- 老後2,000万円問題
- 公務員・会社員が老後に必要なのは終身年金
- 国民年金
- 厚生年金
- 年払い退職給付・企業年金
- 定年退職まで勤めあげた公務員・会社員が老後に受給できる終身年金の金額
- 繰り下げ受給
- 公務員・会社員の老後の柱は終身年金
老後2,000万円問題
老後の資産形成でよく言われるのが老後2,000万円問題です。
・月20万円の年金受給(夫は40年間厚生年金に加入、妻は専業主婦)
・月25万円の支出(夫、妻の2人世帯)
・30年間生きると1,800万円、それ以上生きると2,000万円が老後資金として不足する
このケースを想定しているのが老後2,000万円問題です。あくまでも、厚生労働省が出しているモデルケース世帯を対象としているので、不足する金額は個々によって大きく異なりますが、おおよその目安になる数字として知っておいてよいですね。
・年金加入状況(国民年金、厚生年金)
・支出の状況
・何歳まで生きるか
これは、個々によって異なるので、老後にいくら必要かは自分で考える必要があります。しかし、年金だけで老後は安泰という人生設計はすでに崩壊しています。
公務員・会社員が老後に必要なのは終身年金
公務員・会社員が老後に必要なのは終身年金です。
・終身年金 死ぬまでもらえる
・有期年金 10~20年など受給できる期間が決まっている
自分がどれだけ生きることができるかは分からないので、有期年金で人生設計することはできません。死ぬまで安定したキャッシュフローがある終身年金が老後生活を支えてくれるものとなります。
・国民年金
・厚生年金
・年払い退職給付、企業年金
公務員・会社員が終身年金として受給できるのはこの3つです。
国民年金
国民年金は公務員・会社員は給料から天引きされているため、強制加入しています。令和3年度の国民年金掛金は月に16,600円です。それを40年間納めると、年間78万円が65歳から受給することができます。
国民年金の掛け金は150円ほどからスタートし、年々右肩上がりです。今後も上昇していくことは、ほぼ間違いないでしょう。今の掛金なら、約11年生きていれば元がとれるのですが、今後は難しい運営を迫られていきますね。
厚生年金
厚生年金の掛金は標準報酬月額によって決まります。収入が多ければ多いほど納める額が多くなり、受給できる金額が多くなる仕組みです。(上限はあります)
掛金は標準報酬月額の18.3%で、公務員なら共済組合、会社員なら会社が半分を負担してくれています。
厚生年金保険料も右肩上がりです。段階的に引き上げられた保険料率は18.3%で引き上げ完了はしていますが、法改正されれば、今後も上昇していきますね。
厚生年金の掛金・受給金額
・40万円(標準報酬月額)×18.3÷2=3.66万円
標準的な公務員・会社員で厚生年金の月々の掛金はが3~4万円です。受給できる金額は年収と加入期間によって決定します。
・40万円(平均月収)×0.005769×480=110.7万円/年
平均的な公務員・会社員で定年退職まで働いた場合、年間約110万円、月9.1万円が受給できます。
年払い退職給付・企業年金
年金部分の3階として、公務員には年払い退職給付、会社員は企業によって企業年金を採用している会社があります。
年払い退職給付・・・掛金4,000円/月 受給金額18,000円/月(共済組合によって異なる)
企業年金・・・企業によって異なる 大企業で受給金額が30,000円/月
定年退職まで勤めあげた公務員・会社員が老後に受給できる終身年金の金額
・国民年金 78万円/年
・厚生年金 110万円/年
・年払い退職給付 21万円/年(今回は公務員の年払い退職給付で計算)
・合計209万円/年(月17.4万円)
定年退職まで働いた場合、月に17.4万円が受給できるということです。妻がいる場合は、さらに国民年金78万円/年が加算されるので、285万円/年(月23.7万円)ということになります。
月23.7万円の安定したキャッシュフローがあるなら、賃貸住宅でも慎ましく生活すれば、十分に生活することができますね。
・60歳で定年退職して
・年金受給の65歳までは退職金を切り崩して
・65歳からは年金で慎ましく生活する
今、退職を迎える方はこのような人生設計が十分に可能です。
繰り下げ受給
キャッシュに余裕があるのなら、受給開始を70歳まで遅らせれば、受給額が42%上がります。繰り下げ受給は65歳から1カ月繰り下げるごとに、0.7%ずつ加算される仕組みです。
・285万円(65歳時点の年金受給額)×1.42=404.7万円(月33.7万円)
月33.7万円受給できるのであれば、お金に関して老後の心配は一切ないと言ってよいでしょう。夫婦で有料老人ホームに入居することも考えられるキャッシュフローです。
繰り下げ受給するには、定年退職からの15年間を乗り切る必要があります。生活費が20万円/月とすると、アルバイトでは難しいですね。それまでの蓄えを切り崩して生活するのが現実的です。
・240万円(年間支出)×15年=3,600万円
蓄えのみで15年間を乗り切るとなると、3,600万円が必要です。これは退職金だけでは足りないので、現役のころからの計画的な貯蓄や資産運用が必要です。
公務員・会社員の老後の柱は終身年金
公務員・会社員の老後生活の柱は終身年金です。
・国民年金 78万円/年
・厚生年金 110万円/年
・年払い退職給付 21万円/年(今回は公務員の年払い退職給付で計算)
・合計209万円/年(月17.4万円)、妻がいれば287万円(月23.9万円)
これが公務員・会社員の終身年金のベース金額です。しかし、人口減少、高齢化によって、年金受給額が減少していくことは間違いありません。私は、2050年にはベース金額の70%ほどが年金受給額だと考えています。
・209万円×0.7=143万円(月12.1万円)、妻がいれば、200万円(月16.7万円)
このような受給額になると考えています。そして、受給開始も70歳になっているでしょう。
2人世帯で月に16.7万円では生活することは困難ですね。ローン完済した持ち家を所有しているなら可能かもしれませんが、賃貸住宅では非常に厳しい金額です。
公務員・会社員は年金が手厚いと楽観視して、漫然と生活していると、非常に厳しい老後を迎えることになってしまいかねません。公務員・会社員の終身年金だけでは、生活することはできない未来が確実に訪れようとしています。
・貯蓄
・資産運用
そうならないために、この2つで老後資金問題を解決していく必要があるのです。
GPIF、マクロ経済スライドがあるので、年金制度そのものは破綻することはありません