資産形成時のポートフォリオ
資産形成において大切なことは、長期的に見て価値が上昇するものに対して資産投下することです。
・保有しているだけで資産が増加していく
・保有しているだけでお金を生み出してくれる
価値が上昇するものにはこのような特性があるからですね。その代表的なものは優良は指数をベンチマークとしている投資信託やETFです。そのため、優良な投資信託やETFを多く持っているほど資産形成上はよういということになります。
しかし、優良な投資信託やETFであっても、常に資産を増やしてくれるわけではありません。
・短期的な大暴落
・中期的な停滞
このようなことは間違いなく起こるということです。そのため、長期的に見れば資産増加するとしても、短期的に資産減少することは避けらないということです。そのように考えると、優良な投資信託やETFと言えども、それだけで資産形成していくことは難しいということです。
・米国株式投資信託 100%
・全世界株式ETF 100%
理論上は長期的に見れば資産増加するとしても、このようなポートフォリオを組める投資家はいないといってよいということです。暴落に備える必要があるからですね。
そして、下落時に力を発揮する資産クラスとして代表的なものは現金です。
・現金をポートフォリオに入れることについて
・ポートフォリオ内の現金の比率の目安
・ポートフォリオ内の現金比率の決め方
今回はこの3点について考えてみたいと思います。
現金をポートフォリオに入れることについて
前述しましたが、資産形成において大切なことは、長期的に価値が上昇するものに対して資産投下することです。
そこから言えば、現金をポートフォリオに入れることは、好ましいことではないですね。
・長期的に見てそれほど価値が上がらない
・持っているだけではお金を生み出すことはない
現金という資産クラスにはこのような特性があるからですね。
この図はやや極端な例ですが、価値の上昇度合は現金よりも株式の方が優れていることは見て取れます。これには様々な理由があるのでしょうが、投資家の目線から言えば、株式によるリスクプレミアムによるものですね。
・現金は減少するリスクが無い代わりに上昇することもない
・株式は減少するリスクは多分になるが、上昇するリスクもある
このリスクプレミアムの差が株式と現金の価値上昇度合の違いに関係しているということです。しかし、株式のみでポートフォリオを構成してリスクを上げることにも限界があります。そのため、ポートフォリオには一定の割合で無リスク資産を入れ込む必要があるということです。
・現金
・債券
・ゴールド
無リスク資産として挙げられるのはこのような資産クラスです。そして、最も使い勝手がよいのが現金です。
・流動性が高い
・数字の変化が無い
・安心感がある
現金にはこのような優れた特性があるからです。そのため、どれだけ早く資産増加を考えてリスクプレミアムを取る場合であっても、現金をポートフォリオから外すことはできないと言ってよいということです。
ポートフォリオ内の現金比率の目安
資産形成していくためにポートフォリオに現金を入れることは欠かせませんが、大切なのはその比率です。
・現金の比率が多いと資産形成の速度が緩やかになる
・現金の比率が少ないと下落時の資産減少が大きくなる
このように、ポートフォリオ内の現金比率は資産形成のバランサーの役割を果たすことになるからです。
・年齢と現金比率を同じにする
一般的に、ポートフォリオ内の現金比率はこのように言われていますが、これはあくまでも目安ですね。
・属性
・資産状況
・投資経験
実際には同年齢であっても、このようなことが違っていれば、適切な現金比率も変化してくるのが当然と言ってよいからです。そして、ポートフォリオ内の現金比率を決める際に最も大切な要素は「目標」です。
・10年後に資産5,000万円にしたい
・10年後に資産2,000万円にしたい
現在の金融資産保有額が1,000万円で、このような目標を設定した場合、「10年後に資産5,000万円」を目標としている方はより多く株式などのリスク資産を保有する必要があります。
・株式 50% 現金 50%
このようなポートフォリオを組むことは不正解だということです。
・株式 80~95% 現金 5~20%
このようなポートフォリオを構築してリスクを取った資産形成をしていくことが正解だということです。
YOHの考え
資産形成を優位に進めていくことを考えれば、現金比率はなるべく低い方がよいということです。資産形成の速度が遅くなるからですね。
しかし、現金比率が高ければ資産額のボラティリティは大きくなり、安定性に欠けることになります。そのように考えると、ポートフォリオ内の現金は資産形成のバランサーの役割を果たしているということになります。
・ポートフォリオ内の現金比率が高い → 数字の動きが少なく、精神的に楽
・ポートフォリオ内の現金比率が低い → 数字の動きが大きく、市場の状況に一喜一憂する
現金比率の大小はこのように資産形成において、数字だけではなく、精神的な部分に大きく関わってくるということです。そして、ポートフォリオ内の現金比率の決め方として適切なのは「目標に合った比率に設定する」ということです。
・早く資産を増やしたいから現金比率は少なめ
・資産増加のスピードは遅くてもよいので、現金比率は多め
このような考え方でもよいのですが、もっと具体的に目標を設定した方がより具体的に現金比率を決めることができます。
・現在の資産総額 1,000万円(資産は現金のみ)
・10年後の目標資産額 2,500万円
・年間投資可能額 120万円
この方が目標資産額に到達するためには、現在の現金1,000万円と年間投資額120万円を使って10年間で1,500万円を作る必要があります。
まず、年間投資可能額を全て株式投資に資産投下した場合、年利4%で増加したとしると、1470万円になります。投下金額1,200万円に対して運用益が270万円です。
・現金1,000万円
・株式 1470万円
これだと目標金額に530万円足りないので、現金の1,000万円を株式投資に使って30万円を作る必要があります。
株式投資のリターンを4%とした場合、10年間で430万円を使う必要があります。まとめると以下のようになります。
・現在の資産総額 1,000万円
・目標資産額 10年後に3,000万円
・年間投資可能額 120万円
・年間投資可能額を株式投資に充てた場合の10年後の金額 1470万円
・現在の資産を使って10年間株式投資をして得た利益 投資額430万円で利益100万円
・資産合計額 2,570万円(現金670万円 株式1,900万円)
・現金比率 35%
この目標を達成した時の現金比率は35%になっています。もちろん、年齢によって現金比率は複雑に変化していきますが、最終的にはこの現金比率に近づけていく必要があるということです。(これは非常にザックリとした雑なシミュレーションなので、あくまでも例としての目安です。)
このように、まず目標を決めることによって、自身のポートフォリオ内の現金比率の目安を決めることができるということです。
・何となく不安だから現金を多めに持つ
・とにかく資産を増やしたいから現金を少なめにする
これはどちらも資産形成においてよいことでは無いということです。
・目標を決めてその目標を達成するための現金比率を決める
これがポートフォリオ内の現金比率の決め方において大切なことだと私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。
株式投資において大切なことは自分自身で考えることです。2つの思考を使い分けることが理想ですね。
現金比率高めのポートフォリオはローリスクローリターンが特徴です。
現金比率20%はかなり現金比率が低いですが、その分資産形成は早くなる可能性を秘めています。しかし、そのポートフォリオを組める方というのは限られています。