YOH消防士の資産運用・株式投資

消防士の資産運用、株式投資、仕事について紹介しています。

新NISAとiDeCoの比較:どちらが使い勝手が良い?

新NISA

 2024年がはじまって1ヶ月が過ぎました、お金のことで大きな話題になっているのが新NISAです。

 投資の入口として、これまでに資産運用をしていなかった世帯も興味を持ち、実際に使い始められています。

 そのような状況で影が薄くなっているのがiDeCoです。

 ・積立上限金額が少額

 ・原則60歳まで引き出し不可

 ・選択できる金融商品が限定的

 このような特性があるiDeCoは新NISAと比較すると使い勝手が悪いと感じます。

 そのようなことを受けて、「iDeCoは不要なのでは?」という意見も少なからず見受けられます。

 ・新NISAをしていればiDeCoが不要と言われる理由

 ・新NISAをしていればiDeCoは不要なのか

 今回はこの2点について考えてみたいと思います。

新NISAをしていればiDeCoが不要と言われる理由

 新NISAをしていればiDeCoが不要と言われる最も大きな理由は、iDeCoは解約時に課税対象となることです。

 iDeCoの最も大きなメリットは拠出額が控除対象となり節税できることですが、受け取る際には一定の税金がかかります。

 そして、受取り方によっては、節税していた金額と同等の税金がかかる可能性があります。

 ・一括で受け取る場合・・・退職所得

 ・分割で受け取る場合・・・公的年金等に係る雑所得

 この2つの受取り方があり、どちらが自分にとって最適な受取り方となるかは人によって異なります。

 今回は一括で受け取るケースについて考えてみます。

一括で受け取る場合(退職所得)

 iDeCoを受け取る際に選択する方法としてスタンダートなのが「退職所得控除枠内で受け取る」という方法です。

 退職所得控除とは、退職金の税負担を大きく減らすことができる控除です。

 退職金などの大きな金額を受け取ると、翌年の税金を納める額は非常に大きくなっていまいます。

 ・一生に一回の退職金に大きな税金をかけることは適切ではない

 このような考えから、使うことができるのが退職所得控除です。

f:id:fire-money:20220217110343p:plain

出典 国税庁 退職所得控除

 20歳から60歳までの40年間働いた場合、退職所得控除額は1,800万円になります。

 この枠内で退職金とiDeCoを受け取るのであれば税金はかからないことになります。

           

 図にするとこのようなイメージになりますね。しかし、退職金とiDeCoが退職所得控除を超えてしまうと課税されることになります。

 ・退職金 1,500万円

 ・iDeCo 800万円

 ・退職所得控除 1,800万円

 このようなケースの場合、課税額は以下のようになります。  

・1,500万円(退職金)+800万円(iDeCo)-1,800万円(退職所得控除)=500万円

 退職金とiDeCoの評価額で退職所得控除額を500万円超えてしまうことになります。超過した額の半分に対して税金がかかることになるので、250万円に対して課税されることになります。

 図にするとこのようなイメージですね。

 ・所得税 10万円

 ・住民税 25万円

 ・計 35万円

 ザックリ計算ですが、これだけの金額が課税されることになります。

 退職金だけであれば、退職所得控除内に納まっているのですが、iDeCoを受け取ることによって、少なくない金額が課税されることになるということです。

 このような出口に対して課税されることから、iDeCoよりも新NISAの方が優れているという意見が挙がるということです。

どちらがより優れているというわけではない。自分に合った使い方をする必要がある。

YOHの考え

 今回は新NISAを使えばiDeCoは不要なのか、ということについて考えてみました。

 iDeCoは今回取り上げた出口に課税される可能性があるということ以外にもデメリットが少なからず存在します。

 ・一度はじめると60歳まで原則辞めることができない

 ・60歳にならないと引き出すことができない

 このようなデメリットがあり、新NISAと比較すると使い勝手が悪いという印象があるということです。

 そして、iDeCoの最も大きなデメリットが「現時点でどのようになるか全くわからない」ということです。

 ・受取時のiDeCoの積立金額

 ・年金受給額

 ・退職金の金額

 このようなことがわからなければ、iDeCoで実際にどれぐらいの金額を受け取ることができるかがわからないということです。

 そして、控除についても自身が使う時には変化している可能性があります。

 ・終身雇用制度の崩壊

 ・働き方の変化

 このようなことを考えると、退職所得控除も現行のままであるとは考えにくいということです。

 このような不透明さから、新NISAをしていればiDeCoは不要という意見が出てくるのだということです。

 iDeCoと新NISAは両方を使うことが最もよい資産形成方法です。しかし、どちらか一方にしか資産投下する余裕が無い場合、私であればiDeCoを選択します。

 ・掛金を拠出している間は確実に税金が安くなる

 ・運用益が非課税である

 iDeCoには、このようなメリットがあるからですね。特に「掛金を拠出している間は確実に税金が安くなる」というのは、NISA制度には無い大きなメリットです。

 NISA制度(新NISA含めて)は「運用益が非課税になる」という性質であるため、必ず含み益を出すような使い方をする必要があります。

 ・NISAを使っているが毎年含み損が出ている

 ・評価額が掛金を大きく下回っている

 このような場合、NISA制度を使っていても意味が無いということです。そして、投資である以上、含み損を出し続けるという可能性は少なからずあります。

 そのため、NISA制度を使っていても全く得にならないということはあり得るということです。

 しかし、iDeCoは掛金が控除対象となるため、確実に税制上の利益を享受することができます。

 そして、一定の条件を満たせば退職所得控除を2回使うことができます。

 ・退職金を受け取って15年以上後にiDeCoを受け取る

 ・iDeCoを受け取って5年以上後に退職金を受け取る

 このような方法でiDeCoを受け取れば、iDeCoの税負担は無くなるということです。

 新NISAとiDeCoはそれぞれが異なった制度で、両方を使うことが望ましいことに間違いはありません。

 どちらにもメリット、デメリットがありますが、自分にとって最適な選択をするためには、各制度への理解は欠かすことができません。

 その上でiDeCoが不要と考えるのはよい選択です。しかし、制度がややこしい、めんどくさい、といった理由で使わないことは避けた方がよい、というのが私の考えです。

 ご覧いただきありがとうございました。

 iDeCoは昨年にも制度変更がありました。今後も制度変更がされていくことは間違いが無いと考えておいてよいですね。

fire-money.hatenablog.com

 iDeCoを分割で受け取る場合、年金受給額が重要になってきますが、年金制度についても制度変更を避けることはできませんね。

fire-money.hatenablog.com

 退職所得控除については、税制調査会で見直しが検討されています。

fire-money.hatenablog.com