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4%ルールでFIREできない3つの理由【トリニティスタディ】

トリニティスタディと4%ルール

 トリニティスタディとは、アメリカのトリニティ大学の研究者が資産の取り崩しについて、取り崩す金額と期間について研究したものです。

 そして、その中で言われているのが、資産を1年間定額4パーセントで取り崩すと、非常に高い確率で30年後も資産が残っているというのが4%ルールです。4%ルールをFIREの指標とされている方もおられますね。

 ・債券50%、株式50%の割合で資産を保有する

 ・資産を4%ずつ取り崩して生活する

 ・30年後には97%の確率で資産が残っている

 ・30年後には資産が約3倍になって残っているのが中央値

 4%ルールはこのように言われています。株式に関しては、優良な指数に連動するものであることが絶対条件ですね。

 ・債券5,000万円、VOO5,000万円、計1億円でFIRE

 ・毎年400万円ずつ取り崩して生活する

 ・30年後には97%の確率で資産が残っている

 ・30年後には資産が3億円になっている

 具体的に考えるとこのようになるということです。これは、普通に考えてかなり違和感がありますね。

 ・複利や配当金によって、25年以上生活することができるのは理解できる

 ・30年後に3倍の3億円になっているのは想像しにくい

 このように考えるのが一般的だということです。そのため、今回は4%ルールについて考えてみたいと思います。

4%ルールの問題点

 結論から先に言えば、4%ルールを日本においてそのまま適応することは難しいというのが私の考えです。

 ・中央値では30年後に資産が3倍にならない

 ・資産増加にインフレを考慮する必要がある

 ・早い段階で暴落がきたら積んでしまう

 この3点から4%ルールには懐疑的ということです。それぞれについて、順番に触れていきます。

中央値では30年後に資産が3倍にならない

 4%ルールに懐疑的であるひとつ目の理由が「中央値では30年後に資産が3倍にならない」ということです。

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出典 セミリタイヤドットコム

 これは、4%ルールの資産増加表ですが、これを見ると、確かに債券50%、株式50%で資産を保有していた場合、30年後の資産は2.971倍になっています。しかし、注意点としてこの表の数値は中央値であるということです。

 お金に関する数値は中央値と平均値を確認する必要があります。4%ルールの平均値は以下のようになります。

 ・債券50%、株式50%で資産を保有

 ・総資産は1億円

 ・年間400万円を取り崩していく

 ・債券の利回りは年2%、株式の利回りは年7.5%とする

 ・株式の配当金は再投資

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 上記の条件で計算した結果がこの表になります。

 ※文字が小さく見づらいですが、重要な数値は30年後の引き出し後総資産(黄色のセル)だけです。

 債券2%、株式7.5%とかなりの高利回りで計算しても、30年後には1.3倍の1億3000万円にしかなっていないことがわかります。年間400万円ずつ取り崩して資産が増えていることに驚きは感じますが、3倍の3億円にはほど遠いですね。

 さらに、今回の計算では税金を考慮していないので、税金を考慮すると、1億円を下回る可能性が高いということです。

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 30年後に資産が3億円になる場合を考えると、株式の利回りは11.2%(債券は2%)にする必要があります。これは、どう考えても難しい利回りです。

 株式の利回りを11.2%にしなくても、年利6.6%で運用をすれば、4%ずつ取り崩しても中央値の3億円になりますが、保有資産の50%が債券というアセットアロケーションでは年利6.6%というのは現実的ではないですね。

 ここに税金を考慮すると、年利8%以上で資産運用する必要があるということです。

 ・中央値の数値にするには、保有資産に債券を50%含んで年利8%で運用する必要がある。

 ・平均値では資産は1.3億円となる

 中央値では3億円になっていますが、平均値ではこのようになるということです。

インフレを考慮する必要がある

 4%ルールに懐疑的であるふたつ目の理由が「インフレを考慮する必要がある」ということです。

 現在の1億円と30年後の1億円は同価値ではありません。現代のように世界的に経済発展していく資本主義中心の世界では、インフレが進んでいくことが一般的です。現在1億円で購入できるものが30年後には購入できないということが起こるということです。

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出典 世界経済のネタ帳

 アメリカのインフレ率を確認すると、平均して年間2~3%進んでいることが確認できます。年間3%のインフレが30年間続くと、資産は2.5倍になります(103の30乗)。そう考えると、今の1億円は30年間ホールドし続けているだけで2.5億円になるということです。(インフレによってお金の価値は下がっています)

 トリニティスタディでは資産を4%ずつ取り崩して、30年後に資産が3倍になっていますが、これはインフレの影響を多分に受けていることは間違いないということです。

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出典 世界経済のネタ帳

 日本とアメリカのインフレ率を比較するとこのようになります。日本はアメリカほどインフレは進んでおらず、平均すると-0.5~1%ほどのインフレ率となっています。

 インフレ率が0.8%とすると、30年後の資産は1.28倍になることになります。アメリカの2.5倍と比較すると約2倍の差があるということです。

 このことからも、トリニティスタディと4%ルールは日本の現環境にそのまま当てはめることは難しいと考えることができますね。

早い段階で暴落が来たら積んでしまう

 4%ルールに懐疑的である三つ目の理由が「早い段階で暴落がきたら積んでしまう」ということです。

 4%ルールの4%は定率4%なので、生活は非常に安定します。資産1億円でFIREすれば、その後の資産が増減しても4%の400万円ずつ取り崩すということです。

 ・資産が2億円になったから800万円取り崩す

 ・資産が5000万円になったから200万円しか取り崩せない

 このようなことではないから、FIREの指標となっているのですね。しかし、FIREした後に早い段階で、資産が大きく減少するようなことが起これば、その後の生活は非常に苦しいものとなります。

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 株式と債券で年利4%で運用して、大きな暴落がないボックス相場が30年間続いた場合、資産の減少は非常に緩やかなものとなります。徐々に減っていき、30年後には約8,700万円が残っていることになります。

 これは精神的に非常に楽ですね。取り崩しつつ30年後にも十分に資産が確保できていることになるからですね。しかし、早い段階で暴落が起こった場合は、30年間の利回りが同じでも違った結果になります。

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 30年間の総合利回りは104%ですが、2年目に資産が50%下落する大暴落が起こった場合、20年目には資産が底をついてしまっています。これは、株式が元本毀損に弱いという性質を持っているからですね。

 ・100万円の株式が10%下落 評価額 90万円

 ・次の日に10%上昇 評価額 99万円

 このように、下落幅と同じだけ上昇しても株式の評価額はマイナスになります。株式で下落を取り戻すには、下落幅以上のパーセンテージの上昇を必要とするということです。

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4%ルールは単純なものではないことを頭に入れておく必要はある。そこからの考え方は個人次第。

YOHの考え

 私はトリニティスタディの4%ルールについては懐疑的です。

 ・中央値では30年後に資産が3倍にならない

 ・資産増加にインフレを考慮する必要がある

 ・早い段階で暴落がきたら積んでしまう

 懐疑的なのは、この3つの理由からですね。

 ・平均値では30年後の資産は1.3倍に留まっている

 ・30年後の資産が3億円になるうち、2.5億円はインフレによるもの。

 ・株式は元本毀損に著しく弱い。早いうちに資産が大きく減るとリカバリーできない

 数値を使って考えた結果はこのようになりました。これは、あくまでも私個人の考えなので、実際のところ、どのようになるかはわかりません。

 しかし、資産が1億円に到達したから、4%ルールを適応してFIREしよう、とは私は考えません。400万円ずつ取り崩して、30年後に資産が3億円になる未来がどうしても想像できないからですね。(5,000万円残っている未来も怪しいと感じます)

 公務員や会社員でFIREに憧れを持つ方は少なからず存在します。そして、公務員や会社員がFIREするならば、人生設計を綿密にして、慎重に慎重を重ねてするべきだと私は考えています。

 トリニティスタディと4%ルールの捉え方や感じ方は人それぞれで、適応の仕方も異なります。大切なのは、自分にとって都合のよい数値だけを鵜呑みにしないことです。悪い条件も加味して受け入れることが必要だと私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 私の資産運用の目的は老後資金の捻出です。

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