公務員の資産形成について
公務員が資産形成をする方法として人気があるのが共済貯金と財形貯蓄です。
この2つは混同されがちですが、仕組みは明確に異なっています。
・財形貯蓄とは
・共済貯金とは
・資産形成においてどちらが優れているか
今回は公務員の資産形成についてこの2点を中心に触れてみたいと思います。
財形貯蓄とは
財形貯蓄とは、勤労者財産形成促進法に基づく貯蓄制度で加入職員の契約金融機関に預入代行する制度です。
・自分で入金する手間が省ける
・一定の金額までは利子が非課税
・財形貯蓄の残高が一定金額以上あると、住宅金融支援機構から低利・大型の融資を受けることができる。
・共済貯金と異なり流動性に優れている
特徴としてはこの4点です。財形貯蓄が人気の理由としては、銀行に預けているよりもお得感があるということです。
しかし、本当に得かどうかはよく考える必要があるというのが私の印象です。
財形貯蓄の利率について
財形貯蓄は自治体が指定した金融機関に給料から天引きする形で積み立てを行います。
利率は自治体と指定金融機関によって異なりますが、概ね0.002~0.003%です。一定の金額まで利子は非課税となります。
市中の銀行で年利0.002%で100万円預けていると、利子は20円です。ここから、税金が20.315%引かれるので、年間の利子額は16円となります。
この財形貯蓄の非課税枠が500万円までとすると、非課税で得ることのできる金額は20円です。非課税といってもほとんど意味のない金額ですね。
住宅金融機構からの融資について
財形貯蓄の残高が一定以上あれば住宅金融機構から融資を受けることができます。
・融資額の上限は4,000万円
・金利は0.7~0.9%(当初の5年間は固定金利)
・返済期間は20年間
自治体によって異なりますが概ねこのような条件です。返済期間は短いですが、融資額4,000万円、金利0.7%であれば、使い勝手は悪くなさそうですね。住宅購入の際に他の金融機関との金利比較の目安として把握しておくのはよいでしょう。
次は共済貯金について触れていきます。
共済貯金とは
共済貯金は共済組合独自の制度で共済組合員が使うことができます。そして、市町村の公務員は必ず共済組合に加入します。
社会保険料も共済組合も通じて納めていることになります。給料明細には年金は長期掛金、健康保険料は短期掛金として区分けされています。そして、共済組合は業務の一環として貯金事業を行っています。
共済貯金の利率
共済貯金が大変人気がある理由は、ずばり利率の高さです。
共済組合は職種や都道府県によってわかれているので、各共済組合によって利率は異なりますが、概ね年利0.5~2%です。市中の銀行預金が高くても0.1%であることを考えると、非常によい利率です。
この利率の高さから、給料の大半を共済貯金に貯金している職員も少なくありません。
なぜこれほどの利率が出せるのか
市中よりも遥かに高い利率が設定できるのには理由があります。それは、共済組合が利益を求めていないからです。共済貯金の本質は銀行預金と同じです。
預金者から集めたお金を運用して、運用益を預金者に還元するシステムです。共済貯金のポートフォリオは地方債、国債といった元本割れリスクの極めて低い金融商品が大部分を占めています。
組合員から集めたお金を元本割れリスクの低い低利回り金融商品で運用して、必要経費を除いた金額を預金者に還元する。市中の銀行なら、銀行の取り分を除いて預金者に還元される分がないのが共済貯金の利率を高めているのです。
共済貯金のデメリット
大変利率のよい共済貯金ですが、デメリットも存在します。
・貯金額は3,000万円が上限
・ペイオフの対象外
・利子は課税される(株式と同様に20.315%)
・預金の払い出しに時間がかかる
・米国株式インデックス投資と比較して利率が低い
預金の払い出しに関しては私はメリットと考えています。払い出しに手間がかかるので、浪費に使うことを防いでくれるからですね。
YOHの考え
今回は財形貯蓄と共済貯金について触れてみました。
公務員にはこの2つの制度ですが、名称が異なっている別の制度が用意されている企業もありますね。
これらの制度というのは、金融商品として見た場合、非常にディフェンシブな金融商品です。
・元本が保証されている
・積立型
・利回りが低い
財形貯蓄と共済貯金はこのような特徴があるからですね。
そして、財形貯蓄と共済貯金を比較した場合、多くのケースでは共済貯金の方が優れているケースが多いですね。
・利回りが高い
・入金できる金額が多い
共済貯金にはこのような特徴があるからですね。
私の印象になりますが、財形貯蓄は資産形成で使うというのではなく、住宅ローン借入のために一定金額をプールしておくという使い方をされているという印象です。
私自身は共済貯金を現金の置き場所として利用しています。市中銀行よりも利回りがよいことが使っている理由として大きいですね。
共済貯金と財形貯蓄にはそれぞれメリットデメリットがあります。使えるのであれば、制度を理解して資産形成に使うことを検討してみてもよいのではないでしょうか。
ご覧いただきありがとうございました。
金融商品選択で大切なのはリスクフリーレートを把握しておくことですね。リスクフリーレートについてはこちらで記事にしています。
共済貯金だけで資産形成することについてはこちらで記事にしています。
公務員の年収は右肩上がりというものではないですね。