老齢年金の受給要件
多くの人にとって、老齢年金は老後生活を金銭的に支える大きな柱となります。
現役時にどのような形で働いていたかによって、受給する老齢年金は老齢基礎年金か厚生老齢年金に分かれます。
・自営業や専業主婦・・・老齢基礎年金(国民年金)
・会社員や公務員・・・厚生老齢年金(厚生年金)
ざっくりとですが、受給する老齢年金の種類は以上のように分けることができます。
そして、現在は原則65歳から老齢年金を受給することができますが、それぞれには受給要件があります。
老齢基礎年金は保険料納付済期間と免除期間などを合算した受給要件期間が10年間以上あれば65歳から受け取ることができます。
満額受給に要する受給要件期間は40年間ですが、受給するだけなら保険料納付済期間と免除期間を合わせて10年間あればよいということです。
そして、厚生老齢年金は老齢基礎年金を受け取れる方に厚生年金の加入期間がある場合に受け取ることができます。
そのため、老齢基礎年金の受給要件を満たしていなければ、厚生老齢年金を受け取ることはできないということです。
これが、老齢年金の仕組みは2階建てと言われている所以ですね。
ねんきん定期便
会社員や公務員で老齢年金の加入期間や将来の受給金額を普段から意識して年金保険料を納めているという方は非常に稀でしょう。
多くの方は月々の給料やボーナスから控除という形で健康保険料などと合算して引かれているので、普段からこれだけの金額を保険料として納めており、将来どれぐらいの金額を受給することができるという感覚は持たないということです。
しかし、老齢年金の加入期間や将来の受給予想金額を把握しておくことは非常に大切です。
そして、それを知ることができるのが、年1回送付されてくるねんきん定期便です。
ねんきん定期便は年齢によっていくつか種類がありますが、記載内容にそれほど違いはありません。
・保険料納付額
・月別状況(直近13カ月)
・年金加入期間
・加入実績に応じた年金受給金額
主にこれらの内容が記載されています。私自身、このねんきん定期便は毎年目を通すようにしており、今年の通知で老齢基礎年金の払い込みが20年近くに達し、満額受給の要件を満たすまでの折り返し地点に到達したことがわかりました。
40歳の公務員のねんきん定期便の状況
大卒で公務員として働きはじめて40歳を迎えたケースの老齢年金の保険料払込総額と加入実績に応じた年金額は以下のようになります。
・厚生年金保険料(被保険者負担額)・・・782万円
・加入実績に応じた年金額・・・年間84.5万円(月7万円)
これが2024年時点でのねんきん定期便に記載されている状況となります。
ちなみに昨年の状況は以下のようになっています。
・厚生年金保険料(被保険者負担額)・・・719万円
・加入実績に応じた年金額・・・年間77.3万円(月6.4万円)
昨年から厚生年金保険料を63万円払い込み、受給見込み金額が0.6万円増加していることがわかります。
そして、ここからさらに60歳までの20年間、公務員として働いて厚生年金に加入していれば、65歳時点での老齢年金の保険料払込総額と加入実績に応じた年金額は以下のようになります。
・厚生年金保険料(被保険者負担額)・・・1600万円~1800万円
・加入実績に応じた年金額・・・年間160万円~170万円(月13.3万円~14.1万円)
これが、平均的な公務員が60歳まで厚生年金を納めた場合の保険料払込総額と加入実績に応じた年金額と考えておいてよいということです。
YOHの考え
今回は老齢年金と公務員が40歳までに払い込んだ厚生老齢年金について触れてみました。
・厚生年金保険料(被保険者負担額)・・・782万円
・加入実績に応じた年金額・・・年間84.5万円(月7万円)
これが2024年時点でのねんきん定期便に記載されている状況となります。
現時点の年金制度では、老齢年金の払い込みは原則60歳までなので、私が公務員として働き続けるならあと20年間掛け金を払い込むことになります。
・払い込む保険料の総額は現在払い込んだ金額の2倍
・65歳から受給できる金額は現在の受給見込み額の2倍
収入の増減によって、払い込む年金保険料と65歳からの受給金額に多少の違いは生じるでしょうが、概ねこれぐらいの感覚を持っておけばよいということです。
・厚生年金保険料(被保険者負担額)・・・1600万円~1800万円
・加入実績に応じた年金額・・・年間160万円~170万円(月13.3万円~14.1万円)
そのように考えると、平均的な年収の公務員が40年間、年金保険料を納付した場合、現時点ではこれぐらいの金銭事情になるということです。
払い込む保険料総額は1600万円~1800万円と非常に高額ですが、この金額にはそれほど意味はないですね。
自身でどうすることもできないことからです。しかし、65歳からの受給見込み金額は把握しておく必要があります。
・老後生活を送るには老齢年金だけで足りるのか
・足りないのであれば、月いくら足りないのか
・足りない金額は現役時に目途をつけておく必要がある
老齢年金の受給見込み金額を把握しておけば、このように現役時に具体的な金額を準備をすることができるからです。
月13~14万円という金額をどのように考えるかは世帯の状況によって異なりますが、何不自由なく老後生活を満喫できるというには心もとない金額というのが私の印象です。
・住宅ローンやこどもの教育費など人生における大きな支出を払い終えている
・2,000万円ほどの預貯金を保有している
このような状況であれば、月13~14万円の厚生老齢年金だけで生活することは可能でしょうが、そうではない場合、別の収入源がなければ老後生活は難しいものになります。
別の収入減として最も有効なのは配偶者の年金受給ですね。
・老齢基礎年金の満額受給 年間78万円(月6.5万円)
・同程度の厚生老齢年金 年間160万円(月13.3万円)
このどちらかの年金収入が配偶者にもあれば、老後生活はずいぶんと違った形で考えることができます。
夫婦で合わせて月に20~26万円ほどを受給することができるからですね。
月に20~26万円の収入があれば、夫婦で慎ましく生していくことは十分に可能です。
老齢年金は多くの人にとって老後生活の金銭的な柱となるのもに間違いはありません。
しかし、老齢年金だけで老後生活が完結すると考えて現役時に資産形成を行わないことには大きなリスクが付きまといます。
年1回送られてくるねんきん定期便で自身の年金加入状況を把握しつつ、資産形成していくことが今の労働者には求められていることだと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
厚生年金を金融商品として内部収益率を確認した場合、非常に低利回りで元が取れる金融商品とは言い難いですね。
年金の受給金額を確認する際に抑えておきたいことは、所得代替率です。実際のところ、金額はそれほど重要ではありません。
公的年金の第3号被保険者は段階的に見直しがされ、廃止の方向に向かっていると考えておいてよいですね。