WJとは
YOHの趣味のひとつとしてプロレス観戦があります。どちらかと言えばマイナーな趣味ですね。
・内藤哲也
・高橋ヒロム
・エル・デスペラード
このようなプロレスラーの名前はプロレスに興味がある方でないとそれほど耳に入ってくることはないですね。しかし、過去のプロレスラーの名前を知っている方は非常に多いですね。
・アントニオ猪木
・ジャイアント馬場
・長州力
このようなプロレスラーについては、耳にしたことがあるという方が大半ではないでしょうか。そして、これらのプロレスラーは自分でプロレス団体を立ち上げています。
プロレス団体というのは会社経営で利益を出していくためには、はっきりとした経営戦略が必要です。
・アントニオ猪木・・・新日本プロレス
・ジャイアント馬場・・・全日本プロレス
この2つは紆余曲折がありながらも現在も存続しており、新日本プロレスは世界的に見ても業界第2位の規模といってよい成功を納めています。しかし、長州力が2002年に旗揚げしたWJ(ファイティング・オブ・ワールド・ジャパン・プロレスリング)は違った結果となってしまったことでプロレスファンの間では非常に有名です。
資産運用をはじめて思ったのが、このWJの経営戦略は反面教師という意味で非常に参考となるところが多数あるということです。今回は長州力が旗揚げしたWJの経営内容について触れてみたいと思います。
WJの懐事情
新日本プロレスに所属していた長州力は様々な経緯があり、新日本プロレスを退団して新たな団体を作ろうと動き出します。そうして生まれたのがWJです。
・代表取締役 福田政二(北海道の実業家で実質的なスポンサー)
・専務 永島勝司(元新日本プロレス取締役)
・取締役 長州力(経営者 兼 看板選手)
このような体制でWJは動き出すことになりました。最初に福田氏が1億円をWJに融資しますが、ここからWJは恐るべき早さでお金を使っていくことになります。
・選手支度金 1人500万円(合計4000万円)
・サイパンでの合宿費 400万円
・社長の車(セルシオ) 700万円
・会場設営 1,000万円
・道場 700万円
・バス、トラック 1,500万円
・事務所費用 120万円/月(敷金800万円)
その他にも選手への給料は高水準に設定しており、永島、長州力体制のWJは1億円を旗揚げ前の1カ月で使い切ってしまいます。しかし、スポンサーの福田氏はさらに1億円を追加融資します。
旗揚げからの問題
多くのお金をかけて迎えた2003年3月の横浜アリーナの旗揚げ戦は、他の格闘技イベントと日程が重なるなどの不運もあって客入りは半分程度。試合内容もメインイベントが10分未満で終わるなど、ファンからすれば決してよいものとは捉えらず、WJにさらに不穏な空気が漂っていきます。
ここからさらにWJの迷走は拍車をかけることになります。
・メインイベントに長州力が出てこない(客が少ないことに嫌気がさした?)
・看板選手の大仁田厚が欠場(参議院議員で臨時国会に待機する必要があってプロレスどころではない)
・スカパーと進んでいた放映交渉の頓挫
このような問題があり、興行は不調続きとなります。しかし、選手の給料は高水準を維持しています。そこでWJは起死回生の策に出ます。
総合格闘技X-1
WJはそのころに大きなブームとなっていた総合格闘技に乗り出すことにしたのですね。しかし、この総合格闘技に乗り出したことがWJ最大の失敗となりました。
・選手から資金を借入する(佐々木健介選手から500万円)
・怪しい外国人からの業務提案を全面的に受け入れる
・会場設営が上手くいかずに、直前になってタウンページで探した板金屋に設営依頼
・それも試合中に壊れてしまい、セコンドの選手が抑えて試合をする
・出てきた外国人選手は素人同然
・会場がダブルブッキングされており使えない
このようなことが起こってしまったのですね。そして、このような状況になりながらも責任者の長州力が営業活動などに協力姿勢を見せないため、社員の不満も爆発してしまいます。
・WJの興行的不入り
・給与の未払い
怒った社員はこのようなことを新聞社に暴露します。このような内情にようやく焦りを見せた永島氏は何とかお金を工面するために、自分から出て行った新日本プロレスに頭を下げて対抗戦を取り付けます。
しかし、一度出て行ったプライドなどが影響して、長州力は頭を下げることができず、新日本プロレスとの対抗戦をすることはありませんでした。このようなことが重なり、旗揚げ1周年でWJは終わりを迎えることになりました。
YOHの考え
長州力と言えばプロレス界では誰もが知っているスター選手です。しかし、WJでは大きな失敗をすることになりました。その原因はプロレス経営の素人だったからですね。
・チケットを売ることのできる営業がいない
・資金計画やお金の管理ができる経理マンがいない
このような企業状態に問題があったということです。そして、このような状態であるならば責任者が解決する必要があるのですが、その危機感もなかったということです。
現場を知っている優れたプレーヤーが優れた経営者になれるかどうかは別問題だということです。経営者は会社を守るためにすべきことは何でもする必要があります。
・身体を張って試合に出続ける
・退団した新日本プロレスに頭を下げてマッチメイクしてもらう
WJを存続させたかったのであれば、このようにとくかく駈けずり回ってプライドを捨ててでも会社を立て直す必要があったということです。それができなければ会社経営というのは非常に難しいということです。
今は会社の重役や責任者などもSNSをしていることがあります。
・超高級なスポーツカー
・ハイブランドで固めた身支度
・超高級なアクセサリー
このようなことを重役や責任者がSNSで発信している会社は注意が必要だということですね。経営状態がよく、成果が伴っている分には贅沢をしてそれを自慢することは何ら問題はありません。
しかし、現代においてもWJのような企業がスタンダート(旧東証一部)に属する中にあるということです。そのような会社は「ヤバい会社」だと認識しておいてもよいということですね。
時価総額が大きい企業や羽振りがよい企業がよい企業とは限りません。身の丈に合ったお金の使い方をしており、社員と株主のことを第一に考えている企業がよい企業だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
投資信託も時価総額ランキングがよいものが資産投下に値するわけではありません。
企業と同じく保険営業マンにも良い悪いはありますね。