通信指令室とは
消防組織の部署に通信指令室というものがあります。入電した119番通報を聞き取り、災害に合わせた車両を出動させて、無線で情報を送るのが主な仕事の部署です。
・災害状況
・災害種別
・災害規模
これらのことを入電した電話から素早く把握して、適切な車両を災害対応させることが求められます。自治体によっては、通信センター、指令センターなどと言われています。また、自治体によっては、災害出動する隊員が兼務している場合もあります。
指令室内部はこのようなイメージですね。(実際には大きなモニターと各通信員専用のモニターが机に配置されているだけですが・・・)
119番通報から災害対応までの流れ
119番通報がある
↓
通信指令員が災害の状況、住所を特定する
↓
必要な消防車両に予告指令を出す。
この時点で消防車両は災害場所に向かってサイレンを鳴らして出動する。
↓
さらに詳しく聞き出した災害状況を出動している車両に無線で送る。
ここまでを概ね5分ほどで完了させる必要があります。
ここから、現場に到着した隊員と無線通信を行い、災害対応する隊員に必要な支援情報を適宜送り込みます。
通信指令員とは
消防組織の通信指令員は消防職員のみで構成されています。3月まで救急車に乗っていた救急隊員が人事異動で4月から通信指令室に行けば、通信指令員として勤務する、ということです。
自治体によって異なるでしょうが、消防職員としてある程度経験を積んだ職員が配属される傾向にあります。その理由は、災害や市民対応に慣れているからですね。
・道路で車が燃えているけど、住所がわからない
・こんな症状なんですけど、救急車にきてもらってもいいのでしょうか?
・通行人同士が喧嘩をしている
119番通報には様々な電話がかかってきます。これらのことに対応するには、どうしてもある程度の経験と知識が要求されるのですね。通信指令員とは、消防組織における電話対応のスペシャリストと言えます。
通信指令員に向いている人とは
私の経験上、通信指令員には向き不向きの要素が大変強いです。ここでの向き不向きとは、才能に関する部分を努力で補うことが極めて難しいということです。
向いている消防士は短期間で環境に慣れて、ストレスが少ない状態で非常に優秀に通信業務をこなします。
一方で向いていない消防士は、時間をかければそつなく通信業務をこなすようになりますが、環境に慣れるということはありません。常に緊張してストレスが溜まりやすい状態で仕事をしています。
この向き不向きは災害現場で優秀だったかどうかは関係がありません。通信指令員に向いている消防士とは、ずばり、システマティックに仕事をこなすことができる消防士です。
災害現場で優秀な隊員であった消防士が通信指令員になってありがちなのは、災害従事する隊員の負担を減らそうと、必要以上に気を遣うことです。119番通報の救急要請には緊急性の著しく低い入電も数多くあります。
・お酒を飲んで酔っぱらってしまった
・お腹が痛い気がする
・眠れない
このような入電に対して出動する救急隊に気を使ってコールトリアージをしようとする。このような消防士は通信指令員には不向きなのです。
どんな救急要請でも、マニュアルで決まっているとおりに状況を聞いて、救急隊が忙しかろうとシステム通りに出動指令のボタンを躊躇なく押すことができる。
言ってしまえば、救急隊が忙しいのは救急隊の仕事だから自分には関係がない。このようにシステマティックに対応することができる消防士は通信指令員に向いているのです。
長期投資も通信指令員と同じ
長期投資にも向き不向きがあります。長期投資に向いている人もまた、システマティックに行動することができる人間です。
・市場の状況を気にすることなくシステマティックに積立てていくことができる
・すると決めた入金額を守って毎月コツコツと入金していく
・暴落があっても積立金を崩すことがない
・決めた指数に20年以上積立てていく
これは誰にでもできることではありません。長期投資をはじめた人の多くは途中で投げ出してしまうのです。
・含み損
・短期間で大きく資産を増やしているSNSフォロワー
長期投資を続けていると、お金の誘惑は数限りなく出現します。それに惑わされないことが長期投資には重要なのです。そして、お金の誘惑に惑わされないための方法は「システマティックにすること」です。
・周囲の雑音
・周囲の資産状況
このようなことに惑わされることなく、システマティックに積み立てを続けて行く必要があるのです。長期投資を成功させるためには、通信指令員と同じようにシステマティックに行動することが求められるのです。