年金の積立金はGIPFによって運用がされている
年金(老齢年金)についてはネガティブな意見を見る機会が多いですね。
・年金保険料は納めるだけ無駄
・自分が高齢者になった時には受給することができない
・年金制度自体を廃止した方がよい
ネガティブな意見とは主にこのような意見です。
私自身も年金制度について思うことは様々ありますが、どちらかと言えばポジティブな印象を持っています。
・老後生活の金銭的な柱となる
・終身的に受給することができる
・制度自体が崩壊することはない
年金制度についてはこのような印象を持っているということです。
このような印象を持っている理由のひとつがGPIFの存在です。
GPIFとは年金積立金を管理運用する独立行政法人で、その運用方針は一貫しており、実績は非常に優秀です。
そして、GPIFから2024年2月2日に2023年度第3四半期の年金積立金の運用実績が公表されました。
・GPIFとは
・2023年第3四半期の年金運用状況
今回はこの2点を中心に年金制度について触れてみたいと思います。
GPIFとは
GPIFの正式名称は、年金積立金管理運用独立行政法人といいます。GPIFの主な仕事は年金積立金を管理運用です。
労働者が年金を納めているのは、自分の年金を積み立てているわけではありません。
今の受給者が受給する分を現役労働者が納めている仕組みとなっています。そして、年金の財源は2つあります。
・国庫負担(税金)
・年金保険料
この2つの財源が年金の支払いに充てられていますが、現在はこの2つで全て賄われており、余剰資金が生じています。
その余剰資金を積立金として管理運営しているのがGIPFです。
積立金の状況と役割については上の図のようになります。
図からわかるとおり、GPIFが管理運営している積立金は将来、労働者人口が減少して受給者が多くなった際に取り崩して使うためのお金となります。
そして、GPIFの大きな役割が年金積立金を株式や債券に投資することによって、長期的に増加させていくことです。
GPIFは2001年度から市場運用を開始していますが、その運用成績は非常に優秀です。
・運用資産額224.7兆円
・利回り3.99%(2001年度~2023年度第3四半期)
・収益額132.4兆円(累計収益額)
GPIFは市場運用開始以降、これだけの運用実績を出しています。
この運用実績の主な理由は、大きな資金力を活かして債券と株式を均等にしたシンプルなポートフォリオを組んでいることですね。
・国内債券
・外国債券
・国内株式
・外国株式
この4つの資産クラスの構成比率をほぼ同率にしたポートフォリオを組んでいることが長期的に収益を上げていることに繋がっているということです。
2023年第3四半期の運用実績
2024年2月2日にGPIFから公表された年金積立金の2023年第3四半期の運用実績を確認していきます。
・収益額 5.7兆円
・利子・配当収入 1.3兆円
・収益率 2.62%
2023年第3四半期の状況はこのようになっており、運用資産額は過去最高の224.7兆円まで増加していることからも、非常に好調な運用がされていることがわかります。
この好調な理由は外国株式の影響によるところが非常に大きいですね。
2023年第3四半期の各金融資産クラスの収益率と収益額はこのようになっています。
・国内債券 0.95%
・外国債券 2.55%
・国内株式 2.05%
・外国株式 4.91%
収益率だけ確認するとこのようになっており、外国株式のパフォーマンスが好調であった結果を受けて、全体で3ヶ月の間に5.7兆円の収益を出したということです。
YOHの考え
今回はGPIFとその2023年第3四半期の運用実績について触れてみました。
GPIFは年金積立金を管理運営しており、その運用実績は非常に好調です。
・運用資産額 224.7兆円
・利回り3.99%(2001年度~2023年度第3四半期)
・収益額132.4兆円(累計収益額)
市場運用開始からの運用実績がこのようになっており、累積収益額のグラフを見てもきれいな右肩上がりであることがわかります。
そして、2023年第3四半期の運用実績も非常に好調です。
・収益額 5.7兆円
・利子・配当収入 1.3兆円
・収益率 2.62%
このような状況を確認すると、年金積立金については、長期的に増加するように健全に運用がなされていることがわかります。
もちろん、年金積立金の運用は毎四半期収益を上げて運用資産額を増加させているわけではありません。
コロナウイルス蔓延などがあった2019年度の運用実績を確認すると、年度で8.3兆円の赤字を出しています。
これは、上の表からわかるとおり、国内外株式のパフォーマンス低下によるところが非常に大きいですね。
しかし、この国内外株式のパフォーマンス低下を外国債券がいくらかカバーしていることがわかります。
・株式がマイナスを出した時は債券によって被害を少なくする
・債券比率を高めたポートフォリオで長期的に安定して積立金を増加させていく
GPIFはこのような年金積立金について、このようなスタンスで管理運営を行っているということです。
しかし、GPIFの管理運営が順調であるからといって、年金制度が安泰であるかと言えばそうではないですね。
・年金保険料
・国庫負担(税金)
年金運営はこの2つを財源としており、現在の年金の支払いはこの2つで賄われています。
しかし、年金の支払いをこの2つだけで賄っていくのが難しい場面というのは必ず訪れます。
そして、年金積立金を取り崩して年金の支払いをするという状況は年金制度が非常に危うい状況であるということです。
・受給額の減少
・受給開始年齢の上昇
・厚生年金保険料負担率の上昇
年金については、今後このようなことは避けることができません。そして、老後生活を年金受給だけで乗り切ることは難しい世の中になっていくということです。
しかし、現状の年金制度については、GPIFの管理運営状況を見る限り、過度に不信感を抱く必要はありません。
そして、年金受給だけに頼らない人生設計をすることも大切であると私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
年金制度の改正から老後資産として用意しておく金額については、こちらで記事にしています。
2022年に年金制度に導入された在職定時改正についてはこちらで記事にしています。対象者に年金受給金額が増える改正です。
これからは、年金受給に頼らない人生設計をする必要があるということは数字を見ても明らかですね。