学資保険
人生の三大支出の教育資金の備えとして大変人気があるのが学資保険です。
・先取貯蓄
・元本割れしない
・銀行預金よりも利回りがよい
・一定の保険機能
このような理由から、契約されている方は非常に多いですね。保険会社にとっては、旨みのある金融商品ではありませんが、学資保険を足掛かりに他の保険契約を獲得するドアノック保険として使われています。
学資保険の利回り
学資保険については、ソニー生命さんが売り出しているものが非常に参考になります。
・10年間で1,894,560円の掛金
・こどもが大学生になる時期に毎年40万円受取(計200万円)
・10年間の差額は105,440円
この場合の10年間の利回りは0.543%です。市中銀行の普通預金が0.001%であることを考えれば、悪い利回りではないですね。公務員に大変人気のある共済貯金の利率は0.5~1.5%程度と言うことを考えても、それほど悪い金融商品ではありません。
学資保険のデメリット
利回りがある程度あり、元本保証がされている学資保険ですがデメリットもあります。
・学資保険だけで学費をカバーできない
・保障が不十分
・インフレに対応していない
・流動性が低い(途中解約は元本割れ)
学資保険は払戻金が200万円前後の商品が主流です。しかし、200万円では、大学の教育費全てを賄うことはできません。大学の学費は国公立なら4年間で250万円、私立なら学部によりますが、500万円以上かかるのが一般的です。学資保険では全てをカバーすることはできないのですね。
また、利回りから考えるとインフレに対応しているとは言い難いですね。日本はインフレ率が極端に低く、長らくデフレから抜け出せていませんが、国は年2%のインフレを目標に掲げています。
学資保険の利回りで2%以上ある商品は見当たらないのが現状です。元本保証であることを考えると、利回り2%というのはどの金融商品でも考えにくいですね。学資保険の利回りでは、受取時の金額が払込時の金額と比較して増加していても、実際の価値は目減りしているのですね。
教育資金は投資と貯蓄で備えるのがよい
教育資金の捻出方法で最もよいのは貯蓄と投資で備えることです。具体的に言えば、20年間の長期投資で貯蓄+投資の利回りを2%程度に調整するのが望ましいのです。それで、1人につき500万円~1,000万円を見積もっておくことが現実的です。
・毎年20万円ずつ貯蓄(20年間で400万円)
・毎年20万円をS&P500投資信託に投資(年利5%、20年間で530万円)
・計930万円
これならば、月々約33,000円の掛金で1,000万円近くを高確率で作ることができます。毎年20万円をS&P500投資信託に全て資産投下した場合は20年間で1,060万円になりますが、リスク資産のみで教育資金を捻出することは好みが分かれるところですね。
学資保険はインデックス投資と相性が悪い
学資保険はインデックス投資と似た商品設計であるのですが、米国株式インデックス投資に劣後しているのです。
・利回り
・流動性
この2つが米国株式インデックス投資と比較して大きく劣後しています。元本保証、ある程度の保険機能があることを勘案しても、教育資金の捻出には、貯蓄+米国株式インデックス投資の方が優れているのですね。
同じような商品を2つ組み合わせる必要はありません。そういったことから、学資保険は悪い商品ではないのですが、教育資金に備えるには難しい金融商品なのです。
特性を理解して使うということ
学資保険が教育資金の捻出に全く適していないかと言えば、そうではありません。
・元本保証
・強制貯蓄機能
これらの強みがあるからですね。これらのことに米国株式インデックス投資よりも魅力を感じるかは、人それぞれです。
大切なのは、様々な選択肢を持っておくことです。
・学資保険
・貯蓄
・株式投資
大切なことは、教育資金を捻出することです。そのためには、収入によっては、リスクを取る必要があるということです。しかし、教育資金は長期的に準備することが可能なのです。
・資産分散
・時間分散
この2つを有効に使って用意することが効率がいいのですね。その方法として最も適しているのは、米国株式インデックス投資だと私は考えています。
やはり、米国株式インデックス投資
私なら、教育資金の捻出はS&P500を中心とした株式投資のみで行います。時間分散を十分に効かせることができるからですね。
私はインデックス投資で思うような利回りを得ることができず、目標の資金額に届かなかった場合は、厚めに持っているキャッシュで対応することを考えています。教育資金のためにあえて、決まった額を貯蓄をすることはしないようにしています。
それぞれの金融商品の特性を理解して、自分に合った適切な方法を選ぶことで、人生の三大支出に備えることができるのです。