資産管理
資産を管理するツールとして家計簿アプリを使っている方は非常に多いですね。
ひと昔前はエクセルの家計簿、そのさらに前は手書きの家計簿というのが資産管理としてスタンダートでした。
やっていた方ならわかるでしょうが、これらのことは非常に手間と時間がかかります。しかし、資産形成する上で自分の資産状況は把握しておく必要があります。
その手間と時間を大きく削減してくれるのが家計簿アプリです。
・口座やクレジットカードを連携させておけば自動更新される
・レシートを撮影するだけで家計簿が完成する
このようなことが家計簿アプリですることができるからですね。そして、家計簿アプリとして最も人気のあるのが「マネーフォワードME」です。
現在で利用者数が1370万人を超えています。そんな中でマネーフォワードMEの仕様が変更されることとなりました。
・無料会員の連携金融機関数を10から4にする
・有料会員(月500円)になれば、連携金融機関数の上限はなし(現行通り)
この変更に伴って、マネーフォワードMEの利用者からはSNSなどで不満が挙がっています。
・改悪だ
・無料会員を切り捨てるのか
・普通に使いたければ課金しろということか
多くはこのような無料会員を中心とした意見ですね。そして、このようなネガティブな意見に対して否定的な意見もまた挙がっています。
・何でも無料ではない
・有料会員になって使うことが当たり前のサービス
・月々500円はケチるところではない
・即決で有料会員になった
マネーフォワードMEを改悪と叫ぶ方たちへはこのような意見もあるということです。
このような意見は自分自身の価値観によるところが大きいですね。しかし、マネーフォワードMEの仕様変更を嘆く前に、何故このような仕様変更になったのかを考える必要があります。
・マネーフォワードの現在の状況
・無料会員が考えるべきこと
今回はこの2点からマネーフォワードMEの仕様変更について考えてみたいと思います。
マネーフォワードの現状(IR情報)
マネーフォワードは2012年に会社設立し、2017年10月に東京証券取引所マザーズに上場しました。
事業内容としては、ウェブ企画の管理運営やポイントサービスの受託などを主としています。一般的な認知度で言えば、資産運用や家計管理に関するウェブサービスの提供ですね。
・マネーフォワードME
・マネーフォワードクラウド会計
・マネーフォワードお金の相談
このようなお金に関するアプリを開発、管理、販売しているということです。その中でも主力商品と言えるのがマネーフォワードMEです。
マネーフォワードMEはリリースから順調に利用者を増加させており、2022年第3四半期時点で1370万人の利用者がいることがわかります。(1370万はダウンロード数なので、実際のユーザーはもっと少ないです)
一方で、プレミアム課金ユーザーは順調に人数を増加させているものの、39.8万人と利用者の約3%に過ぎないことということです。
こういった基本無料でオプションとして有料サービスを展開しているビジネスは課金ユーザーが5%であることが収益性におけるひとつの目安になっています。
そう考えると、マネーフォワードMEの3%というのはマネーフォワードにとって思わしくない数字だということです。
それは営業利益などを確認すれば明らかですね。
上のグラフからわかるとおり、2022年第3四半期の決算では営業利益で25.5億円の赤字を出しており、今年の赤字額は累計で60億円を超えています。
これは、2017年のマザーズに上場してからを含めて最も大きな赤字となっています。
営業利益が過去最低の水準ですが、売上高は非常に好調です。25.5億円の赤字を出している2022年第3四半期の連結売上は54億円を超えており、前年同時期からプラス42%と大きく売上高を伸ばしていることがわかります。
・損益を見ると赤字体質
・売上高は毎年右肩上がり
この主な要因は事業拡大に伴う人件費の拡大です。
このグラフからわかるおり、マネーフォワードは従業員数を積極的に増加させています。
今年の第3四半期だけで260人以上従業員数を増やしており、ここ3年間で見ると、1,000人以上増加させていることになります。
これは、インターネット企業の典型的な形ではありますが、その増加率は非常に大きいですね。
現状としては、赤字を出しながらも事業規模を大きくしていく経営方針を取っているということです。
通常であれば、これだけの赤字を出し続けていれば、純資産額が厳しい状況であるのが一般的ですが、マネーフォワードはそうではありません。
鉄壁でキャッシュリッチ、とは言い難いですが、すぐに潰れるような自転車操業ではないことは明らかです。
・営業利益
・売上高
・従業員数の増加
・財務状況
このようなことを総合的に考えると、マネーフォワードは高い成長性を維持するために、2022年第4四半期からは黒字化を目指しているということです。
・一旦は営業利益を黒字化する
・事業拡大を行い、再び赤字化してもよいので、さらに事業拡大を行う
このような経営戦略を取っているということがわかるということです。そして、一旦は営業利益を黒字化するための大きな策として、有料利用者数を増加させるため、今回の仕様変更を発表したということです。
YOHの考え
今回のマネーフォワードMEの仕様変更はマネーフォワードが2022年第4四半期からの黒字化を見据えた経営戦略の一環だということです。
仮に、10万人が有料会員になるのであれば、1カ月500円として、1四半期(3カ月)で1億5,000万円の収入増加となります。
そして、このようなサービスは一旦使いだすと、途中で別のサービスに乗り換えたり、使用自体を辞めたりといったことは少なく、定期的な収入増加が期待できるということです。
そして、このような仕様変更は企業が存続していくためには不可欠なことであると言えますね。そのような中で、無料会員は選択を迫られることになります。
・サービスの制限が多くなっても無料で使い続ける
・有料会員となって質のよいサービスを使う
・他に無料で使うことができるサービスを使う
この3つのどれかを選択することになります。そして、この選択は個々によって正解が異なります。
・家計管理に月500円も出すことはできない
・不便は感じるが使い続けることに問題はない
このようなかたにとっては、有料会員になるという選択は正解とは言い難いですね。
・マネーフォワードMEの機能をフルに活用している
・月500円かけるだけの価値がある
このような無料会員の方にとっては、有料会員になることが正解と言ってよいということです。
大切なのは、自分の価値観に沿って考えることです。私自身は家計管理アプリに月500円を使うという考えはありません。
・資産状況を確認するのは多くて月1回程度
・レシート撮影などのマネーフォワードMEの機能を十分に使うことがない
・家計簿はエクセルで管理しており、不便を感じていない
このような状況なので、半年か年1回、各証券会社や銀行口座にログインして資産額をエクセルで管理すれば事足りるということです。その作業に年間5,000円以上を使うことは無駄と感じる方が勝っています。
それよりも、こどもにお菓子を買う方が有意義な使い方だと感じるということです。私にとって、何十年先の資産は気になりますが、短期的な資産額の増減というのはそれほど気にする必要がないということです。
繰り返しになりますが、大切なことは、自分自身でしっかりと判断をすることです。
・たかが月500円ぐらい支出が増えてもよい
・考えるのがめんどくさいので有料会員に移行しよう
このように思考停止してしまうことはよくないということです。月500円というのは小さな金額かもしれませんが、長年積み上げて行くとそれなりの金額になってしまいます。
このようなことは、自分自身の考えと状況に合わせた行動をとることが大切だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
収支管理の一環として家計簿をつけている方は多いのですが、家計簿というのは、収支を管理することには向いていないですね。
家計管理というのは、世帯によってやり方が異なっています。その世帯に合わせた家計管理をしなければ資産形成は上手かないということです。
YOH世帯では夫婦別々で家計管理を行っています。それが資産形成が順調な理由のひとつですね。