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【わかりやすく解説】障害年金の制度変更について

障害年金の受給要件の変更

 国が用意しているセーフティーネットのひとつとして障害年金があります。ザックリと言えば、病気やけがで働けなくなった時、一定の要件を満たしていれば障害年金や障害手当金を受け取ることができる制度です。

 ・障害基礎年金

 ・障害厚生年金

 障害給付はこの2つに分けられます。一般的には自営業者やフリーランスは障害基礎年金、会社員や公務員は障害厚生年金に加入しています。

 セーフティーネットとしては非常に優秀な仕組みの厚生年金なのですが、一方では構造的な欠陥が指摘されることも少なからずあります。

 ・初診日の違いによって障害厚生年金を受給できるかどうか変わる

 ・厚生年金保険料を納付していたにも関わらず、障害厚生年金が受給できない

 このようなことから、障害厚生年金は構造的な問題を抱えています。障害厚生年金の方が保障が手厚いのですが、現在、会社員や公務員として障害厚生年金に加入しているからといって、全ての人が受給できるわけはないということです。

 状況によっては、会社員や公務員として働いていても、障害厚生年金を受給できないケースがあるということです。今回、このことが問題視されており、制度改正の議論がされることになりました。

 ・現在の障害年金の制度

 ・どのような場合、障害厚生年金が支給されないか

 ・制度変更について

 今回はこの3点について触れてみたいと思います。

出典 厚生労働省 障害基礎年金お手続きガイド

現在の障害年金の制度

 前述したように、障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金の2つに分かれます。そして、保障内容は大きく異なっています。

 ・障害基礎年金・・・1級、2級

 ・障害厚生年金・・・1級、2級、3級、障害手当金

 等級だけ見てもこのように違いがあります。そして、受給できる金額も異なっています。

障害基礎年金

 障害基礎年金の受給要件は主に2つです。

 ・初診日に国民年金に加入していること

 ・障害認定日に障害等級1級、2級に該当していること

 この2つと保険料の納付要件を満たしておく必要があります。納付要件は納付済み期間と免除期間が保険者期間の3分の2以上であればよいことになります。(特例として直近1年間で滞納がなければOKです)

 普通に保険料を納付していれば、障害を負った場合はほぼ確実に受給できると考えておいてよいですね。次に受給額を確認します。

 ・78.17万円 + 子の加算額(第1子なら22.49万円)

 ※1級であれば、約97万円と子の加算額

 障害基礎年金であれば、年間にこれだけの額が受給できます。

出典 

令和2年度(2020年度)の障害年金の金額 - NPO法人 障害年金支援ネットワーク

 モデルケースとしてはこの表が非常にわかりやすいですね。障害の度合いや家族構成によって97万円~150万円となるということです。

障害厚生年金

 障害厚生年金は障害基礎年金よりも保障が手厚いという特徴があります。先に受給できる金額を確認します。

出典 令和2年度(2020年度)の障害年金の金額 - NPO法人 障害年金支援ネットワーク

 障害厚生年金の受給金額は障害基礎年金に比例報酬の年金と配偶者加算されたものがベースとなり、人によって異なります。一般的には、給料が高く、納付期間が長いほど受給金額は多くなります。次に受給要件を確認します。

 ・初診日に厚生年金保険に加入していること

 ・障害認定日に1級~3級の要件を満たしていること

 障害厚生年金の受給要件はこの2つになっています。そして、保険料納付要件は障害基礎年金と同様です。障害厚生年金の受給要件はややハードルが高いですね。

 ・以前は会社員として働いていたが、現在はフリーランス

 ・会社員として働いていたが、障害を負った時は転職活動中

 現行制度では、このような場合は障害厚生年金が受給できないことが問題視されています。

どのような場合、障害厚生年金が支給されないか

 会社員や公務員として厚生年金に加入していたにも関わらず、障害を負った時の状況などによって、障害厚生年金が受給できないケースを確認していきます。

【障害厚生年金を受給できないケース】

 このように、会社員として働いている時に傷病を発症して退職後に病院受診した場合、障害厚生年金は受給することができません。障害厚生年金の受給要件である「初診日に厚生年金保険に加入していること」を満たしていないからですね。

 ・以前の会社を退職して、1カ月だけ無職でいる

 ・その際に発症

 ・その後、転職先で会社員として働き始める

 このようなケースでも障害厚生年金は受給できないことになります。10年間厚生年金保険料を払い続けていたとしても、発症した時に厚生年金に加入していなければ、障害厚生年金の受給はできなくなるということです。

【障害厚生年金を受給できるケース】

 現行制度では、このように、発症、初診が厚生年金保険加入期間である場合のみ、障害厚生年金を受給できると考えておいてよいということです。

制度改正

 ・初診日の違いによって障害厚生年金を受給できるかどうか変わる

 ・厚生年金保険料を納付していたにも関わらず、障害厚生年金が受給できない

 このようなことから、障害厚生年金は構造的な問題を抱えています。そのため、厚生労働省は支給要件の変更を検討しています。

 ・厚生年金保険の加入期間が一定以上ある

 ・退職から短期間の場合は初診日に関わらず障害厚生年金の支給を認める

 このような制度改正について検討していくということです。

障害年金の制度改正は非常によい制度改正と言える。

YOHの考え

 障害年金の制度改正はまだ議論の段階ですが、何らかの制度改革は検討されているということです。そして、厚生年金保険加入者が保障を受ける幅が広がることになれば、非常によい制度改正だと言ってよいですね。特に会社員や公務員のような厚生年金保険加入者にとっては非常に大きいものだと言えます。

 ・厚生年金保険料を納付していたにも関わらず、障害厚生年金が受給できない

 ・わずかな日の違いによって受給金額が大きく異なる

 このようなことが無くなれば、障害厚生年金は保険機能としてより強化されることになります。

 元々、老齢年金は厚生年金保険の加入期間によって、老後に受給できる金額が変わってくるため、厚生年金保険の加入期間が無駄になるということはありませんが、障害厚生年金は受傷や初診日のタイミングによっては、厚生年金保険料の払い損になる可能性があるということです。

 そういった仕組み上の問題点は改正されることが望ましいということです。

 このようなケースの場合、転職活動中は民間保険に加入して障害に対して備える必要があったのが、制度改正によってその負担が軽減されることになります。そして、厚生年金保険の加入期間の無駄がなくなるということです。

 障害年金は人生のセーフティーネットとして非常に大切で、万が一のことを考えるのであれば欠かすことができない公的保険です。それがより良い制度に変わることは、厚生年金保険に加入している会社員や公務員にとっては非常に大きいことだということです。

 今回の議論によってどのように制度改正されるのか分かりませんが、よりよい方向に進むことは間違いないのでは、というのが私の考えです。ご覧いただきありがとうございました。

 遺族年金もセーフティーネットとして非常に優秀な制度です。会社員や公務員の遺族年金についてはこちらで記事にしています。

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