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【払込金の半分が手数料】変額保険は投資対象として適切か

変額保険

 生命保険会社などが取り扱っている保険に変額保険があります。会社員や公務員は民間保険会社の方とお付き合いしている場合が大変多く、様々な保険商品を進められます。

 その中で、老後資金や死亡保険として大変熱心に勧誘される保険商品の1つが変額保険です。

変額保険の仕組み

 変額保険は名前の通り、受け取る保険金額が変わる保険です。

 ・月々の掛金は一定

 ・加入期間も一定

 ・受け取る保険金額が変動する

 このような特徴があるのが変動保険です。保険金額がなぜ変動するのかと言えば、掛金で株式や債券などのリスク資産を購入して運用しているからですね。運用成績によって、受け取る保険金額が変動する仕組みです。

 ・終身型

 ・有期型

 変額保険はこの2種類があり、終身保険は死亡した時に基本保険金と変動保険金を受け取ることができます。基本保険金は最低保証額があるのが一般的です。

 有期型は期間満了すれば、保険料が支払われますが、基本保険金はありません。運用実績によって受取額に大きな差があるのが特徴です。

 どちらにしても、保険と資産運用を掛け合わせた金融商品と考えてよいでしょう。商品によって差がありますが、手数料は掛金の3%がボリュームゾーンと言われていますが実際には不透明です。

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出典 Money Hub

 商品設計を見てわかるとおり、インフレに強いのが特徴ですね。株式が上昇すれば、同じように変動保険金額も増加していくからです。

変額保険は2重課税されているため、税金面で不利

 変額保険に加入する際は受取時の税金を考慮する必要があります。

 ・解約時

 ・満了時(死亡受取時)

 この場合に保険会社の見積金額に税金がかかります。

 解約時に払戻金に利益が出ていれば、一時所得として課税されます。

 ・(売却益-50万円)÷2×所得税率(会社員や公務員のボリュームゾーンは20%)

 満了時には受取人によって、贈与税か所得税がかかります。

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出典 ほけんROOM

 年金のように分けて受け取る場合は雑所得として税金がかかります。

 変額保険は株式投資という性質上、利益を出していれば、運用益に課税されていると考えるのが妥当です。そして、解約払戻時や満了受取時にも課税されます。このように考えると、2重課税されていると考えておいてよいでしょう。

変額保険は投資対象として適切ではない

 私は、変額保険は投資対象として適切ではないと考えています。

 ・商品設計が非常に複雑

 ・運用益、解約満了時の2重課税

 ・手数料が高い

 このようなことから、投資対象として適切とは言えません。

 変額保険に加入されていた方の中には利益が出たという方もおられますが、それは、商品設計が優れていたわけではなく、相場がよかったから利益が出ていると考えるべきですね。

 仮に変額保険がS&P500に投資しているのなら、直接S&P500に資産投下した方が良いのです。

 ・手数料

 ・税金

 この2点で直接資産投下した方が優勢性があります。わざわざ、変額保険を通して資産投下する必要はありません。そして、特に気を付ける必要があるのはその手数料の高さでです。

変額保険の手数料

 民間生命保険会社が取扱っている変額保険は手数料がきっちりと開示されているということはありません。どのような項目にどの程度の金額がかかっているかわからないということです。

 しかし、ザックリと調べることはできますね。

出典 アクサ生命 アクサの資産形成の変額保険

 これはアクサ生命さんが取扱っている変額保険の払戻表ですが、運用実績の払戻金が運用成績ごとに記載されています。

 ・払込期間 30年間

 ・払込総額 720万円(年間24万円・月2万円)

 ・払戻金 1313万円

 運用実績が最もよい年利6%であればこのようになります。これではこれが運用成績に対する払戻金が適切かどうかはわかりません。しかし、自分で運用した場合と比較することによって、手数料を確認することができます。

出典 楽天証券

 自分自身で同様の掛金と利回りで運用した場合、資産額は2,009万円となることがわかります。

 ・変額保険の払戻金 1313万円

 ・自分で運用金額  2009万円

 ・差額 696万円

 この場合、差額分の696万円が変額保険の手数料ということです。払込金額の合計が720万円であることを考えると、同等の金額を手数料として負担するしているということですね。

払込金の半分が手数料というのはさすがに高すぎる。

YOHの考え

 資産運用型の保険商品は商品設計が非常に複雑です。そして、複雑なものほど、ランニングコストがかかります。そこに資産投下していては、資産形成の速度が上がることはありません。

 ・手間がかからない

 ・管理が楽

 変額保険にはこのようなメリットはありますが、リターンと比較して見合っていないのが現状です。

 今は、スマートフォンひとつあれば、誰でも手軽に米国株式を購入できる時代です。もちろん、ある程度の労力と時間はかかりますが、リターンと比較すると微々たるものです。

 変額保険は株式購入に手間がかかっていた1990年代なら、投資対象として適切と考えることもできたでしょうが、現代では時代遅れの金融商品と位置付けてよいということです。

 しかし、変額保険が絶対に悪いものかと言えばそうではありません。

 ・日常では起こり得ないような事故

 ・低確率の不幸

 このような事態が自分に降りかかった時に役立つことがあるからですね。そして、変額保険に加入していたおかげで助かったという方がおられることも間違いないからです。

 しかし、保障内容とリターンを比較した場合、株式投資などの正攻法の資産運用の方が優れているということです。保険商品とは資産形成することに適した金融商品ではないと私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 生命保険料控除目的の保険商品として明治安田の「じぶんの積立」がありますね。内部収益率は2%ほどになり、控除目的だけであれば悪くない保険商品です。

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