質問内容
先日アップした「【詳しく解説・S&P500配当貴族指数】Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)は資産投下に値するか」という記事で質問を受けました。
質問を要約するとこのような形になりますね。私は長期投資においては、配当金よりも成長性を重視する方がよいという考えです。そのことから、S&P500指数が長期投資に適しているということを記事に書いたことに対する質問ですね。
質問を受けた記事についてはこちらです。
・S&P500配当貴族は情報技術セクターの割合が少ない
・長期的な成長性を考えるのであれば情報技術セクターの比率は高い方がよい
・S&P500よりもNasdaq100の方が情報技術セクターの方が多い
質問者様はこのような考えでいるということです。これは確かな意見で非常に的を射た考えです。
この図を見てわかるとおり、S&P500指数の情報技術セクター比率は26.4%に対して、Nasdaq総合指数では48.5%です。
情報技術セクターに成長性を見出しているのであれば、S&P500指数よりもNasdaq総合指数を購入するのが考え方に則った投資方針だということですね。
これに対する私の回答としては、「それでもS&P500指数の方がよい」ということになります。
・S&P500指数とNasdaq総合指数の比較
・長期投資においてはS&P500指数の方がなぜよいのか
今回はこの2点について触れて回答させていただきたいと思います。
S&P500指数とNasdaq総合指数の比較
S&P500指数とNasdaq総合指数を比較する前に、Nasdaq総合指数について軽く触れておきます。
Nasdaq総合指数とは、Nasdaqに上場する全ての銘柄を時価総額加重平均で算出した指数です。
Nasdaqは米国の代表的な株式指数のひとつで、「National Association of Securities Dealers Automated Quotations」の頭文字を取ったもので、直訳すると、全国証券業協会自動気配値という感じになりますね。
・Microsoft
・apple
Nasdaqにはこのようなハイテクやインターネット関連の企業を中心に、約3000銘柄で構成されていることが大きな特徴として挙げられます。
Nasdaq総合指数とS&P500指数の1982年からのチャートはこのようになっています。40年間経過時点でのパフォーマンスはNasdaq総合指数の方がS&P500指数を上回っており、特に、2010年頃からの成長性というのは素晴らしいものがありますね。
単純に40年間の超長期投資という視点で見るとNasdaq総合指数の方が優れているということです。
長期投資においてはS&P500指数の方がなぜよいのか
超長期投資において、Nasdaq総合指数の方がパフォーマンスに優れているのであれば、長期投資家はS&P500指数よりもNasdaq総合指数に資産投下した方がよいかと言えば、一概にそうは言えないというのが私の考えです。
その大きな理由はNasdaq総合指数の値動きの大きさです。
これは、今年のNasdaq総合指数とS&P500指数のチャートですが、Nasdaq総合指数はS&P500指数と比較して大きくパフォーマンスを下げていることがわかります。
・景気に左右される企業の割合が高い
・急激な利上げに脆弱
・売られる時はとんでもない速度と量で売られる
Nasdaq総合指数を構成する銘柄にはこのような特徴を持つ企業が多いからですね。そのため、S&P500指数と比較すると、どうしてもボラティリティが大きくなってしまうということです。
もちろん、ボラティリティが大きいということは悪いわけではありません。
・下がる時はとんでもなく下がる
・上がる時はとんでもなく上がる
ここをどのように捉えるかは投資家によって異なるからですね。その考え方によって、Nasdaq総合指数とS&P500指数どちらがよいのかは意見が分かれるということです。
そして、万人向けという話をするのであれば、S&P500指数の方が長期投資に向いているということです。
YOHの考え
「長期投資ならS&P500指数よりもNasdaq総合指数がよいのでは?」という質問に関する質問について回答については以下のとおりとなります。
・過去のパフォーマンスはNasdaq総合指数の方が優れている
・Nasdaq総合指数はS&P500指数と比較すると値動きが大きい
・この値動きを許容できるのであれば、Nasdaq総合指数を選ぶ方がよい
・この値動きを許容できるかわからないのであれば、S&P500指数の方がよい
私の回答としてはこのようになります。そして、私がS&P500指数を押す理由としては、私自身がNasdaq総合指数の大きなボラティリティに耐えることができるか分からない、ということが大きな要因だということです。
ずばり言ってしまえば、私のリスク耐性の問題だということです。
株式投資の難しいところは、数字と感情が混じり合ってしまうところです。それに対してどのように付き合うかはそれぞれの考え方によって異なります。
・数字だけを機械的に判断することができる
・数字の中に感情を多分にいれてしまう
このような考えはどちらがよいとは一概には言えないということです。私自身は過去のパフォーマンスを見るのであれば、Nasdaq総合指数を長期投資のコアにしてもよいと考えています。
しかし、感情の部分でそれが難しいのですね。自分のリスク耐性を超える大きな値動きに対して大きな不快感を感じてしまう可能性があるということです。
そして、その不快感というのは日常生活に影響を及ぼしてしまう可能性があります。
・減少していく資産が気になって、毎日資産額を気にしてしまう
・長期の積立投資であるにも関わらず、積立をストップさせてしまう
このようになってしまう可能性があるということです。そのため、過去のパフォーマンスは劣後していても、Nasdaq総合指数よりもボラティリティの少ないS&P500指数の方がよいということです。
そして、長期投資家の多くは私と同様の意見を持っているのではと考えています。それは、私自身が平凡な公務員であるからですね。
・平均的な年収
・平均的な支出
・平均的な投資額
このような状態であるからこそ、多くの長期投資家と同様の考えを持っているということです。そのため、Nasdaq総合指数よりもS&P500指数の方がよいと発信しているということです。
とは言え、投資手法や考え方は人それぞれ異なっています。結局は、何を重視するかというのは人それぞれで、個人によって正解は異なります。
株式投資で大切なことにひとつは自分のリスク耐性を見誤らないことです。それができるのであれば、Nasdaq総合指数、S&P500指数のどちらを選択しても問題ありません。
そのように考えて、自分自身のリスク耐性に合わせて納得できる投資手法をとればよい、というのが私の考えです。
ご覧いただきありがとうございました。
質問が来ていた記事はこちらです。S&P500配当貴族の投資信託を紹介しているきじですね。
株式投資で考えなければならないのは、自分のリスクフリーレートです。リスクフリーレートとは、自分が安全圏でいる時に得ることができるリターンのことですね。
株式投資のリスクについてわかりやすく解説している書籍は、敗者のゲームですね。こちらの記事で要約しています。