ヤフーニュースの記事
要約すると、仙台市で日中のみ救急車に乗って働く救急隊員が誕生するという内容です。この記事では子育て中の女性が「デイタイム救急隊員」となり、8時30~17時まで働くということが取り上げられています。
今回はこの内容について、救急隊員の目線から考えてみたいと思います。
救急隊員の勤務体系
消防機関は24時間365日休みことなく全国で稼働しています。そして、誰しもが使うことのできる公共サービスのひとつですね。
・お金を持っている人
・税金を多く納めている人
・外国の方
このようなところに線引きはなく、日本国内にいればどのような方であっても等しくサービスを受けることができます。
・消火業務・・・火事の火を消す
・救急業務・・・急病の人を病院搬送する
・救助業務・・・車の閉じ込め事故などの人命救助
24時間提供しているのは主にこのようなサービスですね。主に緊急的な災害対応を担っており、救急隊員はこの中の救急業務を担当しています。そのため、勤務形態は24時間が基本となります。そして、勤務している間は救急出動以外は庁舎から出ることはできません。
・休憩時間に近くのコンビニに行く
・仮眠時間は家に帰って寝る
このようなことはできないということです。そのため、子育てや親の介護などで毎日家に帰る必要がある方は救急隊員として働くことが極めて難しいということです。
デイタイム救急隊員のメリット
消防組織では、救急隊員として働く女性の方は少なからずおられます。しかし、結婚や出産などを経て、職場復帰した後に救急隊員として復帰する方は非常に少ないというのが私の印象です。
・家事
・子育て
このようなことを考えると、どうしても24時間勤務で働くことが難しいからですね。しかし、女性救急隊員の中には非常に優秀な方が数多くいます。しかし、24時間勤務をすることができないという理由から救急隊員以外の日勤職員として働かざるを得ない方がいるということです。
そんな方の要望に応えているのが今回仙台市で発足したデイタイム救急隊員という仕組みだということです。
デイタイム救急隊員のデメリット
フレキシブルに働くことができるデイタイム救急隊員にはメリットがありますが、当然デメリットも存在します。一番のデメリットは「しわ寄せを食う救急隊員が出てくる」ということです。
私もは救急隊員として働いていますが、救急出動で肉体的にも精神的にもきついのは夜間の時間帯です。
・17時以降
・特に22時以降
この辺りの時間帯からは非常にきついと感じることが多いですね。夜の時間帯の出動は救急隊員にとって不利なことが非常に多いからですね。
・病院の診療科目が少なくなり、受入可能病院が少なくなる
・視界が暗くなり活動自体がしにくくなる
・仕事を終わらすには仮眠時間を削る必要がある(残業代は出ない)
このようなことが夜間の救急の仕事にはついて回るからですね。救急隊員全体が24時間勤務であれば、負担軽減できるのですが、デイタイム救急隊員の配置の仕方によっては、24時間勤務の救急隊員にしわ寄せがいくことが十分に考えられるということです。
YOHの考え
このデイタイム救急隊員は政令指定都市などの大きな市ではすでに導入されています。やり方としては、仙台市と同様に日中に稼働している救急車の台数を増やすという方法です。
救急件数が多いのが日中なのでその時間帯に救急車の台数を増加させることは市民サービスを向上させることは間違いないと言ってよいですね。しかし、隊員の負担軽減になるかと言えば一概にそうとは言えないということです。
・救急件数が少なくとも疲労度は夜間の方が強い
・救急活動困難事例は夜間の方が多い
このようなことを考えると、救急隊員の負担軽減としてデイタイム救急隊員に大きなメリットがあるとは言い切れないということです。しかし、総合的に勘案するとデイタイム救急隊員はメリットの方が大きいというのが私の考えです。
・市民サービスの向上
・優秀な女性救急隊員の人事的な適正配置
・いくばくかの救急隊員の負担軽減
このようなことは市民や消防組織としてメリットがあるからですね。今後もこのようにフレキシブルに働ける環境が整っていけばよいのでは、というのが私の考えです。
ご覧いただきありがとうございました。
救急に関してはこちらで記事にしています。(一部リンク切れの記事があります。)