新しいNISAのつみたて投資枠対象の投資信託
2024年1月から開始される新しいNISAの最も大きな特徴のひとつとして挙げられるのが、投資枠が2つあるということです。
・成長投資枠
・つみたて投資枠
この2つですね。そして、この2つの枠は投資可能金額や投資可能商品が異なっています。制限が大きいのはつみたて投資枠の方ですね。
つみたて投資枠についてざっくりと言えば、現行のつみたてNISAと同じです。
・長期
・分散
・積立
つみたてNISAはこの3つに適した金融商品のみを投資対象としており、新しいNISAのつみたて投資枠はそれと同様の制度設計がなされているということです。
そして、新しいNISAで選択することができる投資信託については、投資信託協会が公表しており、現時点では1682本が対象とされており、その中で255本がつみたて投資枠の対象となっています。
新しいNISAの大きな目的というのは、国民の長期的な資産形成を後押しするというものです。
そのため、商品選定が豊富な成長投資枠の方についても選択可能な投資信託については制限を設けています。
・信託期間20年未満
・毎月分配型
・レバレッジ型
このような投資信託については、成長投資枠でも除外しているということです。
そして、そのような投資信託を除いた1682本の投資信託のうち、さらに「長期・積立・分散」の要件を満たしていると認定されたのが、つみたて投資枠で選択可能な255本であるということです。
※投資対象については、新しいNISAが開始されるまでにあと3回更新されるので、もう少し増えると思われます。
しかし、その厳選された255本の投資信託全てが多くの投資家にとっておすすめできる金融商品であるかと言えば、そうとは言い難いというのが私の印象です。
・つみたて投資枠対象の投資信託でおすすめできない金融商品とは
・つみたて投資枠の投資信託で気を付けておきたいこと
今回は新しいNISAのつみたて投資枠対象の投資信託についてこの2点を中心に触れてみたいと思います。
つみたて投資枠対象の投資信託でおすすめできない金融商品とは
まず、結論から言えば、つみたて投資枠対象の投資信託でおすすめできない金融商品とは、「償還日が設定されている投資信託」です。
つみたて投資枠対象の投資信託255本というのは、成長投資枠の1682本と比較すると、少ない印象ですが、実際には選択肢としては非常に豊富です。
全世界株式ファンドやS&P500や日経平均をベンチマークとしている金融商品が豊富に取り揃えられているのはもちろんのこと、新興国ファンドや債券ファンドなどの金融商品も豊富に取り揃えられています。
・REIT
・バランスファンド
・株式+REIT
それ以外にもこのような金融商品が選択できることから、多くの投資家ニーズを満たしてくれる投資信託が取り揃えられているということです。
そして、その投資信託というのは、国内に9,000本近くあると言われている投資信託の中から、金融庁から投資家の長期的な資産形成において適切であると認められているということです。
しかし、その中でも長期投資においてやや不適切な投資信託があると私は考えています。
それが「償還日が設定されている投資信託」です。
現時点でつみたて投資枠対象の投資信託の内、償還日が設定されているものは10本存在します。
255本の内、償還日が設定されている投資信託はこの10本です。
それぞれ、償還日は異なっていますが、最も早期に設定されているのは「フィデリティ・デート・ファンド(ベーシック)2045」の2046年9月25日です。
新しいNISAが2024年から開始されることを考えると、運用期間を最も長く取って22年ほどで償還されることになります。
22年という期間をどのように捉えるのかは個人の状況や考え方によって異なりますが、長期投資対象の金融商品としては万人向けではないですね。
そして、最も長い期間があるのが、償還日を2080年1月26日に設定している「eMAXISマイマネージャー1990s」です。
これについては、運用期間が最長で56年となっており、長期投資としては十分な期間を確保できていると言ってよいですね。
そのため、「eMAXISマイマネージャー1990s」の中身について確認をしていきます。
eMAXISマイマネージャーは3つのシリーズが展開されており、年齢に応じて異なる3つのファンドを用意しているバランスファンドです。
・1970s(1970年代生まれ)
・1980s(1980年代生まれ)
・1990s(1990年代生まれ)
この3つの年代のリスク状況に応じて、8つの資産クラスの配分を変えていることが大きな特徴のファンドです。
具体的に見ていくとこのようになります。年齢が高くなるにつれて株式の割合を減らして債券を増やしていくといったバランス調整をすることが大きな特徴です。
現時点でのeMAXISマイマネージャー1990sの基準価格と純資産推移はこのようになっています。
概ね右肩上がりのパフォーマンスですが、純資産総額が0.8億円というのは不安な数字と考えておいてよいですね。
そして、信託報酬は年率0.55%となっています。
バランスファンドである以上、ランニングコストが高くなることは避けられませんが、それでも0.55%という信託報酬は決して安いものではないですね。
バランスファンド自体が長期投資に不適切であるわけではありません。
・償還日が設定されている
・純資産総額が少ない
・ランニングコストが高い
しかし、このようなことを考えると、「eMAXISマイマネージャー1990s」は新しいNISAのつみたて投資枠として選択するべき金融商品かと考えると、そうとは言い難いというのが私の印象です。
YOHの考え
今回は新しいNISAのつみたて投資枠対象は全てが適切な投資信託なのか、ということについて考えてみました。
・国内には9,000本近くの投資信託があると言われている
・その中で新しいNISAで選択できる投資信託は1682本
・さらに、つみたて投資枠対象の投資信託は255本
このようなことから、つみたて投資枠対象の投資信託は全体の3%ほどしかなく、厳選されていることがわかります。
しかし、その厳選されている投資信託の全てが誰にとっても投資対象として適切であるかと言えばそうではないというのが私の印象です。
特に、償還日が設定されている投資信託については注意が必要であるということです。
もちろん、償還日が設定されている投資信託の全てが資産形成に適していないわけではありません。
償還日を迎えても償還されないケースもあるからですね。
しかし、一般的に償還日が設定されている投資信託というのはテーマ型であるということです。
・国
・産業
・地域
その時に注目されているこれらに集中して投資するために、短期的に多くの資金を集めることが償還日を設定する目的であるということです。
そのため、償還日が設定されている投資信託は長期投資と相性がよいとは言い難いということです。
現在の日本で暮らしていくためには、資産形成は欠かすことができません。その大きな手助けとなるのが、2024年からはじまる新しいNISAです。
しかし、新しいNISAを使っただけで資産形成ができるわけでもありません。
・投資状況
・投資対象
このような事柄は自分自身で決めて運用する必要があります。その運用を間違えないためには、自分自身で考えて行動する必要があると、私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
金融庁として新しいNISAをどのように使って欲しいのかはこちらで記事にしています。
新しいNISAのつみたて投資枠対象の全世界株式インデックスファンドについてはこちらで記事にしています。
新しいNISAは積立投資との相性がよいですが、積立投資が将来の資産を守ることとイコールではないですね。