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公務員・消防士の退職金で老後が安泰というのは難しい時代を迎えている

公務員の退職金

 公務員・消防士の退職金は一般的な民間営利企業と比較して多いと言われています。定年退職すれば、退職金だけで老後2,000万円問題が解決すると考えている方も少なくありません。

 ・国家公務員・・・国家公務員退職手当法

 ・地方公務員・・・各市町村の条例

 公務員・消防士の退職金はこのような根拠に基づいて決められています。私のような消防士は例外を除いて地方公務員なので、各市町村の条例によって退職金が決められています。

 国家公務員と地方公務員で退職金の額が著しく異なるということはありません。各市町村の条例は国家公務員法を踏襲して作られているからですね。退職手当についても同様で、計算方式は各市町村によって、多少の差異はありますが、大きく異なっていることはないと考えてよいでしょう。

地方公務員の退職金

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出典 総務省 退職手当条例の改正について

 公務員の退職金は基本額と調整額を足したものになります。基本額の占める割合が非常に大きく、調整額はそれほど大きくありません。

 ・年収850万円(退職日給料月額50万円)

 ・60歳で定年退職

 ・勤続38年

 ・消防司令補(主任)

 このケースで退職金を考えてみます。

 ・基本額 50万円(退職日給料月額)×47.5(支給率)=2,375万円

 ・65,000(職員区分)×60=390万円

 ・2,375万円+390万円=2,765万円

 退職金は2,765万円になりました。基本額が2,375万円、調整額が390万円です。

基本額

 退職金の大部分を占める基本額は給料の額と退職理由によって変わります。給料の額は、勤続年数によって上がっていくので、働いている期間が長ければ、その分多くなりますね。

 退職理由は主に5種類に分かれています。

 ・定年、推奨、任期満了、公務外死亡、通勤災害傷病

 ・公務外傷病

 ・公務上死亡、病気、人員整理

 ・公署移転

 ・自己都合

 どのような退職理由であろうと、この5種類の中から当てはめて計算することになります。公務外傷病と自己都合は支給率が低くなり、人員整理や推奨退職は支給率が高くなるのが一般的ですね。

 ・支給額に役職は関係ない

 ・定年退職まで勤めれば、退職金は多くなる

 ・自己都合だと、60%ほどになる(勤続年数による)

 基本額についてはこの3点を押さえておけば問題ないでしょう。

調整額

 公務員の退職金で役職によって変わるのが調整額です。退職時点で平社員と管理職の退職金の差があるのはこの調整額によるものですね。

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出典 宮城県ホームページ

 地方公務員の調整月額は自治体によって異なりますが、役職が高いほど、調整月額が多くなることは共通しています。消防組織に限って考えれば、階級が高ければ高いほど調整額は多くなります。

 ・主任級(消防司令補)32,500円(第7号)×60=195万円

 ・課長級(消防司令長)54,150円(第5号)×60=約324万円

 ・主任と課長で調整額の差は129万円

 消防組織の中で、主任と課長であれば、扱いに天地ほどの差があります。主任級は現場であくせくと働くことを求められますが、課長級は災害では指揮活動を中心に行い、あくせくと動く必要はありません。その代わりに高度な判断と責任が求められます。階級的には2つしか違いがありませんが、そこには大きな違いがあるということです。

 仕事内容と扱いに天地ほどある主任級と課長級ですが、退職金調整額という客観的な数字だけを見れば、129万円しか差がないのですね。

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公務員の退職金で老後安泰という人生設計は難しいものになっている

公務員は勤続年数と退職理由が退職金を決める

 公務員、消防士の退職金は基本額と調整額によって決まりますが、大きなウエイトを占めるのが基本額です。基本額で重要なのは勤続年数と退職理由ですね。公務員、消防士の月額報酬は役職によって差はありますが、それほど多くはありません。

 調整額については、役職の差があっても、100万円~200万円と考えてよいですね。それほど差がつかないというのが、私の印象です。

 ・50歳で自己都合退職(給料月額40万円)

 ・基本額 1280万円

 ・調整額 260万円

 私が50歳でFIREしたいと思い、退職すると退職金は約1,500万円です。

 ・60歳で定年退職(給料月額45万円)

 ・基本額 2,140万円

 ・調整額 260万円

 一方で、定年退職まで勤めた場合は2,400万円となります。この差をどう考えるかは人によって変わりますね。

 しかし、退職金は年々減っていくことは間違いありません。

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出典 マネービバ

 かつては3,000万円近くあったのが、2000万円ほどに下がっています。今後も下がっていき、今の30~40代が定年退職で受給できるのは最大でも1,500万円ほどと考えています。

 退職金で住宅ローンを完済して、年金受給まで生活する、年金受給して老後を悠々自適に暮らす。このような人生設計は難しい時代を迎えているということです。

 退職金は無いものとして、資産形成をしておく。これぐらいの考えをもって、現役世代から資産形成しておくことが求められている時代になっているということですね。

 ご覧いただきありがとうございました。

公務員の給料についてはこちらで記事にしています。

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 退職金などに頼らない人生設計をする必要があるということについては、こちらで記事にしています。

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 年金受給額についてはこちらで記事にしています。年金も難しい時代になってきています。

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