日経平均株価の大幅安
2024年8月5日の日経平均株価の終値は先週末から4,451円安の3万1,458円で取引を終えることになりました。
この4,451円安というのは過去最大の下げ幅で、先週末の2,216円安と合わせると、取引のあった2日間で6,667円安となったということです。
年初来のチャートを確認すると、その下落幅が非常に大きいことがわかります。
この下落の要因は様々でしょうが、政府が心配しているのは、新NISAを投資の入口としてはじめた投資初心者のパニック売りです。
そのようなことから、鈴木俊一財務大臣は「新NISAは長期・積立・分散投資の重要性を考慮して冷静に判断していただきたい」と個人投資家に向けて注意喚起のコメントを出しています。
私自身、7月後半からは円高でジリジリと資産が減少し、さらに日経平均株価の大幅安によってさらに資産を減らしています。
しかし、暴落が悪いことばかりかと言えばそうではないですね。このような暴落は我々投資家に対して様々なことを教えてくれるよい機会となるからです。
・暴落が教えてくれる様々なこと
・暴落で学んだあとにするべきこと
今回は暴落に対してこの2点を中心に考えてみたいと思います。
暴落が教えてくれる様々なこと
今回の暴落が教えてくれることは様々ありますが、私が特に挙げるとするなら以下の点であると考えています。
・資産クラスとしての現金の重要性
・自分のリスク許容度
この2点について詳しく触れていきます。
資産クラスとしての現金の重要性
暴落が教えてくれることのひとつ目は「資産クラスとしての現金の重要性」です。
長期投資を軸に株式投資をしている投資家で一定数おられるのは「最低限の現金だけを残してあとは全て株式」というアセットアロケーションを組んでおられる方です。
・株式は長期的に右肩上がりなのだから多いほどよい
・現金は価値が上昇することがない
このような理由からアセットアロケーションに現金を組み込まないということです。
・株式 90%
・現金 10%
具体的に言えばこのようなアセットアロケーションですね。そして、この10%の現金というのは、資産クラスとしての現金ではなく、生活防衛資金と言われる最低限の生活費です。
このようなアセットアロケーションは非常にオフェンシブで、株価上昇の恩恵を大きく受けることができますが、今回のような大きな株価下落に対するディフェンス面は非常に脆弱です。
株価下落の影響が資産全体に及ぼす影響が非常に大きく、自身の想定を超えて資産が減少してしまう可能性が高くなるということです。
しかし、資産クラスとしての現金をある程度アセットアロケーションに組み込んでおけば、暴落に対しても余裕を持って対応することができます。
・株式部分が大きく減っても現金部分は変わることがない
・減少した株式部分を現金を使って調整することができる
資産クラスとしての現金をある程度保有していればこのような対応ができるということです。
自分のリスク許容度
暴落が教えてくれることのひとつ目は「自分のリスク許容度」です。
株式投資で言われるのは「リスク許容度の範囲内で投資をしなさい」ということです。
株式投資におけるリスク許容度とは自分自身がどれだけの損失を受け入れられるかということです。
一般的にはアセットアロケーション内の株式等のリスク資産の割合が多ければ多いほどリスクは高くなります。
そのため、自分のリスク許容度が低いのであれば、アセットアロケーション内の株式比率を低めにして、現金などの比率を高める必要があります。
しかし、この自分のリスク許容度というのは実際に資産が大きく減少してみないことにはわかりません。
・資産が50%減っても大丈夫と思っていたが20%減っただけで不安に感じる
このようなことは往々にしてあります。
そして、私の感覚になりますが、自分のリスク許容度を高く見積もっている投資家は少なくありません。
・若いからリスク許容度は高め
・投資経験が長いからリスク許容度は高め
このように考えている投資家がおられるということです。しかし、実際の自分のリスク許容度はこのような暴落がきてはじめて分かることであるということです。
YOHの考え
今回は暴落が教えてくれる様々なことについて触れてみました。
短期間で日経平均株価が大きく下落したことによって、投資家には様々な不安が広がっています。
・一旦利益確定させておこう
・積立投資をストップしよう
新NISAを意気込んではじめた投資家の中には今回の暴落を受けてこのように考える方も出てきているでしょう。
確かに投資家にとって株価が暴落してコツコツと積み上げてきた資産が短期間で大きく減少するというのは気持ちのよいものではありません。
しかし、その資産減少に耐えることができないというのは、多くのケースで株式投資に対する考え方が適切でないということです。
その適切でないケースというのが、今回挙げた2点であると私は考えています。
・資産クラスとしての現金の重要性
・自分のリスク許容度
この2つに対して自分の中で上手く向き合うことができているのであれば、今回のような暴落であってもそれほど悲観することなく受け入れることができるというのが私の考えです。
今回の暴落は私自身も歓迎すべきことではありません。コツコツと積み上げてきた資産が大きく減少しているからですね。
しかし、自分の株式投資や資産形成に不安を感じることはないですし、投資方針に変更することはありません。
自分の信じた投資方針である長期の積立投資をコツコツと継続するだけだということです。
多くの人にとって資産形成というのは焦ってするものではないですし、他人と比較するものでもありません。
早くゴールするのではなく、暴落で学びながら、少しずつしていけばよいと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
資産形成において現金というのは非常に重要です。ポートフォリオ内の現金比率の目安についてはこちらで記事にしています。
暴落があってもコツコツと積立投資をしていくことが資産形成においては非常に重要です。
リスク許容度の考え方についてはこちらで記事にしています。