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分散・低コストを意識するならeMAXIS Slim全世界株式という考え方は正しいのか

長期投資とeMAXIS Slim全世界株式

 現代における投資の基本とは以下の4つを抑えておくことです。

 ・長期

 ・積立

 ・分散

 ・低コスト

 この4つを満たすことが投資で資産を増やすことができる鍵になります。

 そして、この4つを意識した場合、選択肢として有力なのが、「全世界株式インデックスファンド」を積立投資するということです。

 全世界株式インデックスファンドで最も人気のあるひとつが「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」ですね。

 ・信託報酬が最も安い水準

 ・MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをベンチマークとしている

 eMAXIS Slim全世界株式が人気の理由はこの2つによるところが大きいですね。

 ベンチマークとしているMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスの最も優れている点のひとつは、その投資対象の多さです。

 ・対象は先進国24か国、新興国21か国、フロンティア国の約70か国

 ・各国市場の時価総額上位85%をカバー

 ひとつのベンチマークでこれだけの投資対象をカバーしているということです。

 その点から、「分散」という投資の基本をこれ以上ないほど抑えているということです。

出典 eMAXIS Slim全世界株式交付目論見書

 そして、純資産総額は順調に増加して2023年10月時点で1兆円を超えており、基準価格ともにきれいな右肩上がりで推移しています。

 さらに、eMAXIS Slim全世界株式の信託報酬は年間0.05775%とランニングコストについても非常に低水準です。

 ・eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 0.09372%

 ・eMAXIS Slim先進国株式 0.09889%

 ・eMAXIS Slimバランス(8資産均等) 0.143%

 他のeMAXIS Slimシリーズと比較しても、eMAXIS Slim全世界株式のランニングコストは最も低く設定されています。

 ・最も広い銘柄に分散されている(分散)

 ・最もランニングコストが安い(低コスト)

 この2つのことから、eMAXIS Slim全世界株式を長期で積立投資する、というのが、現代の投資における最適解のひとつとされているということです。

 しかし、現代の投資における「分散」、「低コスト」というのは、ただただ数字の優れているものを選べばよい、というわけではないと私は考えています。

 ・分散、低コストについての考え方

 ・投資の最適解は人によって異なる

 今回は全世界株式インデックスファンドの積立投資についてこの2点を中心に考えてみたいと思います。

分散、低コストについての考え方

 投資において分散、低コストというポイントを抑えておくことは非常に大切です。

 しかし、分散というのは、ただただ投資対象の国や銘柄が多ければ多いほどよいというわけではありません。

 低コストについても、ランニングコストなどが安ければ安いほどよい、というわけではありません。

 そこには重要な前提条件をクリアしておく必要があります。

 その前提条件とは「リターンとリスクが同じであれば」ということです。

 ・リターンとリスクが同じであれば、より分散されている方を選択する

 ・リターンとリスクが同じであれば、より低コストな方を選択する

 投資における分散と低リスクとは、このように考える必要があるということです。

 

 ※対象銘柄は同じ国の同じセクターを対象

 この投資信託Aと投資信託Bであれば、投資信託Aを選べばよいということです。

 投資信託Aの方が信託報酬と過去10年成績が同じで投資対象銘柄が多いからですね。

 過去10年成績が同じでも、今後を予想した場合、投資対象銘柄が多い分、リスクヘッジされており、投資信託Aの方が安定した成績を残してくれると考えてよいということです。

 しかし、リスクとリターンが異なれば、分散と低コストの考え方は個人の感覚によって異なってきます。

 投資信託A、投資信託B以外に上記のように投資信託Cという選択肢が用意された場合、投資信託Aと投資信託Cどちらを選ぶかは人によって異なります。

 投資信託Cは対象銘柄と信託報酬は他の2つに劣後していますが、過去10年成績が3つの投資信託の中で最も優れているからですね。

 ・対象銘柄が50と少ない

 ・信託報酬が他の2つと比較して0.1%高い

 投資信託Cはこのようなことを考慮しても、過去10年成績と同じパフォーマンスをこれからも出してくれるのであれば、最も資産を増加させてくれると考えられるからですね。

 そのため、分散、低コスト、というのはあくまでも、「リターンとリスクが同じであれば」という前提条件を満たして上で考える必要があることだということです。

同じものであれば条件のよい方を選ぶのは当然だが・・・

YOHの考え

 今回は投資における分散・低コストの意味について考えてみました。

 分散・低コストを数字の面だけを見ればeMAXIS Slim全世界株式は最も長期投資に適した金融商品であると言えます。

 ・MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをベンチマークとしている(分散)

 ・信託報酬が0.05775%(低コスト)

 eMAXIS Slim全世界株式にはこのような特徴があるからですね。

 しかし、この2つを満たしているから、eMAXIS Slim全世界株式を長期積立することが誰にとっても最も優れている、とはならないというのが私の考えです。

 投資における分散・低コストとは、対象銘柄が多ければよい、信託報酬などのランニングコストが安ければよい、ということではありません。 

 ・リターンとリスクが同じであれば、より分散されている方を選択する

 ・リターンとリスクが同じであれば、より低コストな方を選択する

 投資における分散・低コストとはこのように考える必要があるということです。

 ・eMAXIS Slim米国株式(S&P500)とeMAXIS Slim全世界株式を比較すると、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は分散・低コストという面に関しては劣っています。

 ・対象地域は米国のみ

 ・対象銘柄は約500銘柄

 ・信託報酬は0.04%高い

 このような面で分散性、コスト面で劣後しているということです。

 しかし、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)に投資をすることがeMAXIS Slim全世界株式に投資することよりも劣っているのかと言えば、そうではないですね。

 2つの投資信託は過去のパフォーマンスが異なっているからです。

出典 Googlefinance

 これは、VOOとVTのパフォーマンスの比較になりますが、VOO(S&P500)のパフォーマンスがVT(全世界株式)を大きく上回っていることがわかります。

 これが、今後も続くことを信じるのであれば、分散性、コスト面で劣っていても、長期投資の対象として、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)を選ぶことは自然な考えであると言ってよいということです。

 投資において、分散、低コストというのは非常に重要で誰しもが意識をする必要があります。

 差が小さくとも、長期的に見れば、パフォーマンスに与える影響が大きくなる可能性があるからですね。

 しかし、その考え方には注意をしておく必要があるということです。

 ・対象銘柄が100銘柄よりも500銘柄の方がよい

 ・信託報酬は0.01%でも安い方がよい

 投資における分散・低コストはこのような単純なものではないということです。

 実際のところ、eMAXIS Slim全世界株式は非常に優れており、誰が投資をしても長期的に見れば資産を増加させてくれる可能性が極めて高い金融商品です。

 そして、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)も投資信託としては非常に低コストで銘柄分散も十分にできています。

 長期投資においては、どちらを選択しても大正解というのが私の印象です。

 そのため、どちらに投資をするかについては、それほど深く考える必要はないかもしれません。 

 その上で、eMAXIS Slim全世界株式を投資対象とするのであれば、自分自身が考えて納得した上で選択する必要があります。

 ・より分散されているから

 ・ランニングコストが最安水準だから

 このようなことだけで、他の選択肢を排除してしまうことは、分散、低コストを考えた投資とは言い難いと私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 過去の資産形成は「長期・積立・分散」で十分でしたが、現環境下では「低コスト」も意識する必要がありますね。

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