CFD取引（くりっく株365）
SBI証券のCFD取引の対象金融商品としてNasdaq100があります。これは、通常の投資信託やETF（QQQ)を購入する場合とは勝手が違っています。
CFD取引とは（Contract for difference)の頭文字をとったもので、差額だけをやり取りする差額決済取引という意味です。
・利益が出たら利益分のみを受け取る
・損失が出たら損失分のみを支払う
このような株取引ですね。CFD取引の対象となるのは株式指数や個別株、ETFなどの市場価格に連動する金融商品ですが、日本で主流となっているのは株式指数です。この値動きを予想して利益を上げる取引方法ですね。ざっくりと言ってしまえば、FX取引の株式版ということです。
・FX取引 資産投下対象が通貨
・CFD取引 資産投下対象が株式やベンチマーク
FX取引の株式版ということは、取引形態も非常に似通っているということです。
一般的に日本でCFD取引を行いたい場合に利用するのが「くりっく株365」です。くりっく株365は東京証券取引所に上場する取引所CFDです。SBI証券などの証券会社で専用口座を開設することで利用することができます。
・日経平均
・NYダウ
・Nasdaq100
・DAX（ドイツ株式指数）
・FTSE100（英国株式指数）
・金ETFリセット付証拠金取引
・原油ETFリセット付証拠金取引
SBI証券ではこの7つに対してくりっく株365でCFD取引をすることができるようになっています。くりっく株365最大の特徴はレバレッジをかけた取引ができることにあります。
今回は、その中でもSBI証券がプッシュしているNasdaq100リセット付証拠金取引について触れてみたいと思います。
リセット付証拠金取引
Nasdaq100リセット付証拠金取引で馴染みのない言葉は「リセット付証拠金取引」というものですね。
CFD取引のリセットとは、1年に1回、取引対象となる原資産と同じ価格で決済することです。ざっくりと言ってしまえば、投資期間が決められており、その期日を迎えると自動的に利益確定や損切をする仕組みということです。
くりっく株365では9月～翌年の12月までの15か月間を投資期間としており、12月がリセット月となっています。同じ銘柄を継続してCFD取引する場合でも、一度売却して新たに同じ銘柄を購入する必要があります。
くりっく株365でCFD取引をする場合、最長でも15カ月しか保有できないということです。
Nasdaq100リセット付証拠金取引
SBI証券のCFD取引で取り扱っているNasdaq100リセット付証拠金取引について確認していきます。Nasdaq100については、ここで説明する必要がないほど有名な指数のですね。
・円で取引ができる
・レバレッジを効かせることができる
Nasdaq100リセット付証拠金取引にはこのような特徴があります。順番に掘り下げていきます。
円で取引ができる
Nasdaq100リセット付証拠金取引のひとつ目の特徴は「円で取引ができる」ということです。円で取引ができる最大のメリットは為替の影響を受けないということです。
Nasdaq100に限らず外国の金融商品に資産投下する場合、為替の影響を受けることが一般的です。
・Nasdaq100の価格 × 為替レート ＝取引金額
ETF、投資信託どちらにしてもこのような購入の仕方をしているということです。投資信託は口数注文していますが、実質的にはこの購入方法と変わりません。為替の影響を受けないのは為替ヘッジ有の投資信託などですね。
・Nasdaq100 × 10円（くりっく株365の取引倍率） ＝取引金額
くりっく株365でNasdaq100に資産投下した場合はこのようになるため、為替の変動を受けないという特徴があるということです。（10円というのは、くりっく株365のNasdaq100の取引単位です。）
レバレッジを効かせることができる
Nasdaq100リセット付証拠金取引のふたつ目の特徴は「レバレッジを効かせることができる」ということです。
Nasdaq100リセット付証拠金取引の証拠金取引額は7,310円です。これをベースにCFD取引ができるということです。
現在のNasdaq100は15,000ポイントほどで推移しています。
・15,000ポイント × 10円 ＝15万円
・15万円 ÷ 0.731万円 ＝ 20.5倍
現在の状況であれば、Nasdaq100では20.5倍のレバレッジをかけた取引ができるということです。
仮に、QQQの現在の評価額は350ドルほどです。
・350ドル × 120円 ＝ 4.2万円
Nasdaq100連動ETFのQQQを現金投資しようとした場合は1単位当たり4.2万円が必要になるのですね。このように考えると、レバレッジをかけた取引をすることによって、少額にも関わらず大きな資産規模で取引ができるということです。
YOHの考え
Nasdaq100リセット付証拠金取引について触れてみましたが、かなり癖がある株式投資手法とか考えてよいですね。言ってしまえば、激しく人を選ぶ投資手法で万人向けでないこということです。
・ロスカットによる強制執行がある
・投資期間が15カ月しかない
このような特性を考えると、短期間に多くの資産を投下して成果を上げる必要がある株式取引だということです。投下資産が少額であればあるほど、小さな値動きでロスカットによる強制執行が行われてしまうからですね。
※ロスカットによる強制執行は証拠金維持率が70％を下回ると執行される仕組みです。
そのため、Nasdaq100リセット付証拠金取引を扱うには、少なくとも100万円は資産投下する必要がありますね。しかし、リセット付証拠金取引であることから、長期的に資産増加させる商品設計ではありません。
そういったことを考えると、余剰資金のさらに余剰資金で行う必要がある株式投資ということです。
平均的な年収の公務員や会社員で、余剰資金のさらに余剰資金として100万円以上のお金を出せるか考えると、気軽にはじめられる株式投資ではないということです。
商品設計自体は優れており、少額で大きな利益を生み出す可能性があることは間違いがありません。しかし、大きく損をする可能性もまた同様にあるということです。
最も怖いのは急激な暴落でロスカットが追い付かない可能性も少なからず秘めているということです。レバレッジ20倍というのはそういった可能性を持っているということです。
・指数を読むための学習をしている
・自分の投資センスを試してみたい
このような方にとっては、検討してもよい投資手法です。しかし、多くの長期投資家にとっては安易に近づかない方がよい株式投資手法であると私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。
CFD取引についてはこちらで記事にしています。
Nasdaq100にはレバレッジをかけた投資信託があります。
S＆P500の4倍の成果を目標とするファンドについてはこちらで記事にしています。
