T&D-S&P500・4倍ブル型ファンド
SBI証券で2/18から販売されている投資信託に「T&D-S&P500・4倍ブル型ファンド」があります。
日々の基準価格の値動きが、S&P500指数における米ドルベースで4倍になることを目指した設定されているファンドです。
レバレッジを用いた株式投資は短期間で大きな値動きがあることから、一定の人気がありますが、4倍程の値動きをする投資信託は限られています。
今回は、T&D-S&P500・4倍ブル型ファンドについて触れていきたいと思います。
T&D-S&P500・4倍ブル型ファンドの詳細
T&D-S&P500・4倍ブル型ファンドはT&Dアセットマネジメントが委託会社となりSBI証券のみで販売されています。
・S&P500の先物取引を利用して、S&P500の4倍の暴騰率を目標とする
投資信託のコンセプトはこの言葉に集約されています。
投資者は直接S&P500先物に資産投下するわけではなく、担保付円建債券と4倍の投資成果を目標とする円建てインデックスを仲介させることによって、S&P500先物に投資している形を取ります。
こちらはSBI・V・S&P500インデックスファンドの仕組みですが、T&D-S&P500・4倍ブル型ファンドと比較すると、仕組みそのものが違っていることがわかります。
先物取引を利用してレバレッジをかけるということは、その分仲介する会社が増え、仕組みが複雑になるということですね。
次に、T&D-S&P500・4倍ブル型ファンドの主なデータを確認していきます。
・信託報酬 1.243%
・その他の手数料 0.3%
・手数料合計 1.543%
・純資産 1億600万円
・基準価格 9340円(2022年3月3日時点)
・償還日 2025年2月17日
主なデータはこのようになっています。レバレッジをかけているファンドなので手数料が1%を超えることはしょうがないですね。しかし、気になるのは償還日が3年後に設定されていることです。
繰上げ償還の条件
T&D-S&P500・4倍ブル型ファンドの繰上げ償還条件について確認してみます。
・インデックスの算出が中止された時(インデックスとは担保付円建債券が実質的に投資しているインデックスです)
・担保付円建債券が存続しないことになった時
この2つの場合は、即時繰上償還されることになります。仕組み自体の存続が不可能となるためですね。
・受益権の総口数が10億口を下回ることとなった時
・信託契約を解約することが受益者のため有利であると認めた時
・インデックスに重大な変更があった時
・その他やむを得ない事情が発生した時
このような場合は、繰上償還になることがあるということです。仕組みの崩壊と期限に達することを除いて、実際に繰上償還されるとすれば、「受益権の総口数が10億口を下回ることとなった時」ですね。
運用開始から3年後を償還期限としていることから、3年で10憶口に達しなければ繰上償還されることになるということです。延長されるかどうかは不明ということです。
※SBI・V・S&P500インデックスファンドには繰上償還の期限は設定されていません。無期限となっています。
レバレッジについて
T&D-S&P500・4倍ブル型ファンドはS&P500の4倍の値動きを目標としているファンドですが、実際にはきっちりとS&P500の4倍の値動きをするわけではありません。
レバレッジをかけたファンドは指数の下落局面はもちろんですが、細かな上下動をするボックス相場にも弱い性質があります。株式は評価額が10%下落した場合、次の日に10%上昇しても元本が回復しないためですね。
・評価額100万円 → 10%下落(評価額90万円) → 10%上昇(評価額99万円)
このように元本毀損に弱い性質があるということです。そして、レバレッジをかけた金融商品はこの性質をもろにうけてしまうということです。しかし、上昇局面で見れば大きな成果を上げることができます。
・評価額100万円→10%上昇(評価額110万円)→10%上昇(評価額121万円)
・評価額100万円→40%上昇(評価額140万円)→40%上昇(評価額196万円)
このように、はっきりとした上昇局面においては、レバレッジをかけていない場合と比較して60%以上高いパフォーマンスを発揮することができるのということです。
YOHの考え
T&D-S&P500・4倍ブル型ファンドは一部のテーマ型ファンドなどと比較すると、コンセプト自体は真っ当な投資信託と考えておいてよいですね。しかし、使い方が非常に難しいということです。
・長くても半年の保有
・半年でS&P500がはっきりとした上昇局面に突入する
このように考えるのであれば、購入することを検討してもよいですね。月々積立購入には向いておらず、一括投資で大きな金額を買い付ける投資手法を取る必要がある投資信託ということです。
しかし、月々積立てていくことや、1年以上保有する投資信託ではないということです。
・レバレッジ商品は元本毀損に弱い
・償還期限が3年
・償還リスクが高い
このようなことがT&D-S&P500・4倍ブル型ファンドが長期投資に向いていない理由です。私は今のところ、T&D-S&P500・4倍ブル型ファンドに資産投下する予定はなく、それほど人気が出ることない投資信託になると考えています。
しかし、販売するタイミングが違っていれば購入を検討したかもしれないと考えています。そのタイミングとは、コロナショックからの急回復のような相場の時ですね。
・短期間で大きく下げた指数が短期間で値を戻している
このような局面であれば、個別株ではなくこのようなレバレッジをかけた投資信託に資産投下してもよいということですね。短期間の保有であれば手数料の高さも気にならないという利点も大きいですね。
いずれにしろ、長期投資のコアに据えるような投資信託ではなく、ボラティリティの高い個別株と同様の位置づけと考えておいてよい投資信託ということですね。
ご覧いただきありがとうございました。
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