平均給与の推移
日本は過去20年間を見ても給料が上昇していないと言われています。
厚生労働省が出している平均給与の推移を見ても、1993年の470万円ほどをピークとして、下落していることがわかります。
しかし、これは働けど働けど給料が上昇しないということではありません。
・パートタイムジョブ
・ギグワーカ
このような働き方を選択する方が増えていることも平均給与が上昇していないことの要因であるということです。
・フルタイムで働くよりも自由な時間が欲しい
・慎ましく暮らしていけるだけの収入があればよい
時代の変化とともにこのように考えて、あえてフルタイムで働くことをしない生き方をする方が増えてきているということです。
日本の個人事業主、フリーランスは1,200万人
総務省の統計事務によると、日本の労働者人口は6868万人。その内、雇用されて働いている人は5,660万人です。残りの約1,200万人が個人事業主やフリーランスで生計を立てているということになります。
およそ5人に1人が個人事業主やフリーランスというのは、私の感想では、個人事業主やフリーランスの方がこんなに多いのか、という印象です。公務員や会社員の方は私と同様の感想を抱く方が多いのではないでしょうか。
それは、周りの環境によるものですね。私は人付き合いが多い方ではないので、合う友人は限られています。
その多くの方が公務員やサラリーマンといった雇われて仕事をしています。フリーランスというのは、少ない友人の中でもさらに限られています。
個人事業主の年収、手取り
国税庁の統計調査によると、個人事業主の年収平均は384万円、手取り平均は264万円となっています。
会社員の年収平均は450万円、手取りは平均は300万円ということを考えると、会社員の方が36万円/年ほど多いことになります。
給料面で言えば、会社員をしている方が優れています。また、福利厚生に関しても会社員の方が優れていますね。
・健康保険
・厚生年金
この2つは個人事業主には無い、非常に優れた福利厚生です。
公務員の給料は叩かれる
・個人事業主の年収平均は384万円
・会社員の年収平均は450万円
このような状況と公務員の給与を比較してよく引き合いに出されるのが、公務員の給料です。
・公務員は給料をもらいすぎ
・公務員の給料水準は高すぎる
このようなことを耳にすることが少なからずあります。そして、公務員として働いてる立場から考えると、このような意見はあながち間違いではありません。しかし、ここには多分に認識違いが含まれているということです。
給料水準とは
給与所得者の給料は何によって決まっているかと言えば、その答えははっきりとしています。
・能力
・成果
・会社への貢献度
労働者の給料はこのようなもので決まっているわけではありません。労働者の給料に最も大きく関係するのは「業界の給与水準」です。
・A業界の平均給与が350万円
・B業界の平均給与が1,500万円
この場合、A業界でどれだけ頑張って優秀になっても年収を1,000万円にすることは非常に難しいですが、B業界であれば、それほど頑張らず成果を出さなくとも年収1,000万円に到達することはそれほど難しくないということです。
具体的に言えば、介護職などは全体的に給料水準が低い傾向にありますね。
・肉体的負担
・精神的負担
このような負荷が非常にかかるにも関わらず、どれだけ介護職の業界で頑張っても年収600万円以上にすることは非常に難しいのですね。一方で公務員の特別職である国会議員や市議会議員の給料は高めに設定されています。
・市議会で任期中に一度も発言しない
・議会中に居眠りをしている
このような状況であっても、年収が1,000万円を下回ることはまずないと言ってよいですね。
※国会議員や市議会議員が頑張っていないと言っているわけではありません。
このようにどのように仕事をするかではなく、どの業界に属しているかによって給料というのは大きく変わってくるものだということです。
公務員の給料形態は異質
公務員の給料が叩かれる理由は、業界の給料水準が高いからではないというのが私の考えです。それは、公務員の給料は民間企業の給料をベースに決められているからです。そのため、民間企業の給料とかけ離れて高い水準にあるわけではありません。
・30代で年収1,000万円
・50代で年収1,500万円
このようなことは例外を除いてあり得ないということです。30代なら概ね500~700万円、50代で750~900万円ほどがボリュームゾーンと言ってよいですね。これは給与所得者の平均と比較すると多いですが、かけ離れているわけではありません。
公務員の給料が叩かれる一番の理由は上下の幅が小さいということだと私は考えています。
・年齢
・勤務年数
・職場
・役職
公務員はこのような事柄が全く一緒であれば、基本給の差はないということです。
・頑張り
・成果
・勤務実績
・勤務態度
このようなものは給料に対して何も影響を及ぼさないのですね。そのため給料の上下差が非常に少ないということです。
例えば、年収の平均水準が1,000万円の業界の場合、年収500万円の方もいれば年収1,500万円の方もいる、それらを平均して業界水準が年収1,000万円になることが普通です。
しかし、公務員の場合、業界水準が年収600万円だとすれば、同属性で年収300万円や年収900万円の方は存在しないということです。年収580万円~620万円の間に納まるぐらいの感覚です。
・居眠り
・遅刻
・仕事中にたばこ休憩を頻繁に入れる
・与えられた仕事をこなさない
このようなことをしていても平均水準から大きく逸脱しないことが、公務員の給料が叩かれる原因だということです。
YOHの考え
私自身は公務員として働いており、特に優れた救急隊員ではないですが、給与所得者の平均よりも多い給料をもらっています。
これは私の能力によるものではなく、業界水準によるものです。
しかし、公務員として働いていて、業界水準によって損をしているような方も数多くおられます。
・高学歴
・非常に高い事務処理能力
・多種多様な資格
このようなものを持っている方は、他の業界へ行けば年収が上がる可能性が非常に高いにも関わらず、公務員として働くという選択をされているということです。
一方で、能力が一定基準に達しておらず、怠惰にしている職員も同水準の給料をもらっているということです。
・頑張って成果を出しても40歳だから年収は650万円
・頑張らず怠惰に過ごして55歳だから年収は800万円
このような状況であれば、頑張らない職員が一定数出てくるのは自然な流れと言ってよいですね。
そして、この一定数の職員を見ると、公務員は給料をもらい過ぎているという印象が根付くということです。
しかし、頑張らなくても給料は変わらないから怠惰に過ごす、というような職員は非常に少ないと言うのが私の印象です。
・真面目
・コツコツ
このように仕事をこなしている職員が大半だということです。そして、このようにしている職員はもらっている給料が多すぎるとは私は思いません。
・公務員は仕事が遅い
・公務員の仕事は融通が利かない
このようなことを言われますが、これは公的機関である以上仕方が無いということです。
・公的機関のため職員の自由裁量が限られている
・書類は公文書となるため作成基準が厳格に決まっている
このような公的機関特有の理由があるということです。そのような縛りの中で仕事をしている職員は民間企業の会社員と同様に苦労をして、頑張っているということです。
そのような職員を見て「あの職員は給料をもらい過ぎだ」という方は非常に少ないと私は思っています。公務員の給料が叩かれるのは給料が平均水準よりも高いからではなく、どのような職員であっても差がないからだと、私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
公務員の給料実態についてはこちらで記事にしています。
公務員の税金についてはこちらで記事にしています。
公務員だから金銭的に安泰というのは終わりを迎えています。