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【実際は20%】税や社会保障費の国民負担率48%について

2月17日のヤフーニュースの記事

 2月17日のヤフーニュースにこのような記事が掲載されていました。

news.yahoo.co.jp

 ・国民や企業が所得の中から納めている税金や社会保険料が2021年度は48%となっている

 ・国民所得が減少しているので、負担率は過去最大

 ・税負担が28.7%、社会保障費は19.3%

 ・アメリカやフランスなどの先進国と比較すると、国民負担率は少なめ

 記事の大事な部分を抜粋するとこのようになります。要するに、給料は上がらないが税金や社会保険料が増加して、国民1人当たりの使えるお金が減っているということを訴える内容です。

 この表題からは、個人の収入から税金と社会保険料合わせて48%徴収されているように感じますが、実際にはそうではありません。企業の法人税等を含んでおり、国民1人当たりの数値では無いからですね。

 今回はこの国民負担率と実際の税と社会保険料の負担について、考えてみたいと思います。

国民負担率

 国民負担率とは、個人や企業が所得に占める税金や社会保険料の負担割合を示している数値です。

 ・税負担・・・所得税、住民税、法人税

 ・社会保険料・・・年金、健康保険、雇用保険、介護保険

 このようなものの負担率ということですね。この負担率が高いほど、個人が使えるお金は少なくなるということです。

 ・企業の所得 1,000万円

 ・税負担 287万円

 ・社会保障費 193万円

 ・企業の純利益 520万円

 ざっくり考えるとこのようなイメージになりますね。過去の国民負担率を見てみると、昭和45年は24.3%だったのが、右肩上がりで増加していき、2021年は48%になっています。

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出典 シニアガイド

 ・昭和45年 税負担18.9% 社会保険料 5.4%

 ・平成元年 税負担27.7% 社会保険料 10.2%

 ・令和3年  税負担28.7% 社会保険料 19.3%

 各年代を抜粋してみるとこのようになっています。税負担は増加傾向にあるものの、20~25%を上下動していますが、社会保険料は一貫して右肩上がりとなっています。その結果として、国民負担率が上昇しているということですね。

実際の社会保険料の負担

 国民負担率は48%ですが、実際の個人の負担率はそれほど高くはありません。公務員や会社員ならば、雇用主が半分負担する労使折半されているからですね。そして、年収が高ければ高いほど、社会保険料として納める金額は大きくなります。

 ・健康保険 標準報酬月額×10%×1/2(%は都道府県によって異なる)

 ・厚生年金 標準報酬月額×18.3%×1/2

 ・介護保険料 標準報酬月額×1.8%×1/2(40歳から負担)

 40歳以上の公務員であれば、概ねこの金額が月々の社会保険料負担額となります。年収600万円、標準報酬月額40万円の公務員で実際に計算してみると以下のようになります。

 ・健康保険料 40万円×10%×1/2=2万円

 ・厚生年金 40万円×18.3%×1/2=3.6万円

 ・介護保険料 40万円×1.8%×1/2=0.36万円

 ・合計 5.96万円

 ・実際の社会保険料負担率 5.96万円÷40万円=14.9%

 年収600万円、標準報酬月額40万円の公務員なら、月々の社会保険料負担は5.96万円、負担率は14.9%になります。

実際の税負担

 次に税負担を確認していきます。税負担は所得税と住民税です。税負担はどちらも年収に比例して上がっていくことが一般的です。所得税は課税所得によって税率が大きく変わります。

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出典 国税庁

 年収600万円、課税所得300万円の公務員の場合で考えてみます。

 ・300万円×10%-9.75万円=20.25万円

 この場合、年間で20.25万円が所得税の負担額となります。次に住民税を確認します。住民税は均等割と所得割がありますが、両方合わせて10%で計算します。

 ・300万円×10%=30万円

 これが年間の住民税の負担額となります。

 ・20.25万円(所得税)+30万円(住民税)=50.25万円

 ・50.25万円÷600=8.3% 

 年収600万円の公務員の税負担額は50.25万円、年収に対する負担率は8.3%となります。

実際の国民負担率

 年収600万円の公務員の実際の社会保険料、税負担を合わせた負担率を計算してみると、以下のようになります。

 ・健康保険料 40万円×10%×1/2=2万円

 ・厚生年金 40万円×18.3%×1/2=3.6万円

 ・介護保険料 40万円×1.8%×1/2=0.36万円

 ・合計 5.96万円×12カ月=71.52万円

 ・所得税 300万円×10%-9.75万円=20.25万円

 ・住民税 300万円×10%=30万円

 ・合計 50.25万円

 ・71.52万円(社会保険料)+50.25万円(税負担)=121.77万円(実際の負担額)

 ・121.77万円÷600万円=20.295%(実際の国民負担率)

 実際の国民負担率は20.295%となるということです。

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社会保険料や税負担はなくてはならないもの。労使折半のありがたみがわかる。

YOHの考え

 記事の表題だけ見ると、税や社会保険料の負担率が48%のように感じますが、平均的な公務員で考えてみると、国民負担率は半分以下ということがわかります。

 ※労使折半分は本来支給されるべき報酬と考えるなら、国民負担率は42%となり、記事の表題と同等と考えることができますが、ここではその問題は置いておきます。

 税負担の伸び率はそれほどではありませんが、社会保険料の負担は年々増加しています。そして、今後も増加していくことは間違いないといってよいですね。

 ・労働者人口の減少

 ・高齢者の増加

 ・少子化

 このようなことが日本のトレンドだからですね。どこかで下げ止まることも間違いないですが、ある程度まではこのトレンドは続いていきます。実際の国民負担率は現在のところ20~25%ほどですが、30%ほどになることは想定しておく必要がありますね。

 ・上がらない可処分所得

 ・上がる税負担

 ・上がる社会保険料

 ・使えるお金の減少

 今の20~40代は、このような難しい時代を生きて行かなければならないということです。

 ・給料は右肩上がり

 ・充実した年金

 このような過去の感覚で生活していると、普通に生活しているつもりでも、金銭的に困窮してしまう可能性があるのですね。そうならないための備えは自分でしなければなりません。

 ・倹約

 ・資産運用

 今の時代を生き抜くためには、この2つが欠かせないと私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。

 社会保険は保険商品と考えることが妥当です。保障内容から見ると、悪くないものですね。

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 年金改正法についてはこちらで記事にしています。

 

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