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【ヤフーニュース】救急車のゆっくり走行について

3月22日のヤフーニュースの記事

 3月22日のヤフーニュースにこのような記事が掲載されていました。

news.yahoo.co.jp

 救急車がゆっくりと走っていることについて、静岡県袋井市森町広域行政組合袋井消防本部がSNSに投稿したという内容です。

 ・救急車はとにかく早く走って病院搬送する

 ・赤信号でもノーブレーキで交差点に進入する

 ・早く走るため、振動がすごい

 一般的には救急車などの緊急自動車の走行には、このようなイメージがあるかもしれませんが、実際にはそうではないことを広報しているという内容です。

 実際に救急隊員として働いている消防職員としても、非常に参考になる内容ですね。今回はこの記事内容について、救急隊員目線で触れてみたいと思います。

救急車には速度制限がある

 救急車はとにかく早く病院到着するために急いで走る、このようなイメージがあるかもしれませんが、実際には大きく異なっています。救急車などの緊急車両は道路交通法によって、速度制限が設けられています。

 ・一般道 80km/h

 ・高速道路 100km/h

 このように速度制限が設けらています。そのため、市街地で100キロ出して走行するということはありえないといってよいのですね。そして、実際には一般道で80キロを出すこともほとんどないと言ってよいですね。

 ・現場に急行するまで 40~50km/h

 ・傷病者を現場から病院搬送するまで 30~40km/h

 私の感覚で言えば、これぐらいのスピード感覚です。交通量の少ない道路であれば、プラス10km/hと言ったところです。

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なぜこんなにも遅いのか

 傷病者を現場から病院搬送する際には30~40km/hで走るということは、普通の自動車と比較してもかなり遅いと言ってよいですが、これには理由があります。

 ・振動軽減

 ・事故リスクの回避

 救急車が遅く走る主な理由はこの2つです。

振動軽減

 救急車が遅く走る理由のひとつ目は「振動軽減」です。

 救急車の多くはシャーシなどから特注の専用車として作られているわけではなく、多くはワンボックスカーを改造して作られています。

 ・トヨタ ハイエース

 ・日産 キャラバン

 ・日産 エルグランド

 このような車を改造してベットや救急資器材などを詰め込んで作られています。そのため、一般の車と比較して振動吸収性が特別優れているわけではないのです。それどころか、救急資器材やベットを装備しているため、車両重量が重くなりがちで、サスペンションが効きにくいということです。

 ・骨折している傷病者

 ・保育器に入った新生児

 このような傷病者を搬送する場合、振動軽減には非常に気を使って走行する必要があるということです。場合によっては、30キロ以下で走行することもあるということです。

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事故リスクの回避

 救急車が遅く走る理由の2つ目が「事故リスクの回避」です。救急車は対人対物どちらでも事故を起こしてしまうと、救急活動がストップしてしまうということです。

 ・心肺停止傷病者を搬送中にバンパーを電柱にぶつけた

 ・窒息している傷病者を搬送中にミラーをこすった

 このような走行に支障がないような対物事故であっても、救急搬送は一旦ストップします。交通事故は警察への通報義務が定められているからですね。

 ・事故を起こした救急車は事故対応に当たるため、別の救急車で傷病者を搬送する

 ・事故現場に隊員1名を残して救急搬送を続ける

 救急車が交通事故を起こした場合、このような対応をする必要があると言うことです。そして、このような交通事故は絶対に避けなければならないことなのですね。そのため、確実に安全が確保できるような速度域で走行する必要があるということです。

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救急車は基本的に低速走行。

YOHの考え

 救急車は速度を出して走るというのが一般的なイメージですが、実際には普通の車よりも遅く走行することが当たり前ということです。

 ・病院までの道路条件がよい

 ・傷病者の緊急度が著しく高い

 ・傷病者の緊急度が高いにも関わらず、近隣病院で受入してもらえない

 このような場合はある程度の速度を出して走行することはありますが、それでも制限速度の80キロを超えることはほとんど無いと言ってよいですね。救急車を運転する上で最も考えることは、どのように走ることが傷病者にとって一番良いかということです。

 ・眩暈がする

 ・吐き気がある

 ・骨折しており、わずかな振動でも痛みがある

 このような傷病者を搬送する場合、早く病院に着くことよりも、安静にして搬送することが傷病者にとっては最もよいということです。

 ・交通事故で意識不明

 ・大量出血

 ・心肺停止

 このような傷病者の場合は、多少の振動があっても早く搬送することが求められるということです。

 実際の傷病者の場合は、どちらかということは少なく、安静に走行することと、速度を出すことの配分を考えて走行する必ため、この見極めをする必要があるということです。遅く走ることには理由があるということです。

 ご覧いただきありがとうございました。

 救急車の有料化についてはこちらで記事にしています。

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 救急隊員と医療行為についてはこちらで記事にしています。

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 救急車の緊急運転についてはこちらで記事にしています。

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