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【主な対象は高齢富裕層世帯】社会保険料算定に金融所得課を反映することについて

金融所得を社会保険料算定対象に

 2024年4月25日に各新聞社は「厚生労働省が金融所得について社会保険料の算定対象に広げる本格的な検討をはじめた」ということを報じました。

 現在、金融所得を得た際には金融所得課税がかかります。

 ・申告分離課税

 ・総合課税

 ・申告不要

 金融所得課税についてはこの3つの中から選択して、納税することになります。

 そして、人によってこの3つのうち、どれを選択するかによって納税額が大きく変わってきます。

 その理由は、金融所得課税の所得税率は15%(復興特別所得税、住民税合わせて20.315%)ですが、給料などの所得はそうではないからですね。

出典 No.2260 所得税の税率|国税庁

 このように課税所得が多くなればなるほど所得税率は上がっていき、課税所得4,000万円以上であれば45%もの所得税を納税することになります。

 そのため、課税所得が多い方であっても金融所得については、申告不要(確定申告をしない)を選択することになります。

 ・給与所得 100万円

 ・金融所得 1000万円

 このようなケースで確定申告しなければ給与所得に5%、金融所得には15%の所得税が課税されますが、金融所得を総合課税で申告すると、合計金額の1100万円が課税所得となり、所得税率は33%が適応されてしまうことになるからですね。

 そして、確定申告した金融所得は社会保険料算定の基準となります。

 このようなことを考えると、課税所得の多い世帯であれば、金融所得を確定申告しないことは当たり前と言ってよいということです。

 そして、今回、厚生労働省が検討しているのは、この金融所得の確定申告の有無によって社会保険料が変わることを問題視しているということです。

 特に問題視しているのは、所得の多い自営業者と高齢の富裕層世帯です。

所得の多い自営業者と高齢の富裕層世帯

 何故、所得の多い自営業者と高齢の富裕層世帯が厚生労働省に問題視されているかと言うと、基本的な社会保険の考え方とは異なっているからです。

 ・公平性

 ・中立性

 ・簡素性

 基本的な社会保険考え方というのはこの3つから成り立っています。

 そして、所得の多い自営業者や高齢の富裕層世帯はこのうち、「公正性、中立性」の2つから大きく逸脱していると捉えることができるからですね。

 ・Aさん・・・給与所得は400万円で金融所得が年間100万円ある

 ・Bさん・・・老齢年金を年間200万円受給しており、株の配当が年間300万円ある

 このようなケースの場合、Aさん、Bさんともに収入金額は同じ500万円ですが、社会保険料の金額は大きく異なります。

 社会保険料算定の基準となる金額がAさんとBさんでは異なるからですね。

 ・Aさん・・・給与所得400万円の社会保険料(60万円)

 ・Bさん・・・老齢年金200万円の社会保険料(年間18.5万円)

 ざっくり計算ですが、これぐらい社会保険料に差が出ることになります。

 これを厚生労働省は問題視しているということです。

税と社会保険料は複雑怪奇。

YOHの考え

 今回は厚生労働省が検討している「社会保険料算定に金融所得を反映すること」について考えてみました。

 今回検討されている事柄の主な対象となるのは個人事業主と高齢の富裕層世帯です。

 ・金融所得が多い

 ・金融資産を多く保有している

 このような世帯に社会保険料を負担してもらうことが大きな目標であるということです。

 特に高齢の富裕層世帯に適切な社会保険料を納めてもらうことに重きを置いていると私は感じます。

出典 

統計局ホームページ/家計調査報告(貯蓄・負債編)−2022年(令和4年)平均結果−(二人以上の世帯)

 総務省統計局の家計調査報告(2022年)の資料からも60歳以上世帯が多くの金融資産を保有していることがわかります。

 多くの金融資産を保有しているのであれば、それだけ金融資産所得も多くなります。

 しかし、金融資産は確定申告をしなければ、1億円あろうとも社会保険料はかかりません。

 これが社会保険における公正性、中立性から逸脱しているということです。

 ・会社員や公務員などの給与所得者

 ・個人事業主で金融資産所得が少ない

 今回検討されていることについては、このような世帯はそれほど対象としていないということです。

 しかし、社会保険費は右肩上がりに増加し続けており、社会保険料の増加にも歯止めがかからない状況です。

 私自身、増加する社会保険料について思うところは多々あります。

 しかし、不平不満を言うだけではお金は貯まりませんし、物事が解決することもありません。

 このような使えるお金が減少していく社会において大切なことは、自分自身で考えて行動をすることです。

 ・使えるお金を増やすように考える

 ・少ないお金で満足度の高い生活を送ることを考える

 増加する社会保険料負担については、このようなスタンスで取り組むことが大切だと私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

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