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【批判する前に数字を確認】年金納付年齢が65歳に引き上げられることについて

年金納付年齢が65歳に引き上げ

 国民年金の保険料納付期間延長に関するニュースが先日報道されました。内容は「国民年金の納付期間を40年から45年に延長することを検討する」というものです。

 現在、国民年金は満額受給するなら40年間納付する必要がありますが、それを5年間延長するというものですね。これによって、納付額を増やして受給金額の減少を止めることが狙いということです。

 ・社会保障審議会が議論を行う

 ・政府が内容について了承する

 ・通常国会で法案提出される

 実際にはこの決定がされるまでは、このような流れになるので、国民年金の納付期間の引き上げが行われるのは、早くても2~3年後になります。(おそらくは2025年に法案提出、2026年に施行というのが最速です。)

 この報道を受けて、様々な意見が挙がっています。

 ・年金を納める意味が無い

 ・年金を払い終える前に亡くなるかもしれない

 ・年金制度はすでに崩壊している

 多くはこのような否定的な意見です。年金納付年齢が5年間延長されて受給額が同水準になるのであれば、単純な負担増加となるからですね。しかし、実際にはどの程度の負担増加になるのかを確認する必要があります。

 ・現在の国民年金の状況

 ・5年間納付期間が延長されることによる負担増加の状況

 ・納付期間延長に対してするべき対策

 今回はこの3点について考えてみたいと思います。

国民年金について

 老後生活の柱である年金は国民年金と厚生年金の2種類があります。自営業やフリーランス、扶養内で働いておられる方は国民年金、会社員や公務員として働いておられる方は厚生年金に加入しています。

 ・国民年金・・・掛金は一律で厚生年金と比較して少額、受給できる金額も少なく保障は薄い

 ・厚生年金・・・掛金は収入が多ければ増えるが、その分受給できる金額も多くなり保障も手厚い

 非常にざっくりと説明すればこのようになります。今回納付期間の延長が言われているのは国民年金です。そのため、会社員や公務員が現在納付している厚生年金の金額がそのまま60歳以降も納めるわけではありません。

 制度改正後に60歳で定年退職した場合、それまでの厚生年金保険料ではなく、負担が少ない方の国民年金保険料を納めることになります。

 ・60歳時点で厚生年金保険料を6万円納めている

 納付期間が延長されても、これが65歳まで続くわけではないということです。次に、現在の国民年金納付額と受給額を確認します。

 国民年金の現在の掛金と受給額は概ねこのようになっています。(満額拠出の場合)

 ・掛金 年間193,200円(月16,610円)

 ・総掛金 7,972,800円(40年間)

 ・受給額 年間780,900円(月65,075円)

 現状の場合、内部収益率は2.1%となり、75歳まで受給すれば元を取れることになります。これが現在の国民年金の状況です。

5年間納付期間が延長されることによる負担増加の状況

 次に、5年間納付期間が延長されることによる負担増加の状況について確認します。 

 ・掛金 年間193,200円(月16,610円)

 ・総掛金 7,972,800円(40年間)+996,000(5年間)=86,940,000円

 ・受給額 年間780,900円(月65,075円)

 総掛金が約100万円増加して45年間の累計掛金は約870万円となります。この場合の内部収益率を確認します。

     

 負担額が約100万円増えることによって、内部収益率がプラスになるのは76歳からとなり、平均寿命まで生きた場合の内部収益率は1.89%となります。

 負担増加することによって、内部収益率は落ち込みますが、この数字は頭に入れておく必要がありますね。そして、この数字をどのように考えるかはその人次第だということです。

怒る前にするべきことはいくらでもある。

YOHの考え

 国民年金納付年齢が65歳に引き上げられることについて内部収益率と数字で確認してみました。

 ・負担額 996,000円増加して、45年間の総額で86,940,000円になる

 ・内部収益率 プラスに転じるのが1歳遅れて76歳になる。

 ・平均寿命時点での内部収益率 2.1%から1.89%となり0.21%のマイナスとなる

 国民年金納付年齢が65歳になることによって、このようになるということです。

 今回の国民年金納付年齢を65歳に引き上げる改正法案は間違いなく実行されることになると考えておいた方がよいですね。そして、現役労働者世代にとって、これは通過点と考えておいてよいということです。

 ・国民年金納付期間が50年に延長

 ・年金受給開始年齢が70歳から

 現在の少子高齢化を考えると、年金制度はこのように変化していくことは避けられないといってよいからです。しかし、国民年金に関してはある程度元が取れるような制度設計が維持されることも確実だということです。

 このまま年金制度が改正されていけば割を食うのは厚生年金加入者です。

 ・55歳で役職定年によって給料は50%カット

 ・定年退職は70歳に延長されて、退職金はほとんどもらうことができない

 ・75歳から年金受給できるが、月10万円ほど

 ・月10万円では生活できないので、動ける限り働き続ける

 全く老後の資産形成が出来ていない厚生年金加入者はこのようなことになる可能性が高いと私は考えています。

 ・退職して年金受給で悠々自適に暮らす

 このような人生設計はすでに終わりを迎えており、年金で慎ましく暮らす、というようなこともできずに、生活のために働き続けることになるということです。

 このようにならないためには、ある程度、老後に備えて資産形成をしておく必要があるということです。そのために真っ先に必要なことは現状把握です。

 年金制度は厳しいものになっていきますが、多くの人にとって、年金は老後生活の柱になることは間違いありません。

 ・年金加入状況の把握

 ・将来受給できる年金額の把握

 ・足りない分の資産形成

 これをしっかりと現役労働者世代の時に行う必要があります。現状把握をすれば、何をするべきかは見えてくるということです。

 平均的な年収の世帯で資産形成を行わなければ、老後生活は年金だけで成り立つことは難しいものとなります。正確に現状を認識して行動することが大切だと私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 現在の国民年金と厚生年金の内部収益率についてはこちらで記事にしています。内部収益率とは何かについて詳しく解説しています。

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