死亡リスクと長生きリスク
2020年に発売された「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」の中で触れられているのが「長生きリスク」です。
・死亡リスク
・長生きリスク
全ての人はこの2つのリスクに向き合っていく必要があります。そして、多くの人は死亡リスクには準備をしていますが、長生きリスクに対してはそうではありません。
・生命保険
・医療保険
・健康に気を使う
・適度な運動習慣
・適度な食事
これらのことを考えて生活している方は多く、これらは死亡リスクを軽減することに繋がります。しかし、多くの人は長生きリスクに対して備えることについてはしていないということです。
それに備えるのが「長寿年金」と言われる保険商品です。
・長寿保険について
・長寿保険は必要か
今回はこの2点について考えてみたいと思います。
長寿年金
長寿年金とは民間生命保険会社が販売している保険商品の一種です。年金という名前がついていますが、中身は完全な保険商品だと言ってよい作りです。
・生きている間に掛金を支払う
・満期になれば、一生涯に渡って年金を受け取ることができる
ざっくりと言えば、このような保険商品です。通常、保険商品というのは死亡リスクに対して備えをするものです。正確に言えば、加入者の家族を金銭的に守るための保険です。
・自身が死亡したら家族が生活できなくなる
・自身が死亡した時にために家族にお金を残しておきたい
このようなことを考えて通常は保険に加入します。しかし、長寿年金は逆で、自分が長生きする際のリスクに対してかけておく保険です。
・自分が100歳まで生きて生活費が足りなくなる
このようなリスクに対して加入者を守るための保険だということです。
長寿年金の仕組み
長寿年金には様々なものがありますが、おおよその仕組みは以下のようなこのです。
・払込期間は40歳から60歳までの20年間
・払込額は年間120万円(合計2400万円)
・60歳時点で満期になり、そこから終身で年金が支給される
・支給額は年間96万円(掛金の4%)
商品設計は様々でしょうが、概ねこのようになっており、掛金に応じて支給額が増加していく仕組みになっています。損益分岐点は平均寿命付近に設定されており、平均寿命を過ぎれば払込額よりも多い金額を生涯受け取ることができるということです。
長寿年金のメリット
長寿年金最大のメリットは、払戻金が生涯に渡って受け取ることができるということです。当然ですが、人は自分がいつ亡くなるかを知ることができません。
・健康に気を付けて生活していたが70歳で亡くなった
・不健康な生活をしていたが、90歳まで生きた
このようなことはありふれていると言ってよいですね。そのため、自分が何歳まで生きるかは予測すらできません。その問題点としては、お金がどれだけ必要になるか分からないことにあります。
・60歳時点で5,000万円の資産がある
一般的に考えれば、このような状態は優良な資産状況だと言えますが、それでも長生きリスクに対しては不安が尽きません。
・100歳まで生きれば資産が枯渇する
・それ以上生きればどうすればよいのか
このような不安があるということです。しかし、長寿年金で生涯に渡って払戻金を受け取ることができれば、このような不安は解消されることになります。
長寿年金は必要か
このように現役で働いている時に掛金を拠出して、生涯に渡って払戻金を受け取ることができる長寿年金ですが、加入する必要があるかは人によって異なるというのが私の考えです。
長寿年金の最も大きなデメリットは拠出額自体が増えていかないことにあります。
・払込期間は40歳から60歳までの20年間
・払込額は年間120万円(合計2400万円)
・60歳時点で満期になり、そこから終身で年金が支給される
・払戻金額は年間96万円(掛金の4%)
先ほど例に出したこの長寿年金の場合、20年間の掛金と払戻金は常に一定です。特に、毎年払い込んでいる金額は変動することはありません。しかし、自分でこの金額を運用すれば増加させられる可能性があります。
同じ金額を払込期間と同じ20年間運用した場合、合計金額は約3,660万円になります。払込金額2,400万円に対して、運用益が1,200万円になります。
長寿年金を長生きリスクのリスクヘッジとして使った場合、この運用益を取り逃がしてしまう可能性があるということです。
もちろん、運用には元本割れのリスクがあります。ここをどのように考えるかが、人それぞれだということです。
YOHの考え
私は「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」を何度か読み返しましたが、この長寿年金の部分については疑問点が残る、という感じを持っています。(著書では長生きリスクに対して備えをし過ぎないようにしよう、という説明の一環として長寿年金が用いられています)
私自身は、長寿年金で長生きリスクに備える必要はないと考えています。現役世代の時から備えるのであれば、株式投資などの資産運用で備える方がよいということですね。
・準備期間を長期間とることができる
・投資対象を自分で分散することができる
長寿年金よりも株式投資の方がこのような点で勝っていると考えているからですね。
20年以上の準備期間を取ることができれば、元本割れのリスクは非常に小さくなるでしょうし、リターンが乗った場合は元本を大きく上回る資産を構築することができるからですね。
しかし、長寿年金には一定のリスク軽減効果があることは間違いがありません。
・長寿年金を積み立てて、払戻金だけで老後生活が送れる金額になればお金の心配をしなくてもよい
・平均寿命付近で亡くなれば、お金を無駄なく使い切って人生を終えることができる
このようなメリットがあるからですね。これをどのように考えるかは人それぞれです。
・現役労働者の時は株式の積立投資を行う
・リタイアすれば、積立は行わないが株式投資による運用は続ける
・株式投資分を取り崩して生活をする
私であれば、老後になっても株式投資をして資産を増加させることを考えつつ生活することで長生きリスクに備えることにします。(もちろん、現金保有率は高めに保つ必要があります。)
長生きリスクは誰にとっても悩ましい問題で、誰しもが向き合う必要があります。それぞれが最も適していると考える方法で備える必要がある、と私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
長生きリスクに対する備えとして有名なのが4パーセントルールですね。私は4パーセントルール自体については否定的です。
老後に大切なことはお金ではなく健康であるのは間違いがありません。
長生きリスクに対してするべきことはこちらで記事にしています。