生命保険
生命保険は人生のセーフティーネットとして非常に重要です。しかし、全ての人が加入しなければならないものではありません。
・独身世帯
・夫婦共にフルタイムで働いている
・こどもが成人している
・2人以上世帯で十分に資産がある世帯
このような世帯では、生命保険加入については慎重に考える必要がありますね。
独身世帯であれば、自分に万が一のことがあっても、誰かにお金を残す必要はありません。
また、こどもが年齢を重ねて自活能力が備わっていたり、世帯に十分に資産があれば、お金の面で残された家族の人生設計が狂うことはないからです。
また、生命保険は多くの場合、掛け捨て保険で十分に対応できます。
・死亡保障の金額が高額
・保険料が安い
掛け捨て保険にはこのような特徴があるからですね。もちろん、掛け捨て保険で賄えない場合は他の保険を考えてる必要があります。要するに、自分の状況にあった保険加入をする必要があるということです。
・年齢
・家族構成
・資産状況
・労働条件
このようなことを加味した上で決める必要があるということです。しかし、このようなことを考慮せずに保険加入する方が少なくありません。
・一度加入した保険を数十年継続している
・自分の加入している保険が生命保険か医療保険か分からない
このような方少なからずいるということです。保険は月々で言えば多くても数万円ですが、何十年と加入していれば数百万円になり、金銭的な面から見ても、人生に与える影響は少なくありません。
大切なのは、自分の状況に合わせた妥当な金額の保険に加入することです。
そして、生命保険加入については基準を持つ必要がありますね。その基準となるもののひとつが遺族年金です。
・遺族年金とは
・世帯の状況によって妥当な保険金額は変わる
・生命保険は金額が多いほどよいわけではない
今回はこの3点を中心に生命保険加入について考えてみたいと思います。
遺族年金
生命保険の妥当な金額を決めるのに重要なのが遺族年金です。
・遺族年金で将来いくら受給できるのか
・遺族年金受給額で足りない分を生命保険でカバーする
生命保険については、このように遺族年金をベースに考える必要があります。
・厚生年金を納めていること
・残された配偶者の年収が850万円以下であること
この条件を満たした上で、高校生以下の子どもがいる世帯と厚生年金加入者の夫に先立たれた世帯が支給対象です。
このモデルケースは、夫、妻、子ども2人の4人世帯で夫が死亡したものです。
・遺族厚生年金 39万円/年
・遺族基礎年金 78万円/年
・子の加算 22~45万円/年
場面によって、これらの金額を受給することができます。子の加算は子どもが18歳になった時点で支給対象外となります。
・第1子が18歳になるまで 162万円/年
・それ以降は減額される
このように考える必要がありますね。モデルケースの世帯では遺族厚生年金は最大で162万円/年ということです。
年間生活費を300万円とすると
生命保険加入を考えるのに欠かすことができないのが、遺族厚生年金の支給額と年間生活費です。
・妻33歳、こども2人
・遺族厚生年金・・・年間162万円
・生活費・・・年間300万円
このようなケースの場合、生命保険加入の考え方は以下のようになります。
年間生活費を300万円と考えると、第2子が18歳になるまでに必要な生活費は3,900万円です。遺族年金の受給合計額は2,040万円になるので、1,860万円が不足することになります。
モデルケース世帯では、この1,860万円を捻出する必要があるのですね。
・妻が働く
・生命保険でカバーする
そこでセーフティーネットとなるのが生命保険です。モデルケース世帯であれば、夫が2,000万円の死亡保障生命保険に加入していれば、最低限度の生活費は賄えるということです。
・年間300万円の支出では不足する
・子どもを大学まで行かせたい
このように将来にわたってお金が不足する場合、妻が働いて収入を得る必要がありますね。
世帯の状況によって妥当な生命保険金額は変わる
モデルケース世帯の1,860万円不足するというのは、どの世帯にも当てはまるわけではないですが、ひとつの目安として知っておいてよいでしょう。
・年間支出額
・家族構成
・教育資金
・住環境
このあたりは同年代でも全く違ってくるからですね。それでも、3,000万円以上の高額な生命保険は多くの世帯で不要です。
死亡保障を2,000万円と考えると、月々約2,400円。年間28,800円が必要な保険料ということになります。
これに妻が手取り180万円/年ほどで働くことを考えると、教育資金に充てることができる金額は2,000万円以上になります。
これだけ教育資金があれば、私立医学部などを除くと、大学卒業までの教育資金を捻出することは十分可能ですね。
生命保険は金額が多ければよいわけではない
このように考えると、過剰な生命保険を掛けている方が少なくないですね。
・死亡保障4,000万円以上
・終身型保険
・貯蓄性保険
このように手厚い保険に加入していると、自分が死亡した時に残された家族には多額の保険金が入ります。しかし、多くの場合、支払った保険料以上の保障を受けることはできません。日本で若くして死亡する確率は著しく低いからですね。
そして、生命保険は数年に1回は見直す必要があります。
・世帯の資産状況
・妻の就労状況
・子の年齢
・子の教育資金
このようなことは、生命保険の加入状況に多分に影響するからですね。
・月に1万円
・年間12万円円
・30年で360万円
見直しをせずに、保険を払い続けているのは生活のランニングコストを上げる要因となってしまいます。
給料の限られている平均的な世帯にとっては、保険加入による月々のランニングコストを抑えることは、資産構築において非常に重要です。
YOHの考え
遺族年金を中心に生命保険加入の妥当な金額は以下の条件を加味して決める必要があります。
・遺族年金
・月々のランニングコスト
・死亡保障
これらのことを勘案した場合、私が考える生命保険の加入目安は以下のとおりです。
・独身世帯・・・生命保険は不要
・妻との2人世帯・・・妻の年収が400万円以上あれば不要。扶養内で働いているなら、1,000万円~2,000万円の死亡保障。世帯の資産が十分にあれば生命保険は不要。
・ファミリー世帯・・・妻の年収が400万円以上あり、夫が死亡した後も働けるなら、生命保険は不要。妻の収入が低い場合は、遺族年金受給で足りない分を生命保険でカバーする。多くても3,000万円までの死亡保障で十分。定期的に保険内容は見直す必要がある。
遺族年金受給を考えると、どのような世帯でも、生命保険の死亡保障は多くても3,000万円までで十分に生活することはできるということです。
そして、もうひとつ大切なのが自分が安心と思えることです。
生命保険に加入している大半の方は、保険金をもらえることを想定して加入しているのではなく、日々の安心感を購入しているということです。
・自分に不幸があっても5,000万円の生命保険をかけているから、家族は生活に困らない
このような安心感のために、月々の保険料を払っているということです。そして、このような安心感を感じるポイントは人それぞれ異なるということです。
・3,000万円で安心
・5,000万円で不安
世帯の状況や価値観で人それぞれ異なるため、一概に言うことはできません。しかし、大切なのは、自分の置かれた状況と公的保険の範囲をしっかりと把握しておくことです。
その上で、安心感のために高額な保険に加入することは間違いではないということです。ご覧いただきありがとうございました。
保険で資産形成する際に考える基準はリスクフリーレートですね。保険で資産形成することを門前払いするのは投資家としてイマイチだということです。
保険で資産形成している世帯については、こちらで記事にしています。
生命保険加入の際に意識するのは生命保険控除ですね。