資産分散先としてのREIT
資産運用をはじめたころはそうでもないのですが、資産規模が大きくなれば意識するのが分散投資です。簡潔に言ってしまえば、株式と現金以外の金融資産クラスを保有することですね。
・債券
・コモディティ
・不動産
・暗号通貨
ザックリと思いつくだけでこのようなものが挙げられます。そして、ある程度安定して利回りが得たい場合に選択肢となるのが不動産投資です。
しかし、それほど知識のない方が資産形成として現物不動産投資に取り組むことは株式投資よりもハードルが高いですね。
・ある程度まとまった資金が必要
・流動性が著しく低い
・失敗してしまうと、リカバリーが困難
・素人がはじめるには敷居が高い
このような理由から興味はあるけれど、現物不動産投資をしている投資家は少ないというのが私の印象です。そのような投資家が、不動産で利益を得たいと考えた時に選択肢となるのがREITです。
・REITとは
・REITのメリット・デメリット
・現物不動産投資とREITの違い
今回はこの3点について考えてみたいと思います。
REITとは
金融商品でREITというのもがあります。不動産投資信託と言われる金融商品で、出資者から集めたお金で不動産の売買を行い、賃料や売買益を資金源として、出資者へ配当金を出す金融商品です。
図にすると非常にわかりやすいですね。REITは株式と不動産投資を掛け合わせたような金融商品です。
REITのメリット
・安定した配当
・流動性が高い
・分散効果
現物不動産投資と異なり、このようなメリットがREITにはあります。
REITは収益の90%以上を分配するなど、一定の条件を満たせば法人税がかからないので、資金を内部保留せずに、ガンガン投資家に配当金を出す傾向にあります。
また、投資信託という性質を持つため、不動産に投資しながらも、流動性が非常に高いのもポイントの1つです。現物不動産は売却して現金化するのに非常に手間がかかります。
自分が売りたいと思っても買ってくれる人がいなければ売買が成り立たない相対取引だからですね。
REITのデメリット
一方でデメリットも含んでいます。
・価格変動
・金利変動
・倒産・上場廃止
この中で自分自身で全くコントロールできないのは金利変動リスクです。
REITを運営している不動産投資信託証券会社は不動産物件の売買、管理だけで資金捻出しているわけではなく、銀行から多額の融資を受けて不動産物件の買い付けを行っています。
当然ながら、貸付金利が上昇すれば、返済資金も膨らみます。この金利のコントロールはREITを購入している投資家はコントロールすることができないのですね。
価格変動、倒産・上場廃止については、投資家がコントロールすることは困難ですが、分散投資することによって、そのリスクを軽減することはできます。
・国分散
・分野分散
REITの60%を占めているのは米国、次いで日本が10%ほどを占めています。割合から考えても、米国の影響を多分に受けることは間違いないですが、ある程度投資先を分散投資をすることができるのですね。
また、不動産投資といっても、住居、オフィス、ホテル、商業施設、医療施設、ヘルスケア施設・・・様々な種類があります。REITは様々な分野の不動産を取り扱っています。投資家はそうしたものの中から、選べる立場にあるのですね。
現物不動産投資とREITの違い
REITは不動産投資と考えて問題ないですが、現物不動産とは非なるものです。
・融資が引けない
・利回りのコントロールができない
・節税できない
REITを現物不動産投資と比較して明らかに下回っているのは、私はこの3点だと考えています。
現物不動産投資の最大のメリットは融資が引ける、自分の手持ち資金を大きく上回るスケールですることができることです。
不動産投資に限らず、投資は多くの資金を持つ投資家は圧倒的に有利な立場です。スケールが大きければ、ローリスクローリターンでも、十分なリターンがあるからですね。
株式投資で融資を受けることはできませんが、不動産投資なら融資を受けてすることができるのです。1,000万円の資金があれば、5,000万円の物件を購入することができる。これが不動産投資最大のメリットですが、REITはそれができないのです。
また、現物不動産投資は自分で利回りをコントロールできるのもポイントです。
・セルフリフォーム
・お宝物件
・価格交渉
このように自分の工夫次第で利回りをコントロールできるのですね。しかし、これは、ある程度の経験や知識、工夫が必要とされ、時間もかかりますね。
さらに、REITは現物不動産と異なり、節税として利用できません。
・青色申告
・各種控除
・事業経費
不動産投資を事業規模で行うなら、このような節税を比較的容易に行うことができます。REITは手間がかからず、安定した配当がありますが、節税道具としては全く機能しないということです。
YOHの考え
現物不動産投資とREITは不動産を対象としていますが、似て非なるものです。
REITを買っているから、不動産投資は考慮しなくてもよい、とはならないのですね。それぞれにメリット・デメリットがあるのです。
REITを投資のコアとすることはおすすめしません。株式投資と比較して規模が非常に小さいからですね。株式投資の規模は世界的に見て5000兆円と言われています。一方でREITは150兆円です。この規模感から考えても、資産運用にREITを入れるのは多くても5%前後です。
REITも株式も中心は米国です。米国ETFの中には不動産銘柄を含んでいるものも多数あります。SPDRポートフォリオS&P500高配当株式、iシェアーズ米国不動産などがそうですね。
iシェアーズ米国不動産は5年間のトータルリターンは8.7%、経費率は0.41%と非常に優良な投資信託です。組入上位銘柄はAMT(アメリカンタワー)、PLD(プロロジス)CCI(クラウンキャッスル)など不動産投資信託、産業不動産ですね。
そのあたりを踏まえつつ、REITへの投資を検討する必要があります。
しかし、一定の条件を満たした方であれば、REITを投資のコアに据えることも良い選択となり得ることがあります。株式の成長性よりもREITの安定した分配金を重視するような段階に入っている投資家です。
・ある程度の年齢に達している
・資産規模が1億円を超えている
・資産管理法人を管理運営ことが可能
このような条件を満たしている投資家は、株式の成長性よりもREITの安定した分配金を重視するような段階に入っているということです。
私の読んでいるブログの中には、妥当性を持ってJ‐REITに資産投下して多くの分配金を得られている方もおられます。そういった方は、そもそもの経験や資産規模が非常に豊富であるということです。
・長年働いて築いてきた投資経験
・超長期投資で作り上げた資産
このようなバックホーンがあればREITを投資のコアにするのは有力な選択肢となるのかもしれません。
ご覧いただきありがとうございました。
REITについてはこちらで記事にしています。REITは資産投下に値する金融商品ですが、デメリットをしっかりと押さえておく必要はありますね。
不動産ETFとして選択肢になるのがIYRですね。IYRはSBI証券では買付手数料が無料です。
株式以外の資産投下対象としてはコモディティも選択肢となります。コモディティとして馴染みのあるのが金ですね。