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【やめとけ】ツミレバで資産形成が難しい理由について

積立投資+レバレッジ系金融商品

 近年、人気のある投資手法が積立投資です。積立投資とは、月々何万円と投資額を決めてコツコツと投資信託やETFを購入する投資手法です。

 ・誰しもが簡単にはじめることができる

 ・時間や手間がかからない

 ・国からの後押しがある(NISA制度、iDeCo)

 このようなことから非常に人気が高まっています。一定の金額を資産投下しておくだけで、超長期的に見れば、資産を増加させる可能性が極めて高く、誰がやっても同じパフォーマンスを得ることができるというのが人気の理由のひとつですね。

 そして、もう一方で人気のある金融商品がレバレッジ系投資信託(ETF)です。

 投資信託とは特定の指数に連動することを目指して運用されていますが、レバレッジ系投資信託(ETF)はその〇〇倍となることを目的としています。

 ・ダブルレバレッジインデックス

 ・4.3倍ブル

 このような名称がついている投資信託ですね。これらの投資信託は少ない元手で大きな利益を得ることができる可能性があることから人気があるということです。

 そして、積立投資とレバレッジ系投資信託という人気のある2つの投資を合わせた投資手法が「ツミレバ」と呼ばれています。

 ・ツミレバについて

 ・ツミレバをおすすめできない理由

 今回はこの2点について考えてみたいと思います。

ツミレバについて

 ツミレバとは、レバレッジ系投資信託(ETF)を積立投資することです。

 ・右肩上がりの指数をベンチマークとしている投資信託を選ぶ

 ・超長期の積立投資なら含み損になる可能性は極めて低い

 ・それならば、指数の倍のパフォーマンスが期待できるレバレッジ系投資信託の方がよい

 ツミレバとは、このような考え方が根底にある積立投資手法です。

 確かに、超長期的に見て右肩上がりに上昇していくのであれば、レバレッジをかけておいた方がその分パフォーマンスが上がると考えることは自然なことですね。

 そして、レバレッジ系投資信託の特徴として挙げられるのが、少ない元手と時間で大きなパフォーマンスが期待できるところです。

 2倍のレバレッジをかけている状態で指数が10%上昇すれば、20%上昇する恩恵を受けることができるからですね。

 そのため、長期的に指数が上昇していけばその倍近くのリターンを得ることができる可能性があるということです。

 確かに、考え方によってはそうなのでしょうが、実際にツミレバをする際には注意しておく点があります。

 それは、レバレッジ系投資信託の値動きについてです。

レバレッジ系投資信託の値動き

 レバレッジ系投資信託の値動きで注意しておく必要があるのは、日ごとにレバレッジをかけた分の動きをするということです。

 これは、レバレッジ系投資信託が指数を上回る成果を出すために、先物取引を利用している商品設計がなされているからですね。

 そのため、指数が上下動をすると、元本毀損が大きくなるという性質があります。

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出典 日本株4.3ブル目論見書

 ・1日目 100万円の株が10%下落 → 90万円

 ・2日目 90万円の株が10%上昇 → 99万円

 パフォーマンスが10%で同じでも、元本が減っているのが株式投資です。これにレバレッジをかけていると、元本毀損がより大きくなるということです。

 ・1日目 100万円の株が10%下落(レバレッジ2倍) → 80万円

 ・2日目 80万円の株が20%上昇(レバレッジ2倍) → 96万円

 パフォーマンスだけ見ると、元に戻しているのですが、資産が大きく目減りしているのがレバレッジをかけた投資信託の特徴です。

 指数のパフォーマンスが1年前から比較して40%上昇しているから、2倍のレバレッジをかけていれば、元本が80%増えている、とはならないのですね。

資産投下する際に注意すること

 私は、株式投資で最も大切なことは元本毀損しないことだと考えています。長期、短期、インデックス、アクティブどれでも、元本毀損してしまうと、投資成果に大きな差が出るからですね。

 株式投資は利回りよりもスケールで勝負した方が勝ちやすいのです。投下資産が少ないうちは、利回りよりも投下資産を増やした方が、資産形成の速度と安定性は上がります。

 利回りをしっかりと考えるのは、ある程度資産規模が大きくなってからでよいのですね。そのような考えから、レバレッジ商品は長期投資に向いていないと考えています。

 ・元本毀損した際に復帰するのに時間がかかる

 ・レバレッジをかけていない商品と比較して元本毀損の可能性が高い

 ・ランニングコストが高め(1%前後)

 この3点が主な理由です。また、長期投資の基本であるつみたてNISAにはレバレッジ商品は含まれていません。そのことからも、長期的に安定して資産を増やせると考えられてはいないのですね。

レバレッジ商品は波をつかみにいく商品

 レバレッジをかけた投資信託やETFは投資不適格化と言えばそうではありません。

 ・少ない元本で大きく資産を増やせる

 ・はっきりとした右肩上がりの相場では大きく資産が増える

 このような特徴があるからですね。指数に投資しながら、大きく資産を増やすことができるのは、レバレッジをかけた投資信託やETF最大の強みです。

 しかし、S&P500のような長期的に右肩上がりの指数でも、上下動を繰り返しながら上昇していきます。直線のように右肩上がりではないのですね。

 そして、レバレッジ商品は上下動では投資成果が下がってしまう特徴があるのです。そのため、長期的に上がっていても、思ったほど投資成果が得られないことがあるのです。

 しかし、短期的に右肩上がりであれば、レバレッジをかけていた方が大きな投資成果を得ることができるのは間違いありません。

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出典 マネックス証券

 このグラフを例に取ると、2000年~2010年にNasdaq100にレバレッジをかけていた場合、投資成果は辛酸を舐める結果となっているでしょうが、2020年3月以降にNasdaq100にレバレッジをかけていた場合、驚くべき投資成果を得ていたでしょう。

 長期的には投資成果を出しにくいが、短期的に波を掴んだら大きな投資成果を得ることができる。それがレバレッジを用いた株式投資です。

何でも規格外であればよいというものではない。

YOHの考え

 今回は、積立投資とレバレッジ系投資信託の2つを合わせたツミレバについて考えてみました。

 私はツミレバに関しては否定的ですが、長期的に見てどのようなパフォーマンスが出るのかは未知数です。

 上下動を繰り返しながら指数よりもよいパフォーマンスが出ることも十分に考えられるということです。

 しかし、2倍のレバレッジをかけているからといって、指数に対して2倍のパフォーマンスが出るということは無いことは明らかです。

 どのような株式指数であっても、永遠に上昇していくということはあり得ないからですね。

 少し上昇しては下降することを繰り返して、長いスパンで見れば右肩上がりであるというのが、長期的に見て優れた株式指数の特徴です。

 そのように考えると、長期投資とレバレッジ系投資信託を組み合わせることは相性が悪いということです。

出典 Googlefinance

 実際にSPXL(S&P5003倍レバレッジ)とS&P500のチャートを比較すると、場面によってはパフォーマンスに大きな差が出ているところもありますが、全体な株価を見ると騰落率はほぼ同じです。

 それならば、積立投資を行っていた場合、下落時の騰落率が大きいSPXLの方がパフォーマンスとしては劣っている可能性が高いということです。

 先述していますが、レバレッジ系投資信託(ETF)というのは、長期投資で用いるには難しい金融商品です。

 はっきりとした上昇局面で大きな効果を発揮しますが、下落局面はもちろんのこと、上下動を繰り返すボックス相場においても資産形成上は不利に働くということです。

 そして、長期投資であれば、はっきりとした上昇局面というのは少なく、多くの期間がじりじりと値動きするボックス相場が大半だということです。

 そのように考えれば、積立投資とレバレッジ系投資信託(ETF)は極めて相性が悪いということです。

 その点を踏まえてツミレバをするのであれば、投資手法として何ら問題はありません。

 ・短期的に切り取られたパフォーマンスだけを見る

 ・人気の投資手法を組み合わせたものだから

 しかし、このような考えでツミレバを選択するのはイマイチだということです。

 レバレッジ系投資信託(ETF)というのは、使い方によっては少ない元手を短期間で大きく増やしてくれる可能性があります。

 しかし、その使い方は難しく万人向けではないということは頭に入れておく必要があります。ずばり言ってしまえば、積立投資しているだけで資産増加させてくれる金融商品ではないということです。

 ・安い時に購入する

 ・値が上がれば売却する

 レバレッジ系投資信託(ETF)は、このように短期売買することで利益を上げていくことに適した金融商品だということです。

 ・長期投資

 ・レバレッジ系投資信託(ETF)

 この2つの特性を考えた場合、長期的に資産形成したいのであれば、ツミレバはやめておけというのが私の考えです。

 ご覧いただきありがとうございました。

 レバレッジ系の東証上場ETFとしてiFreeレバレッジNasdaqが販売を開始しています。レバレッジ系金融商品を考えるのであれば、一番の選択肢になる金融商品ですね。

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 指数というのは、長期的に見て上昇一辺倒ということはありません。細かな上下動を繰り返して上昇していくのが優れた指数だということです。

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 レバレッジ系金融商品はサテライトで運用する分には選択肢になり得ますね。その際にも、短期的な売買が基本となります。

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