iDeCo
iDeCoは2001年からはじまった制度で誕生から22年になります。
以前は個人型確定拠出年金、日本版401Kと呼ばれていましたが、2016年からiDeCoという愛称で呼ばれることになりました。
愛称は「individual-type Defined Contribution pension plan」の頭文字の大文字と小文字を組み合わせたものから作られています。
公務員の私が言うのもなんですが、国や地方自治体が決める愛称はイマイチなものが多いのですが、このiDeCoという愛称は非常によいですね。語彙がよく覚えやすいです。
iDeCoはざっくりと言ってしまえば、金融商品に資産投下して自分で作る年金の3階部分です。
そして、私はiDeCoの性質から考えて、iDeCoで選ぶ金融商品は株式100%がよいと考えています。
その理由は日本の年金制度によるところが非常に大きいですね。年金制度の欠点を補うためにもiDeCoは必要で、株式などのリスク運用をする必要があるということです。
・年金制度について
・年金だけでは老後生活は難しい理由
・年金を補うの方法のひとつはiDeCo
今回は年金制度とiDeCoの関係性についてこの3点を中心に触れてみたいと思います。
年金制度
日本の年金制度について軽く触れておきます。日本の年金制度は基本的に2階建てです。
・国民年金
・厚生年金
この2つから成り立っています。国民年金は原則として20歳になると全ての人が加入します。
・掛金 19.2万円/年(1.6万円/月)
・加入期間 40年間
・原則として65歳から受給
・受給額 78万円/年(6.5万円/月)
これが国民年金のザックリとした内容です。国民年金に加入してそれぞれの受給要件を満たしていれば、自分や家族に何かあった際に障害年金や遺族年金を受給することもできます。
次に厚生年金について触れておきます。厚生年金は会社員や公務員などが加入する年金です。
・年収が高いほど掛金が大きくなる(平均標準報酬月額で決まる)
・掛金が大きく長く納めるほど、将来の受給額が大きくなる
・現在の受給平均額 14.4万円/月
ザックリと触れるとこのようになっています。厚生年金に加入して受給条件を満たせば、国民年金の保障よりも手厚い遺族厚生年金や障害厚生年金を受け取ることができます。
※厚生年金の受給額は国民年金を含んだ額となります。厚生年金に加入しているから国民年金6.5万円と厚生年金14.4万円の合計20.9万円を月々受給できるわけではありません。厚生年金で受給できるのは14.4万円/月です。
年金だけでは老後生活が難しい
日本の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳で世界屈指の長寿国です。
・社会保障制度の充実
・治安の良さ
・経済的に安定している
このようなことから、長生きしやすい環境が整っているということです。しかし、人口は減少しています。そのため、少子高齢化が進んで超高齢化社会になっているということです。
そして、少子高齢化が進む日本では、公的年金だけで金銭的に豊かな老後生活を送ることはますます難しくなっているのですね。
・企業年金
・退職年金給付
このような年金の3階部分は誰しもが得ることができるものではありません。そのため、労働者世代の間に自分自身で年金の3階部分を用意しておく必要があるということです。そのため、多くの人が年金の3階部分を作ることができるようにiDeCoが用意されたということです。
iDeCoで選ぶ金融商品の基準
年金の3階部分という位置づけであることを考えると、iDeCoは20年以上の超長期的に運用することを目的として制度設計されています。
・定期預金
・保険(元本保証型)
・投資信託
iDeCoで拠出することのできる金融商品は大きく分けてこの3つです。定期預金や元本保証型は掛金を積み立てていくだけのため、元本が減ることがなく、控除対象となる魅力がありますが、デメリットがありますね。
・非課税メリットを活かせない
・インフレに負ける
定期預金や保険型にはこのようなデメリットがあります。iDeCoには掛金が所得控除になることと、運用益が非課税になるという大きなメリットがあるのですが、定期預金や保険型であればそれを活かしきれないということです。
また、iDeCoは原則として60歳まで引き出すことができないので、現在拠出した金額が20~30年後に同様の価値ではなくなっているということです。
日本は世界的に見てインフレが進んでいませんが、それでも緩やかにインフレが進んでいます。国自体もインフレ率2%を目標として掲げています。そのことから考えても、現在のお金の価値が目減りしていくことは間違いないといってよいですね。
定期預金や保険型の金融商品に拠出していては、老後に引き出した時に価値が大きく目減りしている可能性があるということです。
そのため、iDeCoで拠出する金融商品は投資信託で拠出するのがよいということです。中でもおすすめなのは株式100%で拠出する選択です。
この図は1800年に株式、債券、金、現金をそれぞれ1ドルずつ保有していたら2001年にはどのようになっているかを表した非常に有名なグラフです。
株式の価値が他を圧倒していることがわかります。これは200年という途方もない期間の例ですが、長期的に見れば株式のリターンが大きいと考えてよいということです。
YOHの考え
iDeCoは非常によくできた制度です。その目的は年金の3階部分を各個人で用意してもらうことです。
・管轄が厚生労働省(NISAは金融庁)
・掛金に上限がある(公務員なら1.2万円/月)
・長期の資金拘束
・運用益は非課税
・所得控除の対象となる
・iDeCoの金融商品ラインナップ
これらを見れば、厚生労働省が各個人に株式投資をして年金の3階部分を作ってもらいたいことは明らかです。定額で積み立てて欲しいのであれば、運用益を非課税にすることは無いということです。
そのように考えるのであれば、制度設計に適した金融商品を選ぶのが最もよいと私は考えています。しかし、iDeCoで株式の金融商品を選ぶことは将来どのようなリターンを得ることができるのかはわかりません。
・拠出したお金が受取時に半分になっている
・運用期間中に評価額が大きく落ち込む
このようなことは想定しておく必要があるということです。iDeCoだけに年金の3階部分を任せておくのは危ういということです。公務員や会社員は拠出できる金額が少ないのでなおさらですね。
・iDeCoとつみたてNISA
・iDeCoと貯金
・iDeCoをしつつ、60歳以降も働けるようにしておく
このような多方面からのアプローチが非常に大切だということです。とはいえ、iDeCoをしていれば、老後資金の足しになることは間違いありません。
公務員が30年間満額株式に拠出していれば、受取時点で800万円ほどになる。私はこのように考えています。ご覧いただきありがとうございました。
iDeCoとつみたてNISAの優先順位についてはこちらで記事にしています。
iDeCoは受取方法を考える必要がありますね。受取り方によっては数百万円損をしてしまう可能性があります。
老後資金という点ではiDeCoが非常に優れていると私は考えています。