全世界株式
株式投資で最もシンプルな投資手法として言われているのが、全世界株式インデックスファンドと現金のみで構成されたポートフォリオです。
・VT 50%
・現金 50%
実例を挙げるとこのようなポートフォリオですね。ポートフォリオ内のリバランスは現金比率を変えることだけによって行います。
・リスクが取れる状態である時 VT 80% 現金 20%
・リスクを取らなくてもよい時 VT 30% 現金 70%
このような形で現金比率を変えたい時には、現金を増やすことにのみでリスクマネジメントすることには様々なメリットがあります。
・手間がかからない
・ノーセールで行うことができる
・経済情報などに常に気を張っておく必要が無い
メリットとしてはこのようなものが挙げられます。共通していることは、楽に構えて資産運用をすることができるということです。
・仕事が忙しい
・株式投資に興味がない
このような方でも取り組みやすい投資手法だということです。
そして、リターンも十分に狙うことができますね。
直近15年のVTのチャートはこのようにきれいな右肩上がりであることがわかります。
リスク資産としてはこれ一本で十分だというのも頷けます。
しかし、このように全世界株式インデックスファンドだけで資産運用することには少なからずデメリットもあると私は考えています。。
・全世界株式インデックスファンドだけで資産運用することのデメリット
・全世界株式インデックスファンドとはどのように付き合っていけばよいか
今回は、この2点について考えてみたいと思います。
全世界株式インデックスファンドで資産運用することのデメリット
まず、全世界株式インデックスファンドだけで資産運用するデメリットについて記載しておきます。
・利回りが低い
・長い期間運用しないと資産増加を実感できない
・分配金だけで生計を立てることは現実的ではない
この3つが全世界株式インデックスファンドのデメリットだと私は考えています。順番に触れていきたいと思います。
利回りが低い
全世界株式インデックスファンドだけで資産運用をすることのデメリット1つ目は「利回りが低い」ということです。
全世界株式インデックスファンドを購入する場合、最もポピュラーな方法は投資信託かETFで購入する方法です。
・SBI・V・全世界株式インデックスファンド(投資信託)
・eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)(投資信託)
・楽天全世界株式インデックスファンド(投資信託)
・VT(ETF)
このような商品が全世界株式インデックスファンドとしては非常に有名です。これらはどれを選んでもそれほど大きな違いはありません。特に投資信託については、販売会社や名前が異なっているだけで、同質のものだと言ってよいですね。
そして、投資信託とETFの違いも運用成績にそれほど大きな違いが出るわけではありません。ベンチマークとしている指数が同様のものだからですね。
・手数料
・販売価格
・分配金再投資かどうか
このようなことで投資信託とETFの違いはありますが、考えに考え抜いてどちらかを選択する、というほどのものでも無いですね。
そして、利回りが低いというのは全世界株式インデックスファンドの資産投下先をETFとしていた場合、金額として実感することになります。
2023年2月13日時点の数字になりますが、VTの利回りは2.74%です。
過去の推移を見ていくと、実際には2%前後で推移しています。これは、銘柄を絞ったものをベンチマークとしているETFと比較するとかなり大人しい利回りですね。
・VYM 3.02%
・HDV 3.01%
このような銘柄を絞ったETFの利回りが3%を超えていることを考えると、2%前後という利回りは決して高いものだとは言い難いということです。(カバードコール戦略を取っているQYLDなどは利回りが14%以上もあります。)
長い期間運用しないと資産増加を実感できない
全世界株式インデックスファンドだけで資産運用をすることのデメリット2つ目は「長い期間運用しないと資産増加を実感できない」ということです。
・新興国を含む世界各国
・全世界の投資可能な市場時価総額の90%以上をカバー
・銘柄数は約9,400銘柄
VTのベンチマークはこのような特徴がある「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」です。
構成上位10銘柄はこのようになっています。米国のグロース株が幅を利かせていることがわかります。しかし、そのグロース株の構成比率は米国企業のみを投資対象としているETFと比較すると決して高いものではありません。
実際に過去5年間のチャートをVOOと比較すると、VTは大きく劣後していることがわかります。そして、過去20年間を1年単位でを見ると、どの場面においても、VTはVOOに劣後しています。
これは、米国企業のみを対象としているETFと比較すると、成長性が劣るということです。そのため、長い期間を運用しないと成長性が実感しづらいという特徴があるのですね。
分配金だけで生計を立てることは現実的ではない
全世界株式インデックスファンドだけで資産運用をすることのデメリット3つ目は「分配金だけで生計を立てることは現実的ではない」ということです。
VTの現在の利回りは2.74%です。しかし、これをそのまま受け取れるわけではありません。
・日米租税条約による米国内での10%の課税
・日本国内での所得税、住民税、復興特別所得税 20.315%
この2つを差し引いたものが実際に手にすることができる分配金です。そのため、実際の利回りは1.8%ほどと考えておく必要があります。
・VTを5,000万円分保有 年間分配金 90万円
VTを5,000万円分保有していても、これだけで生計を立てていくことは現実的ではないですね。そのように考えると、VTだけで生計を立てていく場合、1億5000万円分(分配金270万円)は保有しておく必要があります。
これは、一般的な会社員や公務員には現実的な金額ではないということです。
YOHの考え
全世界株式インデックスファンドだけで資産運用することは、メリットがあると同時にデメリットもそれなりにあるということです。
・利回りが低い
・長い期間運用しないと資産増加を実感できない
・分配金だけで生計を立てることは現実的ではない
私はこの3つが大きなデメリットであると考えています。しかし、VTをはじめとする全世界株式インデックスファンドには他には無い安定性があります。
・国分散
・銘柄分散
利回りや成長性が低いことは、このようなことの宿命といってよいですね。私自身、株式投資の最適なポートフォリオのひとつは「VT50%、現金50%」だと考えています。
しかし、現在の私のポートフォリオはそのようにはなっていません。
・全米株式
・S&P500
この2つを中心にポートフォリオを構築しています。このようなポートフォリオにしている一番の理由は自分自身の資産の規模感と成長性によるものです。
・全世界株式インデックスファンドの安定性よりも、米国集中投資によって成長性を重視
資産規模が大きくないので、このようなスタイルで資産形成しなければ、資産増加が緩やかになり過ぎるからですね。
しかし、将来的には「VT50%、現金50%」のような安定性の極めて高いポートフォリオに近づけていく必要があると考えています。
・とにかくリスクを抑えたい
・成長性よりも安定性
・資産運用への投下資金が潤沢にある
このような方は全世界株式インデックスファンドを中心に資産形成していけばよいということです。ご覧いただきありがとうございました。
リスク管理は資産運用では非常に大切です。資産1000万円を低リスクで運用する方法については、こちらで記事にしています。
全世界株式インデックスファンドを購入方法としておすすめなのは、SBI・V・全世界株式インデックスファンドです。投資信託なのでVTと異なり、分配金は出ませんが、管理が非常に楽ですね。
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