積立投資
多くの会社員や公務員の資産形成において相性がよいのが積立投資です。
・毎月決まった金額で投資信託やETFを購入する
・それを長期的に継続する
株価などを気にすることなく、これをするだけで、将来にまとまった金額の資産を形成することができる可能性が高いからですね。
・月5万円
・積立期間30年間
・利回り4%
この条件で積立投資をした場合、積立期間終了後には3,470万円の資産が形成できていることになります。
積立投資額が1,800万円で運用益が1,670万円ですね。
この運用益の1,670万円というのは、いわゆる、お金がお金を生み出してくれる効果によって形成することができる金額です。
この金額は非常に大きいもので、これを手にすることができる可能性が高いのが積立投資であるということです。これが、積立投資が人気のある理由です。
そして、積立投資をしている投資家の中にはやや極端な意見を持つ方もおられます。
・積立投資をしていれば将来におけるお金の不安は解消される
・資産形成は積立投資だけをしていればよい
ざっくりとまとめると、このような意見ですね。
これらの意見の言わんとしていることは理解できますが、実際に正しいのかと言えば、そうとは言い難いというのが私の考えです。
その理由は、「最適な積立投資が資産を守ることとイコールではない」からですね。
・積立投資の仕組みについて
・何故、最適な積立投資が資産を守ることとイコールではない
今回は積立投資についてこの2点を中心に触れてみたいと思います。
積立投資の仕組みについて
最適な積立投資が資産を守ることとイコールではないことを理解するには、最適な積立投資を理解する必要があります。
・長期
・分散
・低コスト
最適な積立投資とは、この3点を満たしておく必要があります。
そして、この3つを満たした積立投資を行う上で抑えておきたいのが「ドルコスト平均法」です。
ドルコスト平均法とは、価格が変動する商品に対して、常に一定額を定期的に購入する方法です。
・価格が低い時は多くの口数を購入できる
・価格が高い時は少ない口数しか購入できない
このような特徴があります。図解にすると下のようになります。
ドルコスト平均法最大のメリットは、指数の上下動を考える必要がないことです。
これが積立投資と極めて相性がよいということです。
株式というのは、基本的に値段の上下動があります。
そして、投資家であれば誰もが安い時に株式を購入したいと考えます。しかし、それをすることは非常に難しく、誰もができることではありません。
しかし、ドルコスト平均法を使って積立投資をするのであれば、長期的に見て安定した価格で株式を購入することになるということです。
・高い時も購入する
・安い時も購入する
このようなことを続けることによって、長期的に見れば、平均的な価格で株式を取得することができることになるということです。
そのため、ドルコスト平均法を用いて積立投資をする場合の前提条件は「指数が長期的に見て右肩上がりである」ということです。
・何十年とボックス相場が続いている指数
・右肩下がりの指数
このような指数をベンチマークとしている金融商品を選択してはドルコスト平均法の意味がないということですね。
資産が増加するとドルコスト平均法の効果は薄れる
長期的に見て平均的な価格で株式を取得できるドルコスト平均法ですが、これが、積立投資で形成した資産に安定性をもたらすこととイコールではありません。
積立投資を長期的に継続してれば、何千万円という資産を形成することができます。
・月5万円(年間60万円)
・利回り4%
上でも例に挙げましたが、この条件で積立投資をしていれば、30年後には3,470万円の資産を形成することができています。
そして、この3,470万円の資産に対して、月5万円の積立投資でリスクを軽減することができるのかと言えば、そうではないということです。
仮に、指数が20%の下落をした場合、資産額は2,776万円になります。
これに対して、月5万円の積立投資を継続することで、資産額の増加は割合で見た場合、非常に小さなものになるということです。
このようなことから、ドルコスト平均法で軽減することができるリスクというのは、あくまでも取得単価を平準化するということのみであるということです。
何十年と変わらない金額を積立投資することは資産形成において重要ですが、資産規模が大きくなればなるほど、積立で軽減できるリスクというのは小さくなるということです。
・積立投資で形成した資産をリスクから守る
・積み立てた資産を暴落から守る
そのため、このようなことに対しては、別の方法でアプローチをする必要があるということです。
YOHの考え
今回は最適な積立投資が資産を守ることとイコールではない、ということについて触れてみました。
もうすぐはじまる新しいNISAの影響もあるのでしょうが、長期の積立投資が非常に注目を浴びています。
そのような状況で、やや極端な意見が散見されるようになってきています。
・優良な金融商品を選んで積立投資だけをしていれば将来は安泰
・積立投資をしないなんて情報弱者
このような意見ですね。
私自身もドルコスト平均法を用いた長期の積立投資を資産形成の軸としていますが、積立投資だけをしていれば、将来の金銭的な心配が無くなるとは考えていません。
その理由のひとつが、「ドルコスト平均法が積立投資で形成した資産に安定性をもたらすこととイコールではない」からですね。
ドルコスト平均法を用いた長期の積立投資というのは、あくまでも積立投資の平準化をするだけで、それ以上でも以下でもないということです。
・積み上げた資産を守る
・資産のリスクヘッジ
このようなこととは関係がないということです。それは、資産額が大きくなっていくほど、顕著となるということです。
積立投資をした資産が何千万円という状況になった場合のリスク軽減方法というのは、積立投資を続けることとは別に考える必要があります。
・ディフェンシブな株式をポートフォリオに組み込む
・債券やゴールドをアセットアロケーションに組み込む
このような方法でリスク軽減を図る必要があるということです。
いずれにせよ、積み立てた資産をリスクから守ることがドルコスト平均法で積立投資をすることととはイコールではないということです。
最適な積立投資を何十年と継続することと、将来のリスクを軽減することはイコールではありません。
もちろん、ドルコスト平均法を用いた長期の積立投資は資産形成の王道と言ってよい投資手法です。
しかし、それだけで完結するほど資産形成は単純なものではないということです。
・慢心
・おごり
このようなことを持つことなく、淡々と自分の基準に寄り添って積立投資をしていくことが資産形成においては、何よりも大切だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
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