金融庁が2025年度税制改正でiDeCoの拡充を要望
かねてから検討されていたiDeCoの拡充について、金融庁が2025年度税制改正で掛金の拠出額拡充の要望をすることになりました。
日本政府は以前から貯蓄から投資へのシフトチェンジを骨太の改革のひとつとしており、iDeCoの掛金の限度額の引き上げに向けた検討を進めていました。
年内に結論を出すとしていたこのiDeCo拡充について、方向性を示したことになります。
iDeCoの歴史は古く、2001年に制度が開始され、主な加入者は企業年金のない会社員でしたが、2017年1月からは公務員も加入できるようになりました。
そして、iDeCoの特徴として挙げられるのは、その制度設計が年々改正されていくことです。
・加入要件
・加入年数
・掛金上限
このような事柄が時代の変化に伴って改正されているということです。
近々改正される点を挙げると、2024年12月に拠出限度額が変更されることになります。
このように、公務員を含む国民年金第2号被保険者の拠出限度額が月額1.2万円から2万円に変更されることになります。
このように年々改正されているiDeCoの拠出限度額がさらに引き上げられることになるということです。
私自身、iDeCoを利用しており、この制度は老後の資産形成において非常によいものであると考えています。
しかし、iDeCoが万人に受け入れられている制度であるかと言うとそうではないですね。
その理由は制度が非常に複雑であることと、デメリットがあることが挙げられます。
・資金拘束
・出口で課税される
デメリットとしてはこのようなことが挙げられます。
しかし、私は会社員や公務員にとって、iDeCoは老後に向けた資産形成において欠かせないものであると考えています。
そして、制度改正によって拠出限度額が引き上げられることは加入者にとって非常に大きなメリットがあると考えています。
拠出限度額引き上げによって得ることができる金額
iDeCoの拠出限度額引き上げによるメリットは以下の2つが挙げられます。
・将来受給できる金額が大きくなる
・所得控除の金額が増加する
この2つがメリットとして挙げられます。それぞれについて触れていきます。
2025年の税制改正ではどのようになるかは不透明なので、今回はすでに決定している、2024年12月に変更される拠出限度額が0.8万円増加した場合について、それぞれどれぐらいの金額になるかモデルケースを挙げて確認していきます。
・年齢 30歳
・年収 500万(課税所得330万円)
・投資対象利回り 4%
このようなモデルケースで確認した場合、将来受給できる金額は現行の月1.2万円の時と比較すると以下のようになります。
月1.2万円から2万円と拠出金額が0.8万円増加することになるので、60歳時点での積立金額は約550万円増加することになります。
拠出額288万円に対して積立金額が550万円となるので、運用益が262万円増加するということです。
そして、所得控除の金額も月0.8万円(年間9.6万円)増加することになります。
課税所得が330万円であれば、所得税率は20%となるので、1.92万円所得税が安くなることになります。
※実際には超過推進課となるため金額はざっくりとしたものです。
そして、住民税が10%の0.96万円安くなります。
・所得税 1.92万円
・住民税 0.96万円
・合計 2.88万円
これだけの金額が年間で安くなることになります。そして、この税制優遇を30年間受けることができれば、合計で86.4万円の税制優遇を受けることができるということです。
・運用益 262万円
・節税額 86.4万円
・合計 348.4万円
iDeCoの拠出限度額が0.8万円増加することによって、平均的な年収の会社員や公務員であれば、これだけの価値を生むことになるということです。
YOHの考え
今回は金融庁が2025年度税制改正でiDeCoの拡充を要望していることについて触れてみました。
2025年度の税制改正でiDeCoがどのように拡充されるのかはまだわかりません。
直近の2024年12月に主に公務員の拠出限度額を月額1.2万円から2万円に引き上げることを考えると、2025年度の税制改正では会社員や自営業者の拠出限度額が引き上げられるのでは、というのが私の考えです。
日本政府は資産運用立国というフレーズを用いて、個人による資産形成を促しています。
税制優遇制度である新NISA、iDeCoなどの積極的活用を個人に強く求めているということです。
その背景にあるのは、「これからは公的年金受給だけでは老後生活を送ることはできなくなる」ということです。
ひと昔前までは60歳以降の老後生活は公的年金を受給して悠々自適に生活をすることが当たり前でした。
・夫は会社員として定年退職まで勤め上げる
・妻は専業主婦
このような生活をして、60歳以降は夫の厚生年金と妻の国民年金で月20~25万円を受給して余生を送るのがモデルケースであったということです。
しかし、今後の日本ではこのような老後のモデルケースは成り立たなくなるということです。
・厚生年金の所得代替率の低下
・第3号被保険者の廃止
・年金受給年齢の引き上げ
・年金加入期間の延長
このようなことによって、老後は厚生年金だけで生活することが難しくなるということです。
それを自助努力によってなんとかする必要があるのですね。その自助努力を助けてくれる制度のひとつがiDeCoです。
iDeCoによって老後資金を作っておくことは老後生活において必要なことだと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
年金制度とiDeCoの関係性についてはこちらで記事にしています。
iDeCoは出口で課税されるため、納税の先送りに過ぎないと言われます。しかし、納税を先送りにすることは資産形成において有利になる点があります。
iDeCoの新NISAのシナジー効果についてはこちらで記事にしています。