2021年の世帯の純金融資産保有額
金融資産保有額を考える上でひとつの参考になるのが、野村総合研究所が公表している純金融資産保有額を階層別に表した図です。
・超富裕層 0.1%
・富裕層 2.5%
・準富裕層 6%
・アッパーマス層 13.4%
・マス層 77.8%
最新に公表された2021年の各層の割合はこのようになっています。ここから分かることは、世間の大半はアッパーマス層であるということです。
・アッパーマス層以上(純金融資産保有3,000万円以上)・・・22%
・マス層(純金融資産保有3,000万円未満)・・・78%
このように、純金融資産を3,000万円以上保有している世帯というのは20%ほどしか存在しないということです。
そして、この純金融資産保有額を3,000万円以上保有している割合の多くは高齢者です。
・退職金
・保険金
このような大きな金額を得ることによって、一時的に純金融資産保有額が増加した世帯です。
このようなことを考えると、世間一般のいわゆる普通の生活をしていれば、働き盛りの30~50歳代で純金融資産保有額3,000万円以上のアッパーマス層に到達することは非常に難しいということです。
そして、これからの日本の状況を考えると、アッパーマス層どころか数百万円の貯蓄を作ることすら難しいことになっていくということです。
・普通に生活をしていると貯蓄をすることすら難しい理由
・金融資産を増加させるにはどのようにすればよいか
今回はこの2点を中心に貯蓄と金融資産について考えてみたいと思います。
普通に生活をしていると貯蓄をすることすら難しい理由
普通に生活をしていると貯蓄をすることすら難しい理由は、様々ありますが、私が強く思うのは「社会保険料、税金が増加している」ということです。
社会保険料、税金の増加
普通に生活をしていると貯蓄をすることすら難しい最も大きな理由は「社会保険料、税金が増加している」ということです。
日本という国は社会保障制度が非常に充実しています。
・健康保険加入で医療費負担が3割になる
・遺族年金、障害年金
・老齢年金
このような社会保障制度は世界屈指であると言えます。そして、怪我や病気をして病院受診をすれば誰もが等しく高水準の医療を受けることができます。
保険適用範囲で受けることのできる医療にお金のあるなしの差はないということです。
この社会保障制度というのは所得の格差を無くすために1960年~1970年代に現在の仕組みの骨格ができあがったと言われています。
1960年~1970年代の日本は高度経済成長期、人口増加が非常に顕著な時代でした。
この人口増加、経済成長期が社会保障制度のベースになっているということです。しかし、現在の日本ではこのベースは成り立たないものになっています。
・人口増加によって社会保険料納付額は増加する
・経済発展によって、労働者の収入が増加していく
このような社会保障制度の根本が崩壊しているということです。そのため、社会保障制度を存続させていくためには、社会保険料、税収を増加させる必要があるということです。
このグラフを見てわかるとおり、社会保険料は年々右肩上がりで、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料は3倍ほどになっています。
そして、この増加というのは今後も収まる気配はありません。さらに、税金の支払いについても大きく増加しています。
・退職所得控除の見直し
・給与所得控除の見直し
最近ではこのような控除の見直しが提言されていることからも、どんどんと社会保険料、税金の負担率は増加していくということです。
YOHの考え
今回は普通に生活をしていると貯蓄をすることすら難しい理由について考えてみました。
普通に生活をしていると貯蓄をすることすら難しい理由の最も大きな理由のひとつが「社会保険料、税負担が増加している」ということです。
日本の平均給与所得というのはこの30年間横ばいでそれほど変化がありません。
平均給与は1989年から450万円前後で推移しているにも関わらず、社会保険料、税負担が増加しているということは、実際に使うことのできるお金というのは少なくなっているということです。
・物価高
・普通の生活レベルの上昇
そして、このようなことを考えると、普通に生活をしていると貯蓄することが以前よりも難しくなっていることは明らかであるということです。
しかし、平均的な収入で貯蓄や資産形成ができないのかと言えばそうではないですね。
・iDeCo、NISA制度
・ネット証券会社の充実
・手軽に情報収集をすることができる
このようなことによって、誰しもが株式投資などにアクセスしやすい環境が整っており、資産形成をすることができるようになっているからですね。
そのため、平均的な給料水準であっても、貯金や資産形成をすることは十分に可能であるということです。
現在の日本で貯金をはじめとする資産形成ができない世帯で多いのが「全ての面で普通を求める」ということです。
・住居
・車
・浪費
・学費
このようなこと全てにおいて普通を求めると、普通の収入ではお金が不足するということです。平均的な収入で貯蓄をするのであれば、どこかの面で割り切る必要があるということです。
・生活を充実させるためには車が絶対に必要
・それなら、住居費は抑えて賃貸住宅に住む
このような考えを持つ必要があるということです。もちろん、収入に余裕があれば全てを手にできるのでしょうが、多くの人はそうではないということです。
日々の貯蓄、資産形成というのは必ず人生を豊かなものとしてくれます。
・お金のことを考える必要がない
・仕事においてお金のことを考えなくともよい
このようなことは人生を非常に豊かなものとしてくれると私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
最近話題になっている給与所得控除の見直しについてはこちらで記事にしています。
退職所得控除についても見直しが提言されていますね。退職所得控除はiDeCoに関係してくるので、抑えておく必要がありますね。
今は誰もが資産形成がしやすい時代になっていますね。