GPIFの運用損が3カ月で1兆8,530億円
年金関連のニュースとして最近話題になっているのが、この1年間のGPIFの低調なパフォーマンスです。
・4四半期連続で収益率がマイナスになっている
・2022年度第3四半期での運用損が1兆8,530億円
この表を見てわかるとおり、収益率がマイナスの状況が続いています。2020年度は後1四半期を残してはいますが、運用損が7兆3,000億円以上になっています。
このようなことから、年金運用について不安感を抱く方もおられるでしょうが、私は年金受給(年金がもらえること)に関してはそれほど不安視していません。
その理由は年金積立金を管理運営しているGPIFが極めて優秀だからですね。
・GPIFとは
・GPIFの運用実績
今回はこの2点を中心にGPIFの年金運用と年金受給について触れてみたいと思います。
GPIFとは
GPIFの正式名称は、年金積立金管理運用独立行政法人といいます。GPIFの主な仕事は年金積立金を管理運用です。
労働者が年金を納めているのは、自分の年金を積み立てているわけではありません。
今の受給者が受給する分を現役労働者が納めているのです。そして、年金の財源は3つあります。
・保険料
・税金(所得税、住民税等)
・積立金
今は、保険料と税金で年金制度が維持されており、積立金には一切手をつけていないということです。
積立金は将来、労働者人口が減少して受給者が多くなった際に取り崩して使うためのお金です。その、3つのうちのひとつである積立金を管理しているのがGPIFです。
・年金は将来もらえない
・年金は納めるだけ無駄
このような意見を持たれている方も少なからずおられますが、GPIFが積立金を管理している限り、今後30年間で年金財源にが枯渇することは考えにくいと言ってよいですね。
・総額189.9兆円を運用
・利回り3.69%(2001年度~2021年度第3四半期)
・収益額98.1兆円(累計収益額)
この数字だけを見ても、GPIFは極めて健全に積立金を運用して増加させています。
この運用実績の主な理由は、大きな資金力を活かして債券と株式を均等にしたシンプルなポートフォリオを組んでいることですね。
・国内債券
・外国債券
・国内株式
・外国株式
この4つの資産クラスの構成比率をほぼ同率にしたポートフォリオを組んでいることが長期的に収益を上げていることに繋がっているということです。
次にその運用実績を確認していきます。
GPIFの運用実績
GPIFの運用実績については以下の資産推移グラフを見れば一目瞭然です。
2001年からの運用実績を見ても非常に好調であることがわかります。
・年間収益率 3.38%
・収益額 98.1兆円
2021年第4四半期から2022年第3四半期の4四半期連続で収益率がマイナスであっても、これだけの収益を上げているということです。
YOHの考え
今回はGPIFの年金管理運営状況について触れてみました。
・総額189.9兆円を運用
・利回り3.69%(2001年度~2021年度第3四半期)
・収益額98.1兆円(累計収益額)
このような数字から見ても、GPIFの年金管理運営状況は極めて良好と考えておいてよいですね。
直近の2022年第3四半期は収益率が0.97%のマイナスになっていますが、これは外国債券のパフォーマンス低下が主な要因です。
この外国債券のパフォーマンス低下が大きいということです。しかし、債券と株式を均等にしたポートフォリオを組んでいるため、このようなことがあっても問題ないということです。
・株式が上がれば債券が下がる
・株式が下がれば債券が上がる
株式と債券のパフォーマンスはこのようなシーソーの関係と言われているからですね。
そのため、外国債券の収益率が5.33%と大きなマイナスであっても、全体では収益率が0.97%のマイナスで収まっているということです。
・超暴騰は期待できないが、超暴落はない
・長期的には右肩上がりで推移していく
GPIFはこのような年金積立金について、このようなスタンスで管理運営を行っているということです。
しかし、GPIFの管理運営が順調であるからといって、年金制度が安泰であるかと言えばそうではないですね。
・保険料
・税金(所得税、住民税等)
・積立金
年金運営はこの3つを財源としており、現在は保険料と税金で賄われています。そして、年を重ねるごとに受給者に不利になるような改正が進んでいます。
・受給額の減少
・受給開始年齢の上昇
・厚生年金保険料負担率の上昇
このようなことは避けることができません。そして、老後生活を年金受給だけで乗り切ることは難しい世の中になっていくということです。
年金制度については、GPIFの管理運営状況を見る限り、過度に不信感を抱く必要はありません。
しかし、年金受給だけに頼らない人生設計をすることも大切であると私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
年金制度の改正から老後資産として用意しておく金額については、こちらで記事にしています。
2022年に年金制度に導入された在職定時改正についてはこちらで記事にしています。対象者に年金受給金額が増える改正です。
これからは、年金受給に頼らない人生設計をする必要があるということは数字を見ても明らかですね。