相次ぐ値上げラッシュ
今年に入ってから連日のように報道されているのが様々なものの値段の上昇、値上げです。
・ガソリン
・食料品
・日用品
このような生活になくてはならないものの値段が次々に上昇して留まる気配がないということです。
総務省統計局が発表している資料を見ても、の消費者物価指数は今年に入ってから異常な上昇をしています。
特に昨年の10月の3.6%の上昇幅というのは、1982年6月以来40年8カ月ぶりの上げ幅です。
そして、現在も毎月のようにものの値段が上昇しています。
このような状況は庶民にとっては一大事です。生活必需品の価格上昇は家計の支出増加に直接結びつくからです。
しかし、このような値上げが留まる気配がないような状況でも、余裕を持って生活をできている世帯が少なからずあることも事実です。
・同じような年収
・同じような家族構成
・同じような暮らしぶり
このような世帯であっても、生活必需品の値上げでカツカツの生活をしている世帯もあれば、それほど気にすることなく生活できている世帯に分かれているということです。
その違いは、家計管理の考え方によるところが非常に大きいと私は考えています。ずばり言ってしまえば、貸借対照表(BS)の純資産額が黒字であるかどうかです。
・財務優良な世帯が意識していること
・大切なのは損益計算書(PL)よりも貸借対照表(BS)
・純資産額をプラスに保つことの大切さ
今回はこの3点について触れてみたいと思います。
財務優良な世帯が意識していること
財務優良な家計と聞いて多くの方が想像するのは、月々赤字を出していない家計です。
・収入 30万円
・支出 25万円
このような家計を維持している世帯ですね。しかし、実際にはこれだけでは財務優良な家計であるかどうかはわかりません。全体的な資産状況がわからないからです。
・貯金がどれくらいあるのか
・借金がどれくらいあるのか
これらのことによって、財務優良な家計であるかどうかは違ってくるということです。
・毎月の家計簿は黒字だが、借入金が500万円ある
このような状況では、財務優良な家計とは言い難いからですね。収入の範囲内で生活が出来ていても、総資産はマイナスになっている可能性があるからです。
簿記的に言えば、損益計算書(PL)は優良であるが、貸借対照表(BS)には問題があるということです。
家計管理はある程度簿記の知識を落とし込んだ方が考えやすいケースがあります。
・貸借対照表(BS)・・・全体的な資産の状況
・損益計算書(PL)・・・年間収益性
・キャッシュフロー計算書(CS)・・・年間利益
これらを考えると自分の置かれている状況が数字で確認することができるからですね。
そして、この中で財務優良な家計を目指すために最も大切なのは貸借対照表(BS)だと私は考えています。ずばり言ってしまえば、純資産がプラスであることが何よりも大切だということです。
例に挙げた世帯の損益計算書(PL)を確認するとこのようになります。利益5万円が出ているということは、損益計算書(PL)には問題はありません。しかし、これだけでは財務優良な家計かどうかはわかりません。
・貯金 100万円
・車の現在価値 100万円
・カーローンの残債 300万円
このような場合、貸借対照表(BS)は以下のようになります。
この場合、純資産は100万円の赤字となります。これでは、いくら毎月の収支が黒字でも財務優良な家計管理できているとは言い難いということです。
・大きな出費が必要な時に行き詰る
・収入が減れば家計が苦しくなる
・支出が増えれば家計が苦しくなる
純資産額が赤字であるということは、このような危うい状況に置かれているということです。
そして、今の値上げラッシュは「支出が増えれば家計が苦しくなる」ということに当てはまっているということです。
YOHの考え
今回は、値上げに対応するための家計管理について考えてみました。私は、家計管理に最も大切なのは貸借対照表(BS)の純資産額を黒字にしておくことだと考えています。
もちろん、月々の損益計算書(PL)も黒字で推移していく方がよいことは確かですが、収支、特に支出に関しては月単位、年単位で見ても差が出るのは当然と言ってよいですね。
・家具や家電の買い替えでその月の支出が収入を上回った
・大きな出費が重なって、年間収支はマイナスになった
このようなことは、どのような世帯でも普通に起こり得ることですね。そのため、必要な出費でお金がかかるのであれば、損益計算書(PL)がどうしてもプラスにならないということはそれほど悪いことではありません。
単年で見て損益計算書(PL)が赤字でも、財務優良と言える家計管理ができている世帯というのは往々にしてあるということです。
しかし、貸借対照表(BS)が赤字、つまりは純資産額がマイナスで財務優良な家計管理ができている世帯は無いと私は考えています。
・大きな家に住んでいる
・高級車に乗っている
・お金のかかった服装をしている
このような状況は、一見すれば財務優良な家計管理ができている世帯でお金持ちのような印象を持ちますが、実際には貸借対照表(BS)の純資産額が黒字であるかどうかはわからないということです。
先述したように、今年に入ってからはものの値段が急激に上昇しており、高止まりに終わりが見えません。
特に、電気代に関しては著しく高騰しており、今後も値上がることからも、家計負担は確実に増加しています。
このような生活になくてはならないものの値段の上昇というのは、受け入れるしかありません。そして、このような生活必需品の値上がりによって起こる支出の増加は避けることができません。
その際に、損益計算書(PL)だけを意識した家計管理をすることは避けた方がよいと私は考えています。
・過度な節約をする
・贅沢費を一切使わない
損益計算書(PL)を黒字に保つためにこのような行き過ぎた家計管理をしてしまう恐れがあるからです。しかし、貸借対照表(BS)の純資産に問題が無ければ、値上げラッシュに対しても過度に反応する必要はないですね。
・一時的に損益計算書(PL)が赤字でも純資産にそれほど影響はない
・損益計算書(PL)の赤字でも数年は生活することができる
このような安心感があるからです。このように考えると、財務優良な家計管理ができている世帯というのは、貸借対照表(BS)の純資産額が黒字である世帯だということです。
私の世帯も毎月の家計簿をつけていますが、月々の支出や年間の支出というのはそれほど気にしてはいません。
YOH世帯では、家計簿をつけているのは支出管理ではなく、無駄な支出の洗い出しという意味合いが大きいからですね。
しかし、貸借対照表(BS)には気を使うようにしています。純資産額が赤字になるようなことはしないというのが、夫婦の共通認識です。
それだけが要因ではないのでしょうが、YOH自身の家計管理は極めて健全で、資産形成も非常に順調に進んでいます。
・節約を頑張っているのにお金が貯まらない
・贅沢をしていないのに生活が苦しい
・家計簿をしっかりとつけているのに支出管理ができない
このような世帯でありがちなのが、家計管理を損益計算書(PL)だけで考えているということです。
もちろん、損益計算書(PL)が家計管理に大切であることに間違いはありません。
しかし、財務優良な家計管理をして資産形成するためには、貸借対照表(BS)に気を配り、純資産を黒字に保ち続けることが大切だと、私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
家計簿とは、無駄な支出の洗い出しには非常に有効ですが、収支の管理には向いていないと私は考えています。
年間のキャッシュフローが少なくても豊かに生活している世帯というのは、貸借対照表(BS)が優れているということです。
高所得者世帯というのは、損益計算書(PL)の収入部分が優れているというだけに過ぎません。資産形成で大切なのはそれだけではないですね。