5月11日、オリックスは2022年2月期決算を発表するのと合わせて、2024年3月をもって株主優待制度を廃止すると発表しました。
・オリックス
・KDDI
このような会社は株主優待制度でカタログギフトを提供しており、株主優待銘柄としても保有している方も多いですね。保有年数に応じて内容が豪華になることも魅力のひとつです。
私もオリックスの株式を保有しており、カタログギフトを毎年楽しみにしていますが、投資家としては株主優待制度には腑に落ちないところがあります。
・株主平等原則
・株主の意思が入り込む余地がない
主にこの2点でモヤっとしたものがあるということです。今回は、株主優待制度について触れてみたいと思います。
株主優待制度
株主優待制度は日本独自の制度といってよいほど、他国の株式会社では行われていません。
・一定数量以上の自社の株式を保有している
・権利確定日に株式を保有している
このような条件を満たしている株主は、その株式会社独自の優待品を受け取ることができる制度ですね。投資として大変人気がありますね。
旧東証上場企業の内、約4割の1300社近くが株主優待制度を取りいれていることから、多くの企業が大変力を入れていることが分かります。
・自社の製品
・自社の商品券
・QUOカード
・カタログギフト
株主優待品としては、このようなものが多いですね。配当金と同時にもらえることから、お得感があり、株主優待品目的で株式を選定している方も少なからずおられますね。
しかし、インデックス投資をしている投資家の中には、株主優待を快く思われていない方も少なからずおられます。
株主優待制度のデメリット
配当金と同様に商品などがもらえて、利益還元される株主優待制度ですが、投資家にとっては不都合な点があります。
・株主平等原則に反している
・株主の意思が入り込む余地がない
主に、投資家が株主優待制度に対して不満に感じているのはこの2点です。
株主平等原則に反している
株主が株式会社から利益享受できるのは、株主平等原則があるからです。会社法109条で「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に扱わなければならない。」と規定されています。
つまり、同じだけの株式数を保有していれば、同じ権利が与えられなければならないということです。配当金や売買益などは正に株主平等原則に則ったものですね。保有株式数に応じた配当金や売買益が受け取れるからです。
しかし、株主優待制度は株主平等原則から見ると、限りなくグレーですね。
株主優待制度で非常に人気のあるビックカメラの株主優待ですが、保有株式数に応じて平等に扱われているとは言い難いですね。
・100株保有 2,000円の商品券
・300株保有 2,000円の商品券
・500株保有 3,000円の商品券
2月の株主優待で比較すると、100株保有の株主と300株保有の株主は同じ額の商品券をもらうことになります。これは、株式保有数に応じて平等に扱われているとは言い難いですね。
さらに、保有期間に応じてもらえる商品券の額が増額します。株主平等原則は、株式の内容と数によって平等に扱われる必要があるのですが、保有期間については言及されていません。
株主優待制度は株主平等原則から考えると、平等とは言い難いのですね。
株主の意思が入り込む余地がない
株主優待制度は、株主の利益享受という点では配当金と同じなのですが、性質は大きく異なっています。
・配当金 株主総会の決議事項
・株主優待 取締役会の決議事項
配当金と株主優待にはこのような違いがあります。配当金は株主に主導権がありますが、株主優待は株主がどうすることもできないのですね。
株主優待制度の廃止や変更は他の企業でも毎年のように発生しています。
・株主優待をもらえる保有株式数が100株から300株になった
・株主優待の商品が変わった
・株主優待制度をやめた
配当金でも減配はありますが、それは企業業績がベースです。
・業績がよかったから増配する
・業績が悪かったので減配する
・業績が悪かったが配当性向は維持する
このような理由があるからこそ、株主は減配を受け入れることができるのですが、株主優待には一貫性がありません。株主優待は企業の業績が良くとも悪くとも変わる可能性があるということです。
YOHの考え
株主優待制度は非常に魅力的で、優待投資というような株主優待目的で投資をされている方もおられます。
しかし、株主優待制度は株主平等原則から見ると、限りなくグレーだということです。
・外国の投資家
・機関投資家
・もらえる基準を満たしていない株主
このような投資家にとっては株主優待制度は全く旨みのない制度であるということです。株主優待制度に力を入れるなら増配して欲しいと考えているということです。
株主優待制度の変更や廃止はよくあることですが、今回のオリックスの株主優待制度廃止は多くの企業が行う廃止と状況が異なっています。
・業績悪化
・株主を一定数集め終わった
株主優待制度は主にこのようなことで廃止や変更されることが多かったのですが、オリックスは業績が堅調に推移しているにも関わらず、株主優待制度の廃止に踏み切ったということです。
今後はこのように株主優待制度を廃止する企業が増加してくることは想定しておく必要があるということです。株主優待制度は魅力的ですが、取締役会で一方的に決められる性質上、非常に不安定なものということです。
・配当金
・成長性
株式を購入する際に重視すべきはこの2点です。株主優待制度はあくまでもおまけのように考えて資産投下することが大切だと、私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。
株主優待制度廃止が進むのは東証市場の再編も要因のひとつですね。
日本市場は個別に見ると面白いのですが、指数で見ると資産投下しにくい印象を受けますね。
私は株主優待制度よりも成長性や配当金が好きですね。それならば、米国株投資が選択肢として挙がります。