eMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)とは
積立投資で最も人気のある投資信託のひとつが「eMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)」、いわるゆオルカンですね。
eMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)でよく言われているのが、「これ一本に投資をしておけばよい」ということです。
・国分散
・銘柄分散
・コスト面
これらにおいて非常に優れているからですね。そして、現時点において純資産総額は1兆円を超えています。
しかし、eMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)が最も幅広い国と銘柄を対象としている投資信託であるのかと言えばそうではありません。
分散性で言えば、楽天・全世界株式インデックスファンドやSBI・V全世界株式インデックスファンドの方が優れています。
その理由というのは、ベンチマークとしている指数の違いによるものです。
eMAXIS slim全世界株式はACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)をベンチマークとしているのに対して、楽天・全世界株式インデックスファンドやSBI・V全世界株式インデックスファンドはFTSEグローバル・オール・キャップ・インデックスをベンチマークとしています。
この2つは多くの国や銘柄に分散投資をするというコンセプト自体は同じですが、ベンチマークとしては全くの別物です。
・できるだけ多くの銘柄に投資をしたい
・小型株を含めて投資をしたい
このような投資方針のケースではeMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)よりも楽天・全世界株式インデックスファンドやSBI・V全世界株式インデックスファンドの方が適していると私は考えています。
構成銘柄数だけを比較すれば、eMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)は約3000銘柄であるのに対して、SBI・V全世界株式インデックスファンドは約9000銘柄となり、6000銘柄の差があります。
その理由はACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)とFTSEグローバル・オール・キャップ・インデックスの違いによるものですね。
・ACWIの特徴
・分散投資をするならばACWIとFTSEどちらがよいか
今回は全世界株式インデックスファンドについてこの2点を中心に触れてみたいと思います。
ACWIとは
ACWIとは、MSCI(Morgan Stanly Capital International)が公表している指数のひとつでAll Country World Indexの頭文字を取った通称です。
このACWIにはいくつかの特徴があります。
・小型株を含まない
・除外している国や地域がある
・時価総額平均型加重である
抑えておきたいポイントとしてはこの3つですね。順番に触れていきます。
小型株を含まない
ACWIで抑えておきたいポイントのひとつ目は「小型株を含まない」ということです。
ACWIの投資対象となっている国と地域は全部で47か国ありますが、その国の全ての上場企業を投資対象としているわけではありません。
・上位70%に入る大型株
・中位15%に入る中型株
これらを投資対象としているため、下位15%の小型株は投資対象となっていないということです。
そのため、構成銘柄数が3000となり、FTSEグローバル・オール・キャップ・インデックスの9,000銘柄と比較すると少なくなっているということです。
除外している国や地域がある
ACWIで抑えておきたいポイントの2つ目は「除外している国や地域がある」ということです。
ACWIはその名前のとおり全世界の株式を投資対象としているのかと言えば、厳密に言えばそうではありません。
・フロンティア市場
・スタンドアローン市場
このような国や地域を投資対象から除外しています。
MSCIは世界の株式市場を3つに区分しています。
・先進国
・新興国
・フロンティア
この3つに区分しており、上に行くほど、経済的に発展している国と解釈することができます。そして、国が小さく、株式市場が未成熟なフロンティア市場はACWIに組み込まれていないということです。
また、貧困や内戦などの様々な要因によって、資本移動に規制があり、株式の流動性が低いスタンドアローン市場の国も投資対象として含まれていません。
近年、ACWIからスタンドアローン市場と認定された国としてはロシアやウクライナが挙げられます。
最新のeMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)の目論見書を確認すると、以前は数パーセントの割合で含まれていたロシアが含まれていないことがわかります。
このように、ACWIが投資対象としているのは、あくまでも先進国と新興国と認識している国や地域の企業だけということです。
時価総額加重平均である
ACWIで抑えておきたいポイントの3つ目は「時価総額加重平均である」ということです。
時価総額加重平均とは、株式会社ごとの時価総額の大きさに比例して、銘柄が指数の中で占める割合を決定する方法です。
・時価総額が大きい株式会社・・・組入銘柄の比率が大きい
・時価総額が小さい株式会社・・・組入銘柄の比率が小さい
このようになるということです。
ACWIは47か国の国や地域の株式会社を組入銘柄としていますが、上位の構成銘柄を確認すると、全てが米国企業となっていることがわかります。
・先進国 約90%
・新興国 約10%
時価総額加重平均であるため、このような構成比率になっているということです。
YOHの考え
今回は eMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)で抑えておきたいポイントについて触れてみました。
・小型株が含まれない
・除外している国や地域がある
・時価総額平均型加重である
特徴としてはこの3点ですね。特に、小型株が含まれていないということについては抑えておく必要がありますね。
・先進国や新興国の小型株に投資をしたい
・より多くの企業に投資をしたい
このように考えているのであれば、ACWIをベンチマークとしているeMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)を選んではいけないということです。
小型株を含んだ投資をしたいのであれば、構成銘柄数が多いFTSEグローバル・オール・キャップ・インデックスをベンチマークとしている楽天・全世界株式インデックスファンドやSBI・V全世界株式インデックスファンドなどを選択する必要があるということです。
しかし、実際にACWIとFTSEグローバル・オール・キャップ・インデックスのパフォーマンスに大きな違いはありません。
青色がVT(FTSEグローバル・オール・キャップ・インデックス)、黄色がACWIの直近15年間のチャートですが、ほぼ差がないことがわかります。
わずかにVT(FTSEグローバル・オール・キャップ・インデックス)の方が優れていますが、誤差の範囲内と言ってよいですね。
そして、ACWIとFTSEグローバル・オール・キャップ・インデックスをベンチマークとしている投資信託の手数料についてもその差はごくわずかです。
・eMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)0.05775%
・SBI・V全世界株式インデックスファンド 0.0638%
このようになっており、ほとんど差は見られないということです。そのため、どちらを選んでいても、それほど差が生まれることはないということです。
しかし、投資で大切なことは自分がどのようなものに投資をしているのかを理解しておくことです。
全世界株式インデックスファンドの中で分散性という面を見れば、ACWIをベンチマークとしているeMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)よりも、FTSEグローバル・オール・キャップ・インデックスをベンチマークとしているSBI・V全世界株式インデックスファンドの方が優れているということです。
・小型株に投資をしたい
・小型株の成長を取りのがしたくない
このように考えているのであれば、eMAXIS slim全世界株式(オールカントリー)を選ぶことは不正解となるかもしれないということです。
ご覧いただきありがとうございました。
分散・低コストを意識するならeMAXIS slim全世界株式を選択することは必然なのか、ということについてはこちらで記事にしています。
新しいNISAの使い方で最も推奨されているのは全世界株式インデックスファンドを積み立てるという方法です。そこには注意してく点がいくつかありますね。
投資の金融商品選択よりも大切なことはありますね。それについてはこちらで記事にしています。