が余ることになりますが、それについては使い道が難しいものになると考えています。
・末っ子が大学教育を終える時、YOHは60歳間近
・資産形成の時期を過ぎており、一時的な大金は必要ない
・人生における大きな支出は払い終えている
・養育費負担がなくなり、生活はミニマムになっていく
このような状況になることが予想されるからですね。
そのため、こどもの大学費用が無償化されるからといって、現時点の金銭的負担が変わることはなく、手放しには喜べない、というのが私の印象です。
しかし、こどもにとっては大きく可能性が広がることに間違いはないですね。
私の世帯で言えば、仮にこどもが3人とも私学医学部の進学を希望した場合、金銭的理由で叶えてあげることはできません。
あと、10年~15年で1億円の教育費というのは、どう考えても準備することはできないからですね。
しかし、大学費用が無償化されるのであれば、こどもは金銭的なことを考えずに、学力に見合った大学を私立、学部など関係なく選択できることになります。
・教育費準備がなくなるわけではない
・こどもにとっては可能性を大きく広げてくれる
大学費用が無償化されることは、このような政策であると私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
児童手当拡充と扶養控除縮小については、こちらで記事にしています。
教育資金の目安と考え方については、こちらで記事にしています。
教育費というのは生々しい言い方をしてしまえば、人的資本への投資だということです。