生活防衛資金
資産運用をはじめる時に言われるのが「まずは生活防衛資金を確保しなさい」ということです。
生活防衛資金というのは万が一の時に当面の暮らしを維持していくために備えておくお金のことです。
・会社が倒産した
・病気で働けなくなった
このようなことは誰にでも起こり得ることで、それに備えておくためお金が生活防衛資金だということです。
生活防衛資金に決まった金額はありませんが、よく言われるのは最低でも生活費の3ヶ月分~6ヶ月、余裕を見ておくのであれば2年分は確保しておきなさいということです。
生活防衛資金は多ければ多いほど資産運用をはじめる時に精神的な支えとなります。
しかし、生活防衛資金を多く確保するのであればそれだけ資産運用をはじめることが遅くなってしまいます。
総務省統計局によると、1世帯当たりの平均的な支出は約23万円となっています。
そのため、生活防衛資金を6ヶ月分確保するなら138万円、2年分確保するのであれば、552万円を用意する必要があるということです。
2年分の552万円はもちろんのこと、6ヶ月分の138万円というのも用意するのは簡単ではないですね。
生活防衛資金のために月3万円を貯金していくにしても46カ月、約4年かかることになります。
教科書通りの手順を踏むのであればこの4年間は我慢をする必要があるのでしょうが、私は特定の条件を満たすのであれば、生活防衛資金が少ない状態でも資産運用をはじめてよいと考えています。
・生活防衛資金が少ない状態で資産運用をはじめる条件
・生活防衛資金が少ない状態で資産運用をはじめるデメリット
今回は生活防衛資金についてこの2点を中心に触れてみたいと思います。
生活防衛資金が少ない状態で資産運用をはじめる条件
生活防衛資金が少ない状態で資産運用をはじめる条件とは、以下の条件を満たしておく必要があると私は考えています。
・投資対象を流動性が高い金融商品とすること
・買値を気にせずに売ることができる
この2点を満たした投資をするのであれば、生活防衛資金が少ない状態で資産運用をはじめてもよいということです。
それぞれについて順番に触れていきます。
投資対象を流動性が高い金融商品とすること
生活防衛資金が少ない状態で資産運用をはじめる条件のひとつ目は「投資対象を流動性が高い金融商品とすること」です。
流動性の高い金融商品としてひとつ例を挙げるのであれば投資信託が挙げられます。
・現金化するのに手間や手数料がほぼかからない
・数日で現金化することができる
投資信託はこのようなメリットがあるからですね。他には個別株やETFなども同様の特性を持っていると考えておいてよいでしょう。
一方で流動性の低い金融資産として挙げられるのは不動産などの現物金融商品です。
・現金化するのに手間がかかる
・売却時の手数料が高額
・現金化するのに早くとも数週間は見ておく必要がある
不動産などの現物金融商品にはこのような特性があるからですね。
そのため、生活防衛資金が少ない状態で流動性の低い金融商品を投資対象とすることは万が一の時に生活に支障をきたす可能性が高いということです。
買値を気にせずに売ることができる
生活防衛資金が少ない状態で資産運用をはじめる条件の2つ目は「買値を気にせずに売ることができる」です。
リスク資産と言われる金融商品には必ず値動きがあります。
購入した時は1万円だったものが時間経過とともに2万円になったり、0.5万円になったりするということです。
そして、値動きがしている金融商品というのは売却するのに精神的な負荷がかかります。
これは値上がりしていても値下がりしていても同じです。
・保有していればもっと上がるかもしれないのに今売ればそれを逃して損をする
・買値より値段が下がった状態で売れば損をする
このように、上がっていても下がっていても損をするという気持ちになるということです。
これは、銀行の預金を引き出す感覚とは全く異なっていると言ってよいですね。
しかし、生活防衛資金が少ない状態で資産運用をする場合、このような精神的な負荷がかかるとしても、万が一の時は買値を気にすることなく売却する気持ちを持っておく必要があるということです。
YOHの考え
今回は生活防衛資金が少ない状態で資産運用をすることについて考えてみました。
・投資対象を流動性が高い金融商品とすること
・買値を気にせずに売ることができる
この2点を満たして資産運用をするのであれば、生活防衛資金が少ない状態でも資産運用をはじめてもよいと私は考えています。
資産運用は常に先行者に利益があるようになっています。
・複利効果を長く受けることができる
・失敗してもリカバリーする時間がある
先行者にはこのようなメリットがあるからです。
しかし、何でもかんでも早く始めればよいというものではありません。ある程度足場を固める必要があるということです。
資産運用をしていく上で最も抑えておきたいのは「悪い借金をしながらの資産運用はしない方がよい」ということです。
・カードローン
・マイカーローン
・住宅ローン(これは購入物件や収入に対するローン金額によります)
悪い借金の例としてはこのようなローンが挙げられます。
このようなローンには借りている間に金利が発生します。このローンに対する金利というのは資産運用のパフォーマンスを低下させる大きな要因となります。
楽天銀行のカードローンの金利を確認すると、年1.9%~14.5%となっています。
カードローンを利用しながら資産運用をする場合、このカードローンの利率だけ資産運用のパフォーマンスが低下することになります。
これは資産運用をしていく上でおおきなディスアドバンテージとなるということです。
年1.9~4%なら資産運用のリターンが上回ることもあるでしょうが、年5%を超えると資産運用の長期的なリターンがそれ以上となることは考えづらいですね。
しかし、生活防衛資金が少ない状態で資産運用をする場合、万が一のことがあれば、生活のためにこのような高金利のカードローンを利用する可能性があるということです。
そのようにならないために生活防衛資金、もしくはそれに準ずる金融商品を確保しておく必要があるということです。
資産運用というのはディフェンスから入る方が上手く行くケースが多いと私は考えています。
・ポートフォリオの9割が株式
・現金は生活費の1ヶ月分
このような状態はリスク資産の値動きが好調な時はよいのでしょうが、不調になれば自分の許容範囲を超えるほど資産が減少することになります。
その際に冷静な行動が取ることは難しいのですね。しかし、生活防衛資金が潤沢にあれば資産減少に耐える力が強くなるということです。
生活防衛資金が少ない状態で資産運用をはじめるのであれば、生活防衛資金の代わりとなる金融商品を選定をする必要があると私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
資産形成のリスク管理についてはこちらで記事にしています。
資産運用における現金は用途によって分けた方がよいですね。生活防衛資金と金融商品としても現金は別物だということです。
長期投資で心が折れそうになった時に考えることや行動についてはこちらで記事にしています。