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【手取りや控除額から考える】年収200万円で豊かに暮らすことは不可能なのか

年収200万円で豊かに暮らす

 家計経営コンサルタント、横山光昭氏が書かれている書籍に「年収200万円で豊かに暮らす」という書籍があります。

 内容としては、タイトル通りで少ない年収で暮らす方々の暮らしぶりを紹介しています。

 ・家計のやりくりテクニック

 ・収納、整理のテクニック

 ・節約ライフのモチベーションの保ち方

 このような事柄にフォーカスしている書籍だということですね。

 一般的な価値観で言えば、年収200万円で暮らすことと豊かに暮らすことの両立は困難です。

 ・ある程度の収入がなければ必要最低限の生活必需品を購入することができない

 ・日々の暮らしにカツカツだと浪費に回す余裕資金がない

 このように考えられるからですね。

 しかし、実際には価値観や考え方によって、年収200万円というのは捉え方が変わります。

 ・年収200万円の金銭事情

 ・年収200万円で豊かに暮らすことは可能なのか

 今回はこの2点について考えてみたいと思います。

年収200万円の割合について

 令和2年分の民間給与実態統計調査によると、給与所得者は5,928万人おり、その平均は性別や働き方によって大きく異なっています。

 ・男性 532万円

 ・女性 293万円

 ・正規 496万円

 ・非正規 176万円

 それぞれの平均はこのようになっています。これは働き方と日本の賃金上昇の仕組みによるところが大きく関係してます。

 ・年功序列

 ・終身雇用

 このような給料形態による影響が非常に大きいということですね。女性であればどれだけ能力が高くとも、出産や育児で職場を離れる機会があり、非正規で働く方は職場を変える機会が増えるからですね。

 それを踏まえて各性別の年収200万円の割合を確認してみます。

出典 令和2年度民間給与統計実態調査 国税庁

 国税庁が出している令和2年度民間給与統計実態調査によると、年収100~300万円の給与所得の割合はこのようになっています。

 ・男性 18.5%

 ・女性 44.7%

 ・合計 29.3%

 給与所得者の内、約30%ほどが年収200万円ほどだということです。正規で働いている給与所得者の平均年収が496万円であることを考えると、男性の場合、非正規で働いている方が多く、女性の場合は正規で働いていて年収200万円ほどの方がある程度いるということがわかります。

年収200万円の控除額

 年収200万円といってもその全てを支給されるわけではありません。

 ・社会保険料

 ・所得税

 ・住民税

 給与所得者である以上、これらを納める必要があるからですね。これらの金額を順番に確認していきます。

社会保険料

 社会保険料は標準報酬月額と社会保険料率をかけ合わせることによって計算することができます。今回の計算ではモデルケースとして30歳独身を想定して計算していきます。

 年収200万円なら、標準報酬月額は14.2万円ほどになります。そこに社会保険料率の18.3%をかけます。

 ・14.2万円 × 18.3% = 25,986円(約2.6万円)

 会社員や公務員の場合、労使折半によって雇い主が半分を負担することになるので、この半分が社会保険料となります。

 ・2.6万円 ÷ 2 = 1.3万円

 月に1.3万円の社会保険料を納めていることになるので、年間にすれば15.6万円となります。

所得税

 次に所得税を確認していきます。所得税を計算するには課税所得を使う必要があります。モデルケースの30歳独身だと控除として使えるのは基礎控除と給与所得者控除です。(今回は医療費控除や小規模事業控除などは含まないものとします。)

 ・基礎控除 48万円

 ・給与所得者控除 200万円 × 30% + 8万円 = 68万円

 ・控除合計 116万円

 ・200万円 - 116万円 = 84万円

 年収200万円の場合、基礎控除と給与所得者控除を引くとこのようになります。ここから、社会保険料控除を引いたものが課税所得となります。

 ・84万円 - 28.6万円(2.6万円×12カ月) = 55.4万円

 55.4万円が課税所得となります。

出典 国税庁 所得税の税率

 所得税率は5%となるので、年収200万円の給与所得者の所得税は以下のようになります。

 ・55.4万円 × 5% + 0円 = 2.77万円

 2.77万円が年間の所得税納税額となります。

住民税

 住民税についても計算方法は所得税と同様です。所得税と異なる点は控除額と税率が異なっていることですね。

 ・基礎控除 43万円 ← 所得税では48万円

 ・給与所得者控除 68万円

 ・社会保険料控除 28.6万円

 ・控除額合計 139.6万円

 ・課税所得 200万円 - 139.6万円 = 60.4万円

 年収200万円の場合、住民税の課税所得は60.4万円となります。住民税の税率は一律10%なので、住民税納税額は以下のようになります。

 ・60.4万円 × 10% = 6.04万円(均等割と調整控除は割愛しています)

年収200万円の手取り額

 年収200万円の控除額が全て計算できたので、それぞれを確認してみます。

 ・社会保険料 15.6万円

 ・所得税 2.77万円

 ・住民税 6.04万円

 ・合計 24.41万円

 これを200万円から引いた金額が年収200万円の給与所得者の手取り金額となります。

 ・200万円 - 24.41万円 = 175.59万円(年間手取)

 ・175.59万円 ÷ 12カ月 = 14.6万円

 年収200万円の場合、月々に使える金額は14.6万円となります。これを元に生活していかなければならないということですね。

年収200万円の場合、非常にシンプルな生活を心がける必要がある。

YOHの考え

 年収200万円の場合、年間に使える金額はざっくりと175万円となります。地域にもよりますが、男性ならひとりで生活していくことは十分に可能だというのが私の印象です。

 女性のひとり暮らしであれば創意工夫が必要ですね。

 私が独身の時の家計簿を確認してみると、年間157万円ほどで生活していました。

YOHの独身時代の家計簿

 この時はアパートでひとり暮らしをしていましたが、それほど不自由を感じていなかったという印象です。どちらかと言えば満たされた生活をしていたと言ってよいということです。

 もちろん、金銭的に見ればそれほど豊かではありません。

 ・車を所有していない

 ・衣料費が年間1.6万円(下着など最低限のものだけ)

 ・娯楽費(贅沢費)が年間6万円

 このような生活というのは金銭的には豊かであるとは言えません。しかし、精神的にはある程度満足した生活を送っていたということです。

 ・仕事が充実していた

 ・趣味に時間をかけることができていた

 ・友人などと食事などに行っていた

 ・貯金や資産運用でお金の不安がなかった

 ・健康面での不安がなかった

 このようなことで満足した生活を送っていたということです。豊かに暮らすというのは、非常に抽象的な表現でその価値観は人によって異なります。

 ・ものに溢れた生活をしたい

 ・家賃の高い場所に住みたい

 ・金銭的に人から一目置かれたい

 このような生活が豊かな生活と考えるのであれば、年収200万円(手取り175万円)では思い描く豊かな生活は送ることはできません。

 しかし、精神的に豊かな生活というのは、それほどお金が無くとも送ることは十分に可能です。

 ・自分が楽だと思う生活

 ・自分のしたいことだけにお金をかける

 このような生活をするのであれば、年収200万円でも可能だということです。

 しかし、お金に余裕があるというのは、心のゆとりをもたらしてくれることに間違いありません。

 ・年収600万円で4,000万円の住宅ローンを組んでいる

 ・年収500万円で家賃10万円の住宅に住んで車を所有している

 このような場合、年収こそ高いですが、実際に生活で使える金額は年収200万円の世帯と同じか少ないような金額となります。

 このように考えると、年収が高いから基礎的な生活にお金をかけることができるわけでもないということです。

 お金は人生において非常に大切なものですが、お金があるからといって豊かな生活を送れるわけではありません。自分でしっかりと考えて生活することによって、豊かな生活というのは手にできるのだと、私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 資産形成するためには、人と同じ生活をしない必要がありますね。常識を疑うということです。

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 資産形成をするには家計簿をつけることは必須ですね。

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