アセットアロケーション
投資のリターンを決める要素については、一定の答えが出ています。それは、アセットアロケーションです。
・購入する時期
・購入する銘柄
このようなものが投資のリターンを決める要素ではありますが、これは短期的な意味合いが非常に大きいですね。株式投資は期間を区切ってするという方は少なく、一度はじめてしまえば、距離感は人それぞれですが、何十年と続けていくことになります。
その長い投資期間のリターンを決める最も大きな要素がアセットアロケーションです。
資産運用で言うアセットアロケーションとは、ザックリと言えば、資産配分のことです。自分の資産をどのような割合で保有しているかということです。
・現金
・株式(国内、先進国、新興国など)
・不動産
・保険
・債券
・コモディティ
・暗号通貨
このような金融商品をどのような配分で組み合わせるかというものです。そして、資産運用で大切なことは、自分に合わせたアセットアロケーションを組むことです。
・年齢
・職業
・目標
・投資歴
・考え方
・リスク耐性
同じような属性でもこれらのことが1つでも異なれば、個人によって全く別のものになるのが、アセットアロケーションです。最適なアセットアロケーションとは人によって異なるということです。また、時期が異なれば最適なアセットアロケーションは異なってきます。
時期というのは、言ってしまえばどの段階で資産をどれだけ持っているかということです。そして、資産が多ければアセットアロケーションは見直した方がよいですね。
具体的に言えば、資産形成段階で資産が1,000万円ほどであればそれほど手を加える必要はありませんが、3000万円を超えるような資産規模になってくれば、年に1回は見直して調整した方がよいということです。
しかし、アセットアロケーションの調整は投資方針を決めていてもストレスがかかる作業になり得ることがあります。
・成績の悪い金融資産クラスを損切りする
・思うように働かない銘柄の入替を行う
このようなことは、システマティックにしたとしても、時間も手間もかかり、ストレスもかかります。そのようなことはなるべく避けた方がよいのですが、資産運用を続けていると資産配分が崩れていくことは避けられません。
・アセットアロケーションの調整方法
・最適なアセットアロケーションを保つためにするべきこと
今回はこの2点について触れてみたいと思います。
資産運用を続けているとアセットアロケーションは崩れてくる
投資のリターンを決めるのはアセットアロケーションですが、資産運用をしていると、当初の配分から崩れてきます。
・現金 50%(500万円)
・米国株式 50%(500万円)
このようなアセットアロケーションを組んで長期投資をしていた場合、米国株式が時間と共に値上がりしてくると、何もしていなくても資産配分が崩れてきます。
・現金 30%(600万円・運用当初から100万円積立)
・米国株式 67%(1,000万円・運用当初から100万円積立、運用益400万円増加)
このようなリスク資産の増減によって、アセットアロケーションのバランスが崩れてしまうことは、資産運用をしている方なら誰もが経験することです。
アセットアロケーションの調整
当初決めていたアセットアロケーションから大きく変わったアセットアロケーションをそのままにしておくことはよくありません。思ったような投資リターンを得ることができなくなるからですね。
変化したアセットアロケーションを調整する方法は主に2つあります。
・大きくなった資産を減らす
・小さくなった資産を増やす
この2つの方法によって、アセットアロケーションを調整します。大きくなった資産を減らす方法としては、売却や積立額を減らすことです。
・米国株式の割合が大きくなったから、売却して他の資産比率を高める(即効性有)
・米国株式の割合が大きくなったから、月々の積立額を減らす(即効性無)
また、小さくなった資産を増やす方法としては、買い増しや積立額を増やすことで対応することができます。
・新興国株式の割合が小さくなったので、ETFを買い増しする(即効性有)
・新興国株式の割合が小さくなったので、月々の積立額を増やす(即効性無)
アセットアロケーションを調整するにはこのような方法がありますが、公務員や会社員におすすめなのは、即効性の無い調整方法です。
時間をかけて調整していく
アセットアロケーションを最適化するためには、ゆっくりと積み立てによる買い増しをして調整した方がよいですね。求められる判断が少なく、ストレスがかからないからです。大きくなった資産を減らして調整するよりも、小さくなった資産を増やして調整する方が簡単ということです。
現金と米国株式50%ずつのアセットアロケーションを組んでいて、時間と共に米国株式の割合が増えた場合で考えてみます。
・現金 33% 500万円
・米国株式 67% 1000万円
時間経過によって、このようにアセットアロケーションが崩れた場合、公務員や会社員は現金比率を高めることに注力することで徐々にアセットアロケーションを調整していくということです。
・貯金額を月5万円から10万円に増やす、ボーナスを貯金してで現金比率を高める
・米国株式の積立額は減らさない
売買して調整することは、投資判断が必要とされ難しいからですね。それよりも、小さくなった資産を増やす方が遥かに簡単だということです。
そして、大きくなった資産の積立を止めるのではなく、小さくなった資産をそれ以上に増やすことによって、調整することが大切です。
YOHの考え
私がアセットアロケーションを調整する際、大きくなった資産を売却して調整することはしないようにしています。
・売却の手間
・買付の手間
このような手間がかかるからですね。売却して小さくなった資産を購入することは、アセットアロケーションの調整において即効性がありますが、私のような投資家には難易度が高いのですね。
それよりも、小さくなった資産の積立額を増やすことによって、時間がかかってもよいので、徐々に調整をしていく方がよいと考えています。
そして、資産規模が小さいうちに多くの金融資産クラスを保有していると、それだけアセットアロケーションの調整は難しいものになっていまいます。
・株式
・不動産(REIT)
・債券
・コモディティ
・暗号通貨
・現金
このような多種多様な金融資産クラスを持つことは分散投資としてはよいのでしょうが、複雑なものはそれだけ調整に手間がかかることになるということです。
アセットアロケーションは投資リターンを決める大切な要素ですが、資産規模が小さい間は気にしすぎるものではありません。私の感覚になってしまいますが、総資産3,000万円ほどから、調整を意識する必要があるのではと考えています。
資産規模が1,000万円以下の場合、頻繁にアセットアロケーションを調整しても、手間とリターンを勘案した場合、割に合わないことが多いのですね。
・株式
・現金
私は資産が1億円に到達するまでは、この2つだけでアセットアロケーションを組むことが最適だと考えています。不動産などを入れたいのであれば、不動産セクターを含むETFなどを購入すれば事足りるということです。
シンプルなアセットアロケーションというのは調整も容易で、割合の調整は売却をせずに行うことができます。
シンプルなアセットアロケーションを組むことによって、調整は非常に楽なものになります。大きくなった資産を売らずに、小さくなった資産を増やすことによって対応することができるアセットアロケーションを組むことがよいと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
アセットアロケーションを考えるのがめんどくさいという方はバランスファンドを購入することも選択肢てのひとつですね。しかし、バランスファンドは数字と実際の資産配分が異なっている点は知っておく必要がありますね。
マイホームを購入するとポートフォリオは不動産に偏ることは避けられません。住宅購入の際には、長期的なアセットアロケーションの推移を考えておく必要がありますね。
適切なアセットアロケーションを組むにはよい金融商品を選ぶ必要があります。株式と言ってもその特性は様々で、自分に合った金融商品を選択する必要がありますね。