バランスファンド
資産運用ファンドとして人気のあるファンドのひとつがバランスファンドです。
バランスファンドというのは、ざっくりと言ってしまえば、異なる金融資産クラスを一定の割合で混ぜ合わせたファンドですね。
・債券
・株式
・不動産
このような金融資産クラスに一定の割合で資産投下できるということです。バランスファンドの中でも特に人気のあるのが、eMAXISSlim バランス(8資産均等型)ですね。
・株式以外の金融資産クラスを保有しておきたい
・株式一本に資産投下するのはリスクが高い
このような要望をひとつのファンドを購入するだけで叶えてくれるということから、人気があるということです。
しかし、eMAXISSlim バランス(8資産均等型)などのバランスファンドに資産投下する際には押さえておくべきポイントがあります。それは、各金融資産クラスの本当の比率です。
ここを押さえておかないと、せっかくバランスファンドに資産投下しているにも関わらず、自分が思い描いているようなパフォーマンスを発揮してくれないからですね。
・バランスファンドの特徴
・実際の各金融資産クラスの規模
今回はこの2つについて考えてみたいと思います。
バランスファンドの特徴
バランスファンドの大きな特徴として挙げられるのは、ひとつのファンドで複数の金融資産クラスに資産投下できるという点です。
人気のあるeMAXISSlim バランス(8資産均等型)の金融資産クラスの内訳を見ると、名前の通り8つの金融資産クラスを含んでいます。
・株式(国内・先進国・新興国)
・債券(国内・先進国・新興国)
・RIET(国内・先進国)
この8つの資産クラスに対して、ファンドの資産を均等に投資するファンドです。
この図のように、各金融資産クラスを均等した割合で保有しているということです。
eMAXISSlim バランス(8資産均等型)の総資産額は1,923億円(2023年5月8日時点)なのでひとつの金融資産クラスが240億円ほどになるということです。
しかし、実際の市場規模で考えると、この各金融資産クラスを単純に均等に持つということはバランスよく金融資産を振り分けていることにはなりません。
・株式
・債券
・REIT
この3つはそれぞれ市場規模が異なるからですね。そのため、本当にそれぞれの資産クラスを同じ割合で保有したいのであれば、市場規模に合わせた割合で各金融資産クラスを保有する必要があるということです。
市場規模の小さい金融資産クラスと市場規模の大きい金融資産クラスを同様の金額を保有するというのは、市場規模で見るとバランスが欠けた資産配分になるのですね。
実際の各金融資産クラスの規模
eMAXISSlim バランス(8資産均等型)に構成されているそれぞれの金融資産クラスの市場規模を確認していきます。
・株式 90.3兆ドル
・債券 63兆ドル
・REIT 1.2兆ドル
全世界で見た各金融資産クラスの規模はこのようになっています。株式とREITを比較すると、REITは市場規模が非常に小さいことがわかります。
次いで、各金融資産クラスを国内外に分けて見ていきます。まずは市場規模の最も大きい株式を確認します。
株式の市場規模のうち最も割合が大きいのは先進国(日本を除く)の63.7%です。このうち最も割合が高いのは米国で実に半分近くを占めています。
※新興国については、日本、先進国を除いた全ての国としています。
次に債券市場を確認していきます。
債券市場の内訳は株式とほぼ同様であることがわかりますね。先進国が最も多く61%を占めており、全体の米国が40%です。
最後にREIT市場を確認します。
REIT市場は世界的に見ると規模感が小さく、市場規模が1.2兆ドルとなっています。そして、その内の78%が先進国、日本国内の世界的な割合は8.9%となっています。
そして、各金融資産クラスを世界規模で見た場合の実際の内訳は以下のようになります。
実際の資産規模の内訳で見ると、株式と債券市場の内訳が非常に大きく、REITの規模は国内が0.06%、先進国が0.51%と両方を合わせても全体の1%以下だということです。
eMAXISSlim バランス(8資産均等型)目論見書の各金融資産クラスが12.5%の円グラフとの割合とはほど遠いということがわかります。
バランスに資産投下する際は、この点を押さえておく必要があるということです。
YOHの考え
今回は、バランスファンドの特徴と実際の各金融資産クラスの規模について触れてみました。
バランスファンド購入時の勘違いとしてあるのは、各資産クラスを全体的な規模感で見て、均等な割合と金額で保有することができるということです。
eMAXISSlim バランス(8資産均等型)の目論見書にある円グラフを見て、そのように感じることはありますが、実際にはそうではありません。
・全体的な規模で見ると、株式と債券は規模が大きい
・株式と債券の中でも先進国の割合が特に大きい
・全体的な規模で見ると、REITの規模は非常に小さい
バランスファンドを購入する際は、このようなことを頭に入れておく必要があるということです。
実際の規模感とeMAXISSlim バランス(8資産均等型)の割合を比較するとこのようになります。
そのため、バランスファンドでは、実際の資産規模が小さい資産クラスの占める割合が高くなってしまうということです。
REITを例に挙げると、実際の市場規模で1%以下であるにも関わらず、eMAXISSlim バランス(8資産均等型)では国内と先進国合わせて25%の割合で資産投下していることになります。
そのため、全体の規模感から考えると、バランスファンド内ではREITの比率は著しく高くなるということです。
バランスファンドを購入する時はこのようなことを認識しておく必要があるということです。
バランスファンド自体は良くできたファンドで、eMAXISSlim バランス(8資産均等型)の過去のパフォーマンスを見ても含み益を大きく出していることがわかります。
しかし、どこかのパフォーマンスが悪くても他がカバーするので、資産形成はこれ一本で十分だ、とはいかないというのが私の考えです。
資産配分が実際の市場規模の割合とファンド内で大きく異なるからですね。
実際の市場規模で99%以上を占める株式と債券がeMAXISSlim バランス(8資産均等型)では75%しか含まれていないということです。
そのため、市場規模で1%未満のREITが25%も含まれているため、REITの影響を受けやすいという特徴があると私は考えています。そこを理解した上で購入するのは問題ありません。
しかし、そうでなければ、本当に自分の投資方針と合っているかを考える必要があるということです。
これだけ購入していれば、全てのリスクに対応して安定的に資産形成できる、というようなファンドは無いということです。
ご覧いただきありがとうございました。
バランスファンドについてはこちらでも記事にしています。私はバランスファンドに資産投下はしていません。中途半端という印象があるからですね。
これ一本だけ買っていれば安心というファンドは無いですね。全世界株式ファンドについても同様です。デメリットは必ずあるということです。
投資で大切なのは規模感の把握ですね。規模感に即した資産投下をすることは投資の最適解のひとつです。