債券とは
債券とは、国や企業が投資家から資金を集めるために発行する有価証券です。
・償還日が決まっている
・安全性の高い国債は利回りが低い
・株式と逆相関の関係にある
このような特徴があります。昔であれば、直接買い付けて保有するような生債券が債券投資の主流でしたが、現在は投資信託やETFで購入することが一般的です。
そして、債券ファンドとしてポピュラーなのがeMAXISSlim先進国債券インデックス、ETFではBNDですね。
eMAXISSlim先進国債券インデックスは円建てで積み立て購入できるので、大変人気があります。FTSE世界国債インデックスをベンチマークとしていることが特徴ですね。
・アメリカとユーロが80%以上を占めている
・日本が含まれていない
FTSE世界国債インデックスにはこのような特徴があります。債券50%、株式50%の比率で資産保有するというのはトリニティスタディの4パーセントルールでも非常に有名です。
老後の資産管理を4パーセントルールで考えている方にとっては債券はポートフォリオ内にかかすことのできない金融資産クラスです。
・手堅い金融資産クラスである
・資産の動きをマイルドにしてくれる
日本の債券はこのように考えられており、分散投資を考えた場合、必ずといってよいほど候補に挙がる金融資産クラスです。しかし、外国債券については、思ったような働きをしないことがあります。
・債券の値動きについて
・債券のリスクについて
・外国債券をポートフォリオに組み込むデメリットについて
今回はこの3点を中心に外国債券をポートフォリオに入れることについて、考えてみたいと思います。
結論
まず、結論から言えば、私は外国債券をポートフォリオに入れることは思ったような分散効果を得ることができない場合があると考えています。
・為替リスク
・下がる時は下がる
この2点で思ったような分散効果が得られないということです。順番に触れていきます。
債券の値動きについて
債券は株式と逆相関の動きをする、と認識されています。
・株式が上昇すれば債券は下落
・株式が下落すれば債券は上昇
このように逆相関の資産を組み合わせることによって、ポートフォリオを安定させることができると言われています。
債券投資信託として人気のあるeMAXIS Slim先進国債券インデックスファンドのチャートを見ても、多少の上下動をしながらも基準価格は9,500円~12,000円ほどの中で推移しています。
これは株式などと比較するとボラティリティが少なく安定していると考えてよいですね。しかし、債券の注意点としては為替の影響を受けやすいことが挙げられます。
債券の為替リスク
債券が株式と同様に下落する要因は為替の影響によって生じる為替差益によるものです。eMAXISSlim先進国債券インデックスのチャート自体を見ると下落していることがわかりますが、債券ファンドとしてのパフォーマンス自体は下落してないということです。
FTSE世界国債インデックスはアメリカとユーロが80%以上のウエイトを占めているため、債券自体のパフォーマンスが良くても、アメリカとヨーロッパの通貨に大幅な円安が進めば、非常に痛手を被ってしまうのですね。
現在はドルに対する円安が非常に進行しており、9月12日時点で1ドル142円という状況を受けて、債券価格が急落しています。このようなことを考えると、債券に投資する際は為替ヘッジを考える必要があるということです。
これは、基軸通貨を日本円としている日本人投資家には避けられないことだと言ってよいですね。債券価格自体は下がらずに安定していても、基軸通貨自体の価値が下がれば、外国債券価格が割高になってしまうことは避けられないということです。
・債券価格自体の値動きリスク
・為替の影響による価格変動リスク
米国の投資家であれば、基軸通貨が米ドルのため、為替リスクは考えなくともよいのですが、日本円を基軸通貨としている日本の投資家が米国債券に資産投下するのは、この2つのリスクに晒されていることになるということです。
下がる時は結局下がる
債券は手堅い資産クラスで株式が下がった時に逆の動きをするため、ポートフォリオの安全性を高めてくれる、というように考えられています。
これ自体は間違いではないのでしょうが、全く逆の動きをして株式の値下がりを完全に補填してくれるかと言えば、そうではありません。
BND 銘柄 - バンガード・トータル債券市場ETF 投資信託(ファンド)情報 - Bloomberg Markets
これは、投資適格で課税対象の米国公債の幅広いパフォーマンスを測定するブルームバーグ総合債券指数に連動する投資成果を目指すETFのBND(オレンジ色)とVOO(青色)の直近5年間のチャートです。注目して欲しいのは、VOOが大きく落ち込んでいる箇所で、コロナショックによって株式が大きく値を下げた時の値動きです。
VOO、BND共にチャートが下がっていることがわかります。2つのETFの基準価格の違いなどはありますが、外国債券(BND)をポートフォリオに入れて期待しているのは、VOOが下落した時に、上向きになることです。
しかし、下がりは幅は少ないとはいえ、同じように値を下げていては、期待するような分散投資の成果を得られていないということです。
※ポートフォリオ全体の下がり幅をマイルドにするために外国債券をポートフォリオに入れているのであれば、その役目は十分に果たしていると言えます。
YOHの考え
現在は円が急落しており、株式、債券、円のトリプル安の展開が続いています。このような状況では株式、外国債券どちらに資産投下していても資産を増やすことは非常に難しいということです。
・為替の状況
・株式市場の状況
このようなことは様々な複雑な事情が重なりあって形成されているため、読むことができないということです。外国債券をポートフォリオに入れるには、このようなことを踏まえて行う必要があるということですね。
私自身は外国債券を単体でポートフォリオに組み入れることは考えていません。
・為替リスクと値動き2つのリスクがある
・リスク分散にならない
・利回りが低い
・為替ヘッジを考えるとランニングコストが高くなる
このような理由から債券をポートフォリオに組み込むことは考えていないということです。最も大きなデメリットは、為替と値動き2つのリスクがあるからですね。
日本の基軸通貨が米ドルであれば、ポートフォリオに組み込むメリットは大きいのですが、基軸通貨が日本円である以上、長期的に見ても読むことができない為替リスクが大きすぎるということです。
投資の原則とは「価値が上昇するものを購入すること」です。そういった意味では、外国債券は必ずしも原則に当てはまる金融資産クラスではないということです。
しかし、外国債券が投資不適格なものだというわけではありません。債券をポートフォリオに入れる最大の理由はリスク分散です。ずばり言ってしまえば、資産形成が十分にできている投資家が購入する金融資産だということです。
・これ以上増やす必要がないほど資産が十分にある
・年齢的に資産を増やす段階ではない
このような方が資産を減らさないようにポートフォリオに組み込む金融商品だということです。
・30代で資産形成段階
・資産規模が数千万円
このような状態であれば、外国債券はメリットよりもデメリットが上回ることになる場合が多いということです。
個人の価値観によりますが、資産規模が1億円を上回った段階でようやくポートフォリオに組み込むかを考えるような金融資産クラスだと考えています。
為替の影響を受けるような金融市場の下落局面では株式と同様にパフォーマンスが落ちてしまうのでは、リスク分散としてはあまり意味をなし得ないのが外国債券の大きな特徴です。
私は、外国債券をポートフォリオに組み込むことは考えていません。株式のリスクに対してはキャッシュを厚く持つことで備えるようにしています。キャッシュは利息や複利効果を生みませんが、債券にはない強みがあります。
・株式や債券が下落すれば価値が上がる
・流動性が著しく高い
・数値上の値動きが無い
このような強みは他の金融商品を圧倒していますね。キャッシュを厚く持つことは資産効率が悪いと考える投資家の方もおられるでしょうが、下落局面で一番信頼できるのはキャッシュだということです。
・株式>外国債券>>>>現金
私のリスクの感覚はこのような認識です。当然、円安ドル高が進めば、ドルに対する現金の実質的な価値は目減りしますが、金額に変化が見られないことがよいということです。
株式と外国債券は同じ財布で管理するものですが、キャッシュは別の財布で管理する必要があります。混ぜてしまうとリスク分散の意味はなくなってしまいますね。
為替の状況によっては外国債券のパフォーマンスは上昇しますが、それは株式でも同じです。そして、外国債券の値動きは株式よりもパフォーマンスは緩やかです。為替への備えは全世界株式インデックスファンドなどの十分に分散された株式ファンドで十分だというのが私の考えです。
為替の影響に対してリスク軽減したいのであれば、外国債券ではなく、キャッシュで軽減すればよいと私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。
SBI証券が取扱っている投資信託に株式50%、債券50%の配分にしたまるっと米国があります。
4パーセントルールは債券を持つことが前提の取り崩しルールです。私は4パーセントルールには懐疑的です。
長期投資と為替ヘッジについてはこちらで記事にしています。