SBI証券でポイント投信積立サービスが開始
SBI証券で2023年2月27日から、ポイントによる投信積立サービスが開始されています。
これまでは、投資信託のスポット購入時にのみポイントを使うことが可能だったのですが、それが積立投資にも対応可能になったということです。
投資信託というのは、基本的には値段を気にすることなく淡々と決まった日に決まった金額で買い付ける、という投資手法と相性がよいため、ポイント再投資が行えるこのサービスは、保有ポイントの使い勝手が非常によくなるということです。
現在、SBI証券では指定のクレジットカードでの投資信託積立を行えば、月々の上限を5万円として、0.5%から5%までのポイントが付与されるサービスを展開しています。
三井住友カードであれば、カードによってこれだけのポイント付与を受けることができます。
そして、ポイントで投資信託を積立買付できるということは、年間の実質的な負担額が少なくなるということですね。
・月50,000円の投資信託を買付
・ポイントを250円分使用する
・実質的な負担額は49,750円になる
月に0.5%のポイント付与されるNL(ナンバーレス)ではこのようになり、月々の負担額を減らしつつ、月50,000円分の投資信託を積立ていくことができます。
月に250円と考えると小さな金額ですが、このポイント再投資の期間が長くなるとバカにできない金額となります。
そして、そういったことはしっかりと数字で確認する必要があります。
・ポイント再投資をはじめた場合、年間どれだけお得なのか
・ポイント再投資を30年間続けた場合の削減金額
今回は投信積立ポイントの再投資について、この2点を確認していきたいと思います。
ポイント再投資をはじめた場合、年間どれだけお得なのか
まずは、投信積立ポイントを再投資すれば、買付金額がどれだけ安くなるかを確認していきます。
買付期間は長期投資を想定して30年間として考えます。
・年間60万円
・30年間で1,800万円
このようなケースでポイント再投資をしない場合の投資金額と獲得ポイントは以下のようになります。
投資金額にそのままポイント付与率を積した数字が獲得ポイントなります。
しかし、ポイントを再投資できれば、投資金額の中にポイントを含めることができるので、実質的な負担金額は下がります。
・4月から投信積立を開始(それまでのポイントは無し)
・付与されたポイントはそのまま再投資
このようにした場合、投信積立ポイントが0.5%であれば、1年目は以下の表のようになります。
再投資したポイント分にポイントが付くことはないので、年間597,262円の負担で60万円分の積立ができることになります。ポイント再投資したことによって、2738円の削減ができるということですね。
そして、各カードの還元率と獲得ポイントを再投資した場合をまとめたものが下の表になります。
カードの種類によって年間0.27万円から2.6万円ほどお得に積立投資ができることになりますね。
年間獲得ポイントとポイント再投資による削減の金額に乖離があるのは、4月と5月の投資額と獲得ポイントが他の月と差があるためです。
そのため、差がなくなる2年目以降の年間獲得ポイントとポイント再投資による削減の金額を確認すると以下のようになります。
これが2年目以降の積立金額と獲得ポイントになります。これが29年間続くと、以下のようになります。
年間獲得ポイントとポイント再投資による削減金額にほぼ誤差が無いことがわかります。
※1円の誤差があるのは、四捨五入の関係です。
次に、ポイント再投資を30年間続けた場合を確認していきます。
ポイント再投資を30年間続けた場合の削減金額
1年目と2年目から29年目のデータを確認できたので、それぞれを合計して30年間の投資結果を確認していきます。
1年目と2年目から29年目の投資金額と獲得ポイントを合計したものが以下の表になります。
・ポイント付与率5% 83.9万円
・ポイント付与率2% 36.7万円
・ポイント付与率1% 17.7万円
・ポイント付与率0.5% 8.9万円
ポイント再投資をしないケースと比較してこれだけの金額を削減できることになるということです。
カードのポイント付与率によって、30年間で8.9万円から83.9万円のキャッシュ得ということになります。
※実際には、30年と1カ月目にはさらにカードの利回りの応じたポイントが付与されることになります。
YOHの考え
今回は、2023年2月27日から開始されているSBI証券のポイント投信積立サービスについて考えてみました。
・ポイント付与率5% 83.9万円
・ポイント付与率2% 36.7万円
・ポイント付与率1% 17.7万円
・ポイント付与率0.5% 8.9万円
30年間という長期でポイント再投資をした場合、これだけのキャッシュを削減できることになります。
ポイント付与率0.5%のNLでは30年間で8.9万円とそれほどの金額ではないですが、プラチナプリファードの場合、83.9万円となるのは非常に大きな金額です。
しかし、ポイント再投資が全くもって素晴らしいかと言えば、一概にそうとも言い切れないですね。
この表を見て分かるとおり、ポイント再投資してキャッシュを削減できた金額よりも、ポイント再投資せずにポイントをそのまま受け取った方が獲得ポイントは多くなっています。
【ポイント付与率5%の場合】
・ポイント再投資をした場合・・・83.9万円のキャッシュが削減できる
・ポイント再投資をしなかった場合・・・90万円のポイントが獲得できる
・30年間の差は6.1万円
このようになるということです。
これは、ポイント再投資をしたことで、実質的な投資金額が少なくなっているため、獲得ポイントが下がることから発生しているのですね。
・ポイントとキャッシュは同じ価値
・ポイントをキャッシュ同様の使い方ができる
このように考えるのであれば、SBI証券のポイント投信積立サービスは使わない方がよい可能性があるということです。
私はSBI証券で投信積立サービスをポイント付与率0.5%のNLで利用しており、ポイント投信積立サービスは使おうと考えています。
・ポイントは投資に充てた方がよい
・ポイントはキャッシュと同一ではない
・手元に残る現金は多い方がよい
このように考えているからですね。しかし、考え方は人によって異なります。
大切なことは、しっかりと数字で確認を行うことです。
そして、数字と感情の両方を鑑みて自分の選択をする必要があると私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
私自身はポイントをキャッシュと同様には考えていません。それには2つの大きな理由があります。それについては、こちらで記事にしています。
各証券会社が行っているクレジットカードの投資信託積立のポイント付与率は0.5%から1.1%ほどと謳っていますが、実際にはそうではありません。長期で考えた場合、0.15%以下になります。
投信積立サービスで最も還元率が高いのはマネックス証券の1.1%です。その本当の利回りについてはこちらで記事にしています。