投信積立のクレカポイント
株式投資を投資信託で行うということは、長期投資を中心に資産形成を行っている投資家にとって欠かすことができないことですね。
・iDeCo
・つみたてNISA
このような税制優遇制度の投資対象の基本は投資信託となっていることが大きな理由ですね。
・地域分散
・銘柄分散
そして、投資信託を1本購入するだけで、長期投資の前提であるこのような分散効果を得ることができます。
投資信託積立は、何よりも株式投資への時間を減らすことができることがよいですね。
そして、投資信託積立投資については、各証券会社も非常に力を入れています。
・投資信託積立をクレジットカード決済で行う
・月々の積立金額に応じてポイント還元を行う
このような仕組みを取り入れている証券会社が増加しているということです。
投資信託のクレジットカード積立でポイント還元を行っている証券会社は多数ありますが、主要な証券会社を挙げると上の表のようになります。
月の買付金額の上限を5万円として、買付金額に応じて0.5%から1.1%ほどでポイント還元を行っているということですね。
このような投資信託積立によるポイント還元というのは非常にお得であることに間違いはないのですが、誤解が生じやすい仕組みでもありますね。
・投資信託の利回りが3%
・投資信託積立で1%のポイント還元される
・ポイントと合わせて年利4%で運用できている
このような誤解を生じやすいということです。
実際には、ポイント利回りというのは長期的に見ると非常に低利回りで、還元率をそのまま当てはめて考えることができません。
・株式投資の利回りとポイント利回りの違い
・主要証券会社の実際のポイント利回り
今回は投資信託のクレジットカード積立について、この2点を中心に触れてみたいと思います。
株式投資の利回りとポイント利回りの違い
結論から言ってしまえば、投資信託のクレジットカード積立で表示されている利回りを得ることができるのは、積立投資1年目だけです。
それ以降は、利回りは下がっていくということです。
何故そのようなことになるのかと言えば、投資信託のような株式投資の利回りとポイント還元の利回りは分けて考える必要があるからです。
ポイント還元率が最も高い(1.1%)のマネックス証券を例に確認していきます。
マネックス証券で投資信託のクレジットカード積立をして得ることができるポイントは年間60万円積立をして6,600ポイントです。
これを10年間続けると総獲得ポイントは6.6万ポイントになります。
表にするとこのようになりますね。総積立額600万円に対して、総獲得ポイントが6.6万ポイントとなります。
・60万円資産投下して6600ポイント
・これが10年間続くので利回り1.1%
このように考えると、年間投資金額に対して1.1%のポイント還元がされていますが、これは株式投資の利回りの考え方とは異なります。
株式の利回り(配当金)で考えるのであれば、2年目に積立をしなくとも6,600ポイントを受け取るのが1.1%の利回りです。
表にするとこのような形になるということです。
そのため、 株式投資の利回りで考えるなら、2年目以降に積立額が増加すれば年間に還元されるポイントも増加していく必要があります。
株式投資の利回で考えるのであれば、年利1.1%であれば、このように積立額が増加すれば年間に還元されるポイントも増加していき、10年間の総獲得ポイントは36.3万ポイントとなる必要があります。
・年間の積立額ではなく、総資産額に応じてポイントが付く
このように考えるのが株式投資での利回りです。
一般的に「利回り」と言えば総資産額に応じて考える必要があります。
そのため、ポイント利回りを株式投資の利回りと合わせて考えるには、ポイント利回りを株式投資の利回りに変換する必要があるということです。
マネックス証券のポイント利回り1.1%を株式投資の利回りに変換した場合が上の表のようになります。
・10年目の利回りは0.11%
・10年間積立で0.322%の利回り
これがポイント利回り1.1%の真の利回りであると考えておいてよいですね。
主要証券会社の実際のポイント利回り
次に、主要証券会社のポイント利回りを株式の利回りとして考えていきます。
SBI証券のポイント利回り0.5%を30年間続けた場合で考えてみると以下のようになります。
年間60万円で年間獲得ポイントは3000ポイント、これを30年間続けた場合、30年目の利回りは0.017%、30年間の平均利回りは0.067%になります。
これがポイント利回り0.5%を30年間続けた場合の本来の利回りだということです。
それを加味して、主要証券会社のポイント利回りを株式の利回りに置き換えたものが以下の表になります。
最も還元率が高いマネックス証券でも30年間の利回りは0.146%となります。
そのため、30年間の長期で投資信託積立を行うような株式投資を考えているのであれば、この数字が投資信託の利回りに上乗せされるパーセンテージと考えておいてよいということです。
YOHの考え
今回は投資信託のクレジットカード積立の利回りについて考えてみました。
投資信託のクレジットカード積立はネット証券会社を中心に多くの証券会社が行っていますが、ユーザーはポイント還元についてしっかりと見極める必要がありますね。
・投資信託の利回りが3%
・投資信託積立で1%のポイント還元される
・ポイントと合わせて年利4%で運用できている
ポイント還元については、このようにミスリードされやすく宣伝されていますが、実際にはこのようになるのは初年度だけだということです。
投資信託本来の利回りとポイント利回り、どちらを優先する必要があるかと言えば、投資信託本来の利回りであることは間違いがありません。
30年間の長期投資で考えた場合、ポイント利回りは0.15%にも満たないからですね。
0.15%利回りが上昇する、というのをどのように捉えるのかは個人の価値観によって異なりますが、私自身は手間暇を考えると割に合わないと考えています。
・多くの証券会社の口座開設をする
・多くのクレジットカードを作る
・多少無理をして5万円積立を各証券会社で行う
このようなことは、それほど意味がないということです。
積立投資に熱心で入金力がある方の中には、還元率の高い投資信託のクレジットカード積立を証券会社を5つ使って、5万円ずつしておられるという方もおられますが、私自身はおすすめできる投資手法ではないと感じます。
・趣味の範囲で行っている
・本来の利回りを理解している
このようなスタンスであれば問題ないのでしょうが、ポイント利回りと株式投資の利回りを混同して考えているのであれば、思ったような成果を得ることができないからですね。
私自身は投資信託のクレジットカード積立を行っていますが、還元率についてはそれほど気にしていません。
0.5%だろうが1.1%だろうが長期的に考えるのであれば誤差の範囲内であるからです。それよりも、資産投下する投資信託の選定に気を使っています。
資産投下する投資信託の運用利回りが1%下がれば、資産形成に及ぼす影響が非常に大きいからですね。
投資信託を積立投資しているのであれば、クレジットカード積立はやっておいた方がよいですが、そこまでこだわるものかと言えばそうではないということです。
・謳っている還元率は初年度だけ
・長期投資であれば実際の利回りは0.15%以下
このように理解して付き合うことが大切だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
投資信託積立はポイント還元率ではなく、金融商品に目を向ける必要があります。実際に資産投下に値する金融商品というのは非常に限られています。
私は投資信託積立においても、米国株式投資をおすすめしています。その基本的な考え方はこちらで記事にしています。
投信積立でレバレッジ系金融商品はおすすめできないですね。その理由はレバレッジ系金融商品の特徴にありますね。