定年退職
3月はどの職場でも定年退職の時期になります。
・40年間勤めた職場に別れを告げる
・第二の人生を歩む
多くの定年退職者にとっては、このように人生の節目でもあると同時に、新たなスタートでもあるということです。消防職員で見れば、今年定年退職する方は高校卒業と同時に消防組織で働きはじめた方が多く、実に40年以上消防職員として働いていたことになります。
再任用職員として働き続ける方もおられますが、働く環境は定年退職前と大きく異なります。
・定年退職前は管理職だったが、再任用では一般職員として働く
・労働時間は変わらないが、給料は半分ほどになる
このような条件で働くことになるので、多くの再任用職員の方にとっては、仕事への接し方が変わるということです。
2極化が進んでいる
現在の日本経済のトレンドは2極化です。コロナ禍によつてそのトレンドは一層進んでいるように感じます。ずばり言ってしまえば、お金を持っている人はより豊かになり、貧しい人はそこから抜け出すことができず、経済的格差がどんどん進行しているということです。
これは、定年退職する方にしても言えることですね。
・同じ労働環境
・同じ給料体系
・同じ年収
このように、40年間同一労働同一賃金で働いていたにも関わらず、定年退職時に老後資金が潤沢にあり、十分な資産形成が出来ている方もいれば、金融資産と言えるものはわずかな貯金と残債が残っているマイホームという方もいるということです。
全国家計構造調査によると、金融資産保有額の平均は1279万円、中央値は650万円となっています。
平均値1279万円というのはかなり多いというのが私の印象です。しかし、グラフの内訳を見ると、2極化していることがわかります。
・金融資産150万円未満 27.4%
・金融資産150万円~300万円 9.8%
・金融資産300万円~450万円 8.8%
このように、金融資産450万円以下の世帯が46%と約半数を占めています。一方で金融資産2,000万円以上を保有している世帯は約20%存在しているということです。そして、全体を2分する中央値が650万円になるのですね。
十分な資産形成が進んでいても、定年退職後も働く理由とは
40年間働いて定年退職時に資産形成ができていなければ、定年退職後も収入を得る必要があります。しかし、十分な資産形成が出来ているにも関わらず、定年退職後も働くという選択をされる方が一定数おられます。
・金融資産が5,000万円あるが、再任用職員として働く
・不動産収入が月40万円あるが、再任用職員として働く
私の職場で見てもこのような経済状況でも再任用職員として働く選択をされる方がおられます。定年退職後も働く理由は、「老後資金の計算はすることができないから、金融資産は増やしておくに越したことはない」ということです。
老後資金の計算はできない
平均的な年収の公務員や会社員で、定年退職時にまとまった額の金融資産がある方は、金融資産を増やしていくための仕組みが完成しています。
・生活の支出は平均以下
・収入の20%以上を貯蓄に回す
このようなことが生活の一部となっているということです。そして、時間をかけて金融資産を増やしてきたため、高額な退職金を受け取っても大きく浪費や投資に使うことはありません。
そのような方でも老後資金の心配というのは尽きないということです。その理由は、老後にいくらかかるのかは分からないからですね。
・自分が何歳まで生きるのか
・妻は何歳まで生きるのか
・自分は何歳まで健康でいられるのか
・自分と妻、先立つのはどちらが早いのか
・年金受給金額はこのまま保たれるのか
・社会保険料の増加具合
・生活費の増加具合
このようなことを考えると、定年退職時に金融資産が5,000万円あっても、老後生活には不安が残るということです。
YOHの考え
私が資産運用をしている一番の理由は老後資金の捻出です。しかし、実際にどれだけの金額が必要になるかは非常に曖昧ですね。
・40歳で2億円あれば問題ない
・50歳で1億円あれば大丈夫
このようにはっきりとした金額は本人ですらわからないということです。今の仕事を辞めても稼げるだけのスキルがあれば大丈夫、という方も少なからずおられますが、それについても状況によっては役に立たなくなる場合があります。
・自身の健康状態の悪化
・異常とも言えるほどの時代変化
このようなリスクを考えると、定年退職後も稼げるスキルがあるから大丈夫というのは非常に楽観的だと私は考えています。そのように考えると、金融資産をある程度保有しておく必要があるということです。
人生というのは、長い年数の未来ほど見通せないことが一般的です。
・1年後の生活費の変化
・1年後の金融資産保有状況
・1年後の自身の年収
このようなことは大まかに把握することができ、大きく外れることはありません。しかし、これが30年後となると、全く分からなくなるのですね。1年1年の積み重ねによって、把握していくしかないということです。
しかし、老後資金というのは分からない30年後を見据えて準備する必要があることから、誤差なく用意することは不可能だということです。それならば、できるだけ多く用意しておこうというのが、定年退職後も働くという選択になるということです。
ご覧いただきありがとうございました。
公務員や会社員の老後の収入源は年金です。
年金制度を理解するには、GPIFの積立金運用とマクロ経済スライドを見ておく必要があります。