インデックス投資の大部分は停滞期である
インデックス投資をしている方が感じることのひとつが、資産が増加しない時期があるということです。
・淡々と入金をしている
・毎月決まった金額で同じ銘柄を購入している
このようにコツコツとインデックス投資をしているにも関わらず、資産の増加をそれほど感じることがないということです。
特に、資産が増加していくほど、そのような感覚は顕著となりますね。しかし、それは当然であると言えます。
インデックス投資でよく言われるのが、長期的に見ると年利4~5%ほどのリターンを得る確率が極めて高いということです。
そのため、コツコツと入金して積立投資をしていれば右肩上がりに資産が増加していくと思われがちですが、実際にはそうではないですね。
・停滞期 投資期間の90%
・急激な減少期 投資期間の5%
・急激な上昇期 投資期間の5%
私の印象ですが、インデックス投資はこのような形で資産推移していくものだと感じています。
図にするとこのような形のなりますね。長い停滞期が投資期間の大部分を占めており、その間に短い期間の急激な減少期と急激な上昇期がある、といった形です。
そして、インデックス投資におけるリターンの大部分は短い急激な上昇期に作り出されているということです。
そのため、急激な上昇期以外の停滞期や減少期にコツコツと入金して積立投資をすることは非常に効率が悪いということです。
・上昇期に一括で投資をすれば一気に資産が増加する
・積立投資をしても資産が減少するような時期に投資をすることは無駄
停滞期や減少期に積立投資をすることはこのように考えることができるからですね。
しかし、実際に急激な上昇期を見極めて一括投資をするということは非常に難しいため多くの投資家はすることができません。
・近年あった急激な上昇期
・上昇期を見極められないなら投資期間を長くする方がよい
今回はこの2点を中心にインデックス投資について触れてみたいと思います。
近年あった急激な上昇期
株式投資では急激な上昇期だけを見極めて一括投資をすることができれば、それほど効率のよいことはありません。
・株式相場の底で一括投資をする
・株式相場の上がりきった時に売却する
これをすればよいということです。そして、この株式相場の底と上がりきった時として近年で顕著だったのが2020年のコロナ相場ですね。
2020年2月に23,000円だった日経平均株価がコロナショックによって急激に値を下げていき、2020年3月19日には16,500円まで値を下げることになりました。
このコロナショックはどれだけ続くのかと思われましたが、日経平均はすぐに上昇傾向に転じて、3カ月ほどで22,000円とほぼショック前と同水準まで値を戻したかと思えば、そこからさらにぐんぐんと上昇していき、2021年2月には30,000円を超える値を付けることになりました。
このように後から見返すと、2020年3月から2021年2月までの約1年が急激な上昇相場であったということです。
・2020年3月の16,000円の時に一括投資
・2021年2月の30,000円の時に売却
これが出来ていたのであれば、単純計算で資産を倍にすることができたということです。
しかし、2020年3月の日本の状況を思い返してみると、株価が上昇するような要因を感じることは難しい状況です。
・新型コロナウイルスの感染者数、死亡者数が日々増加している
・新型コロナウイルスのワクチン確保の目途が立っていない
・マスクなどの衛生用品が品薄で購入できない
このような状況であったということです。そのため、株式相場の雰囲気はこれからもっと暴落するというような空気が充満していました。
実際には、感染者数の増加を食い止めることはできませんでしたが、(それでも他の国々と比較すると食い止めることはできています)ワクチンの確保や衛生用品の供給などに目途が立ち、数カ月で状況は改善していますが、2020年3月の株価が底値の時点ではどのようになるのかは不透明であったということです。
実際には日経平均が16,000円からさらに値を下げ続けて、数年間はそのまま値が戻らないということも十分に考えられたということです。
急激な減少期と急激な上昇期に一括投資をするということは、そのような先が見えない状況の中で買い向かうだけの何かを持ち合わせておく必要があるということです。
・相場に対する先見の明がある
・リスク許容度が人並み外れて高い
・株式投資で大きく損失を出してもカバーできるだけの収入がある
このような限られた人のみが一括投資によって、コロナショックで大きく資産を増加させることができたということです。
YOHの考え
今回はコロナショックを例に挙げて、底値で一括投資をすることについて考えてみました。
・2020年3月の16,000円の時に一括投資
・2021年2月の30,000円の時に売却
あとから日経平均株価のチャートを見るとこのように売買をすればよかったのだとわかりますが、実際にこのように立ち回ることができた投資家がどれだけいたかと考えると、非常に少数であるというのが私の印象です。
むしろ、これとは逆の行動を取っていた投資家が非常に多かったのではないでしょうか。
・下がっていく株価に耐えきれずに18,000円ほどで売却
・上昇しきった30,000円の時に購入
このような行動を取っていた投資家が非常に多かったということです。これは人間の心理を考えると当然のことと言えますね。
・下落相場になるとどこまで下がるのかわからず不安になる
・上昇相場になると上がり続けると思いイケイケになる
このような考え方になるのは自然なことだということです。しかし、実際に下げ相場で一括投資を行うにはこの逆の考え方を持って行動する必要があるということです。
そして、多くの投資家にはこれが難しいのですね。そのため、株式投資で思ったような成果を残せないということです。
しかし、下げ相場でも買い向かうことは限られた投資家にしかできないかと言えばそうではありません。
・株価に関係なく積立投資をする
・自分のできる範囲で長く投資を続ける
このように、相場の状況に関係なく投資をすることによって、下げ相場でも買い向かうことができるということです。
そして、そのような投資手法として最も取り組みやすいのがインデックス投資だということです。
これはチャールズ・ウェリス著書の敗者のゲームで用いられている図解ですが、28年間の間で資産増加するベストな日を逃したらどれだけ投資リターンが下がるかということを表しています。
・ベスト10日を逃した場合 2.5%
・ベスト20日を逃した場合 4.2%
・ベスト30日を逃した場合 5.6%
ベストな日に全て投資をした時と比較して、トータルリターンにこれだけの差が出るということです。
逆に言えば、28年間(約10220日)の中でベストな30日だけに投資をすることができれば、投資リターンというのは計り知れないものになるということです。
繰り返しになりますが、それを狙ってできる投資家というのはほぼいないということです。
多くの投資家は効率が悪いと思いつつも、投資期間の大部分を占める停滞期でも入金して投資を行う必要があるということです。
しかし、停滞期の入金や投資が無駄であるかと言えばそうではないですね。投資をするベストな日がいつ来るのかは誰にも読むことができないからです。
自分自身が停滞期と思っている時期が後からチャートを見返すと、投資をするベストな日であったということは往々にしてあるということです。
・年初来高値
・底値
・絶好のタイミング
このようなことは後からわかることであって、投資をしている時点では今がどのような状況なのか分からないということです。
株式投資で最も長い期間を占めるのは資産が増加も減少のしないような面白味のない停滞期です。インデックス投資においては、それは特に顕著です。
しかし、実際に重要なのはこの停滞期に変わらずに投資に向き合うスタンスを保っておくことです。
・下げ相場
・上げ相場
このような時には、普段は株式投資をしないような方も前のめりになって相場に向き合うことになります。
しかし、株式投資で上手に立ち回るためには、大きな相場変化が起こってから行動を起こすのでは遅いケースが大半です。
しかし、停滞期にも変わらずに相場に向き合っていれば、意図せずに先んじて行動を起こすことができることになります。
そのため、停滞期にも変わらずに相場と向き合い積立投資をしておくことは大切であると私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
インデックス投資の優れている点についてはこちらで記事にしています。
株式投資の最も優れている点は複利効果を大きく活かすことができることです。
長期のインデックス投資は資産形成における必勝法ではないですね。注意点が多々あります。