YOH消防士の資産運用・株式投資

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【株式投資のお手本】GPIFのポートフォリオから見る株式投資と年金問題について

年金の財源

 会社員や公務員などの厚生年金加入者にとって、老後生活の柱になるのが厚生年金です。

 ・厚生年金 14.4万円/月(夫)

 ・国民年金 6.5万円/月(妻)

 ・合計 20.9万円/月(世帯)

 2人世帯の場合、平均的な年金受給額はこのようになり、これをベースに老後生活を考えていく必要があるということです。

 しかし、年金制度は年が経つにつれて変化しています。

 ・今の若い世代は年金受給することができない

 ・年金は払うだけ無駄

 このようなことを言われることもありますが、これは今のところ誤っていると考えてよいですね。

 年金制度が過去のままであれば、こういったことも考えられますが、時代の流れとともに変化を続けているということは、時代に則した形で存続させていく意思があるということです。

 ・年金受給年齢の引き上げ

 ・掛金の増額

 ・所得代替率の低下

 このようなことは今後も起こることでしょうが、年金制度自体は存続していくということです。その根幹にあるのがGPIFです。GPIFとは年金積立金を管理運営している組織です。

 労働者が年金を納めているのは、自分の年金を積み立てているわけではありません。今の受給者が受給する分を現役労働者が納めているのです。そして、年金の財源は3つあります。

 ・保険料

 ・税金(所得税、住民税等)

 ・積立金

 今は、保険料と税金で年金制度が維持されており、積立金には一切手をつけていないということです。積立金は将来、労働者人口が減少して受給者が多くなった際に取り崩して使うためのお金です。その、積立金を管理しているのがGPIFです。

GPIFとは

 GPIFの正式名称は、年金積立金管理運用独立行政法人といいます。年金積立金を管理運用するのが主な仕事です。

 ・年金は将来もらえない

 ・年金は納めるだけ無駄

 このような意見を持たれている方も少なからずおられますが、GPIFが積立金を管理している限り、今後50年間は年金財源にが枯渇することは考えにくいと言ってよいですね。

 ・総額196兆円を運用

 ・利回り3.69%(2001年~2021年)

 ・収益額105兆円(2001~2021年)

 この数字だけを見ても、GPIFは極めて健全に積立金を運用して増加させています。

出典 GPIF 2021年度の運用状況

 そして、GPIFは数々の金融危機を経験しています。

出典 GPIF

 年によっては含み損を出している時もありますが、これはどのような金融機関が運用したとしても含み益を出すことが難しい相場だった時ですね。累積収益額、インカムゲイン共に毎年のように過去最高を更新し続けていることがわかります。

 このように、GPIFは積立金を運用によって大きく増やしており、チャートはきれいな右肩上がりです。2008年のリーマンショック、2019年のコロナショックでは収益はマイナスに転じていますが、運用は非常に堅実かつ的確だということです。

GPIFの資産運用方針

 GPIFの資産運用方針は長期で安定して利益を出すことです。単年での結果を求めているわけではありません。そして、圧倒的な資金力にものを言わせた資産運用をしています。

 ・長期的に安定した利益を出す

 ・分散投資

 ・インデックスとアクティブを併用する

 ・ESG(環境・社会・ガバナンス)投資

 これがGPIFの運用方針スタンスです。年金財源の安定的な確保のために必要な利益をできるだけ低いリスクで取りにいくことを目標としているのです。

出典 GPIF 2021年の運用状況

 ポートフォリオは非常にシンプルですね。国内外債券25%ずつ、国内外株式25%ずつで構成することを基本としてます。

 債券については新興国の格付けが低いジャンク債は含まれておらず、格付けの高い投資適格債券中心です。

 ・利子、配当が安定的に得られる

 ・ローリスクローリターン

 国内外債券と国内外株式に均等に投資する4資産均等分散は、非常に安定性に優れていますが、利回りが低くなりがちなのが欠点です。しかし、GPIFは資金力で利回りの低さをカバーしているのですね。

オルタナティブ投資

 大変堅実な運用をしているGPIFですが、伝統的な資産だけを投資対象としているわけではありません。オルタナティブな金融商品にも投資をしています。

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出典 GPIF

 インフラ(電力・交通・輸送など)、不動産、未公開株などの流動性の低い金融商品に対しても、上限を5%として投資しています。現在は総資産の1%ほど、1兆3000億円ほど投資していますね。

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GPIFがある限り年金積立金が尽きることはない

YOHの考え

GPIFは長期投資のお手本のようなスタイルです。その資産運用方法は以下の2つによるところが非常に大きいですね。

 ・大きな資金力

 ・堅実な資産配分

 これによって、長期的に安定した収益を生む仕組みを作り、堅実に運用しています。GPIFが年金財源を維持するのに必要と判断している利回りは1.7%です。この1.7%を最も低いリスクで取りに行くのがGPIFの資産運用方針です。

 過去20年間の収益率は3.7%と目標値を大きく上回っています。

 ・単年で利回り10%

 ・10年で資産を倍にする

 このような運用はGPIFには不要なのですね。投資の軸をしっかりと定めて、長期的に資産を増やしていく運用方針にブレはありません。しかし、個人投資家がGPIFのポートフォリオをそのまま真似すればよいか、と言えばそうではありません。

 ・利回りの低さ

 ・ローリスクすぎる

 GPIFのポートフォリオの背景には、個人投資家が真似できない圧倒的な資金力があるのです。多くの個人投資家にとっては、GPIFのポートフォリオよりも、リスクを取って利回りを上げる方が効率がよいということです。

 大切なのはなぜ資産運用をしているかです。GPIFは長期的に年金財源を確保するために、年利1.7%を目標として資産運用をしています。その目標を達成するために、最も適したローリスクローリターンの運用をしていくためのポートフォリオということです。しかし、個人投資家の目標は人それぞれ異なっています。

 ・早く退職したい

 ・60歳までに5,000万円欲しい

 ・1年で資産を倍にしたい

 目標が異なれば、最適な投資方法は異なります。1年で資産を倍にしたい人がGPIFのような投資をしてもしょうがないのですね。

 それぞれの目標を達成するために適切な投資方法を取る。これが資産運用には大切なのです。ご覧いただきありがとうございました。

 年金制度は時代と共に変化しています。2022年4月にも年金制度改正がありました。

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